これからの世界をつくる仲間たちへ [Kindle]

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  • 小学館
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感想・レビュー・書評

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  • デジタルネイティブであるこれからの世代と、その親世代。両者の中間を生きる著者が、その橋渡しをするために書いた本。従来の価値観においてはホワイトカラーが良しとされてきたが、デジタルネイチャーの時代に求められるのはクリエイティブクラスであると説く。人間とコンピュータの境目が無くなる中で、使われる側に立つのを避けるにはモチベーションを持つしかないと。

    一種の哲学のような、自分とは違う価値観、世界観が体験できる面白い本だった。

    ●「魔法をかける人」になるか、「魔法をかけられる人」になるか

    映像の世紀から魔法の世紀へ。裏側のハードウェアを意識させずユーザー体験を提供する魔法、デジタル社会のブラックボックス化としての魔法。映像によりマス向けに画一的な方向を向かせていた時代から個人の時代へ。ガッツはレッドオーシャン。モチベーションの有無によってコンピュータを使うのか使われるのかが変わる。

    ●人はやがてロボットとして生きる?

    クラウドソーシングというコンピュータ。オリジナル以外は淘汰される。ヒューマン・コンピュテーション、インタフェースとしての人間。暗黙知や専門知識というリソース。唯一無二であるクリエイティブ・クラス。ホワイトカラー向けの教養リベラルアーツ、手を動かす人間向けのメカニカルアーツ。


    ●いまを戦うために知るべき「時代性」

    脱魔術化(=原理の解明)を経ての再魔術化(=ブラックボックス化)。オリジナリティの必要性。時代が進むことによって解決可能になるものは変わる。革新的な発明やサービスのプラットフォーム化。形式知を暗黙知にする思考体力。語学力ではなくロジックが大事。幸福と成功は違う。ワークライフバランスではなくワークアズライフ。


    ●「天才」ではない、「変態」だ

    秀才のようなジェネラリストでもなく、天才のような狭い専門分野でもなく、広いレンジで専門性を持つ変態。既成概念を取り払い、素人のように考えて玄人のように実行する。

    ●エジソンはメディアアーティストだと思う

    プラットフォームを生み出し文化的な変革をもたらした。人間とコンピュータが一体のデジタルネイチャー。

  • ☆☆重要なのは、「言語化する能力」「論理力」「思考体力」「世界70億人を相手にすること」「経済感覚」「世界は人間が回しているという意識」、そして「専門性」です。これらの武器を身につければ、「自分」という個人に価値が生まれるので、どこでも活躍の場を見つけることができます。☆☆


    ・「ガッツはレッドオーシャンだから、そこで勝負しても無駄だよ」
    ・コンピュータに負けないために持つべきなのは、根性やガッツではありません。コンピュータになくて人間にあるのは、「モチベーション」です。
    →気合(時間をかけること)でなく頭で勝負。その為の楽しむというモチベーションが必須


    ・再魔術化した21世紀に、あらゆる「魔術」の裏側を知る必要はありません。自分の専門ではない分野では、ひとりの消費者として「なぜそうなるのか」を理解しないままその利便性を享受していればいいでしょう。
    ・ロールモデルのないオリジナルな価値を持つ人間になろうとするなら、何かの「魔術師」になるのがいちばんです。
    →魔法(便利な仕組み)の裏側全てを知るのではなく、一つでもいいので自ら魔法を生み出すことが大切。

    ・しかし「自分が解決したいと思う小さな問題を探せ」と言われたら、どうでしょう。意識は外の世界に向かうはずです。そうやって探したときに、なぜか自分には気になって仕方がない問題があれば、それが「好きなこと」「やりたいこと」ではないでしょうか。
    →「自分探しは内面ではなく外に解がある」と考えること。

    ・若い世代は、いま自分がどんな時代に生きているのかを過去と比較して知ることも大事です。昔は何ができなくて、いまは何ができるのかを知らなければ、解決すべき問題を発見することも、そこに文脈をつけることもできません。
    →"古さ"(枯れた技術など)を軽視しない。知る事で文脈を作る。


    ・コンピュータの使い方を覚えるのではなく、「コンピュータとは何か」「プラットフォームとは何か」を考え、自分が何を解決するか、プラットフォームの外側に出る方法を考えに考えて考え抜くことが大切です。その「思考体力」を持つことが若い世代にとって重要になるでしょう。
    ・思考体力の基本は「解釈力」です。知識を他の知識とひたすら結びつけておくこと。もし小さい子供にそういう思考体力を身につけさせたいなら、周囲の大人がいろいろな問題について「言語化」を促すのが効果的でしょ
    →知識を知っているだけならグーグルにも出来る。それをどう解釈するか?何と結びつけるか?というのは、人間だけが出来る付加価値たりうる。

