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感想・レビュー・書評
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社会物理学とは、情報やアイデアの流れと、人々の行動の間にある数理的関係性を記述する、定量的な社会科学である。
集団のパフォーマンスには、アイデアの流れのパターンが、最も大きく影響している。具体的には、アイデアの数の多さ、交流の密度の濃さ、アイデアの多様性がカギとなる。
ビッグデータと社会物理学を組み合わせ、データ駆動型社会を実現すれば、都市の生産性と創造性を改善できる。そのためには、「データのニューディール」と呼ぶ取り組みが必要になる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
集団におけるアイデアの流れを計測・可視化し、そこからいかにして集団の生産性を高めるかという本。社会物理学とは、情報やアイデアの流れと人々の行動の関係を定量的に扱う社会科学である。目的はアイデアの流れがどのようにして行動に結びついていくのかを明らかにすることだ。
本書のポイントはアイデアを個人が生み出すものではなく、集団でどのように流れ作用するかに焦点を当てていることである。どんなに優れたアイデアも活用されなければ意味が無い。多くの場合において、アイデアは個人ではなく集団で活用されるものだ。だからこそアイデアがどのように集団の中を流れ、行動変化に繋がるかを分析することに意味がある。そして仕組みがわかれば改善することもできる。
本書が最終的に目指すところは、社会にデジタル神経系が構築され、データによって安全で効率的な社会を作ることである。だが俺含む多くの読者にとって有用なのはもっと狭い範囲、例えば職場におけるチームの生産性を高める方法だろう。本書にはその答えも多く載っている。例えば集団的知性の基礎となるのは「会話の参加者が平等に発言しているか」「参加者の社会的シグナルをどれほど読み取れるが」の2点である。マネージャーは本書を読み、カリスマ的仲介者を目指してほしい。
この研究は現代だからこそ行える内容である。人々の行動や交流を定量的に扱うことは、かつては難しかった。一人の研究者が観察できるのは一度に一人だけ。あるいはアンケート調査に頼る必要があった。しかし現代にはスマホがある。交流の多くはスマホを通じて行われ、人々の位置情報さえも記録し続けることができる。そして得られた大量のデータを分析する道具もある。アイデアの流れというものはそれこそ文明以前から存在していたわけだが、現代になってようやく全容が分かるようになったというわけだ。 -
タイトルが面白そうなのでポチった。