    ・自分の将来をイメージするときは、市場価値の「最高到達点」がどこにあるのかを考えておくべきです。

  • 難しいけどためになった。

  • 本でスマートスピーカーが売られてAIがどうのとか、叫ばれるよりも早くに書かれている。

    これからはモチベーションの時代。
    重要なのは 、 「言語化する能力 」 「論理力 」 「思考体力 」 「世界 7 0億人を相手にすること 」 「経済感覚 」 「世界は人間が回しているという意識 」 、そして 「専門性 」。これらを身につければ 、 「自分 」に価値が生まれるので 、どこでも活躍できる。

    余談だけど、教育において、英語語学力よりもロジカルな思考の方が大切というのは、ひろゆき氏も林修先生も主張していたな。

  • 自己啓発

  • きちんと物事を考え、研究してきた人による、これからの世界の方向性を踏まえた生き方の指南書

  • ・IT世界が進む中、自分の専門性を磨くことが重要(ジェネラリストよりスペシャリスト)
    ・PCに使われる人間ではなく、協業をできるスペースを探すこと。(常に思考し続ける習慣こそが大事)
    ・Uberのようなマネジメント管理(中間管理職)をITが代替していく時代が到来するので、その仕組みを作れる側に回ること。PCに踊らされる人材にならないこと。

  • コンピュータ、インターネットが普及し、更にAI技術が発達した先にどのような社会が待ち受け、人間はこれに対してどう生き抜くか、といったことが書かれています。今までホワイトカラーがしていた仕事は自動化され、多くはコンピュータの下請け的な働き方になるだろうと、著者は予測しています。また、そういった時代にこれまで以上の価値が認められるのは誰にもシェアされていない暗黙知だと書かれています。従来はホワイトカラー、ブルーカラーの二極が存在していたが、次のパラダイムではホワイトカラーの役割が縮小し、代わりに暗黙知を持つクリエイティブ・クラスという第三極が時代を先導するとしています。理路整然とした説明で読みやすく、また自分の今後の身の振り方の参考になる良書です。

  • 情熱大陸を見て速攻ポチりました。

    科学が発生するまでは殆どの事象は魔術的に説明されており、科学がそのベールを脱がせた、つまり「脱魔術化」したのであるが、コンピュータが発明され、現代の私たちは使いこなしてはいるけれどもコンピュータ内部で何が起こっているかは非常に複雑でわかりにくい。しかし利便性は享受する。このような「再魔術化」こそがこれからの世界で起こることで、人間は魔法をかける側になるか、魔法をかけられる側になるかに分かれる。いかにAIが発達しても、AIにないのは「モチベーション」である。人間はモチベーションを高めに設定し、合理的かつ情熱的なモチベーションにより機械を使う。従来通りの教育を受けたままでは、いわゆるホワイトカラーの仕事しかできず、それは間違いなく機械に取って代わられる。そして機械に使われる側になる。魔法使いになるためにどうすべきか。どういったマインドで(勉強とは区別された)研究に臨むか。

    試験明け色々終わり、ようやく落ち着いたので読了。
    ひととおり通読したが、単語を調べながら、とか、これはどういう意味だろう?を考えながらの読書だったので、恐らくまだ理解が足りてない。理解は足りていないが、「言語化から絶対に逃げるな」という本書の言葉に従い簡単にまとめ。読了後1日明けての投稿ですが、まだ本文中の言葉や例えのままなので、まだ自分のものになっていない。必ず再読します。

  • 刺激的。自分が「魔法をかけられる側」「コンピュータいとってかわられるホワイトカラー」のままでいるのか、「魔法をかける側」「クリエイティブ・クラス」「コピーできない暗黙知をためる人」になっていけるのか。自分お「市場価値」はいつが最大なのか。。

    わくわくする気持ちと、危機感とがないまぜになった心持ちがしている。

    もう5年、10年、と時間がある程度経過する都度、答え合わせをするかのように読みそうな本。

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著者プロフィール

メディアアーティスト。1987年生まれ。JST CREST xDiversityプロジェクト研究代表。
東京大学大学院学際情報学府博士課程修了(学際情報学府初の早期修了)、博士(学際情報学)。
筑波大学デジタルネイチャー開発研究センターセンター長、准教授、京都市立芸術大学客員教授、大阪芸術大学客員教授、デジタルハリウッド大学特任教授、金沢美術工芸大学客員教授。
2020年度、2021年度文化庁文化交流使、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)テーマ事業プロデューサーなどを務める。
2017~2019年まで筑波大学学長補佐、2018年より内閣府知的財産戦略ビジョン専門調査会委員、内閣府「ムーンショット型研究開発制度」ビジョナリー会議委員,デジタル改革関連法案WG構成員などを歴任。

「2023年 『xDiversityという可能性の挑戦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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