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感想・レビュー・書評
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遠藤周作という作家が好きなので、深い河も読んだ。この本にも遠藤周作独特の宗教感覚というか、目線というか、そういうものが感じられ、私には非常に好ましいものだった。この物語には様々な背景を抱えた人物が登場する。各々の苦しみと感性を背負った人物たちは、どこか過去の遠藤周作作品で出てきた人々に似ているとも感じられる。それらが集大成のように「河」に集まってくる。なんとも不思議な、それでいて因果を感じさせる物語である。
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世界のどの宗教であれ、無心論者の自分が宗教色の濃い本に向かうと受け止めきれなくて挫折することが大半なのだけど、これは旅行ジャーナル的な要素も多く、また作者の伝えようとせんとするところもとても分かりやすくて余裕で読破できた。
また、言及する宗教が1つでないことも人間が作り出した観念であるところの「神」という存在のとらえ方というか認識の仕方が少し自分の中でクリアになった。
しばらく時間をおいて再読を重ねるのが良い作品だと思う。 -
それぞれに「闇」を抱えた5人が行き着く先はーー。
前半は複数の視点や交差するストーリーに引き込まれたが、
後半は集中力が切れてしまった。
もっとゆっくり、じっくりと読めば良かった。
再チャレンジしたい。 -
令和2年10月
ツイッターか何かで、一番感動した本として上げれていたので、読んでみる。
インドに行く。そこで、ガンジス川を感じる。
深い河って、ガンジス川のことね。そして、深いって深度ってことじゃなくて、器のことですね。
出だしで、号泣でした。結婚して、数十年。子供なし。会社一筋の旦那。そんな夫婦の奥さんがガンで死んでいく。その奥さんの最後に、私を探してって -
「ぼくが神を棄てようとしても…‥神はぼくを棄てないのです」
「ツカダさん。わたし、祈る。わたし、祈る」
「それしか……この世界で信じられるものがありませんもの。わたしたちは」 -
インドで読んだ。情景が生々しい。
救われたようで救われない話。 -
日本人的汎神的感覚を突き詰めていくとガンジス河、に充分理解が追いつかないのが無念も、うーん、と考え込まされる小説。相変わらず、温度も湿度も色も全く異なる場面を前後に挟む効果は絶妙だし(病院や上智大学からの、インド)、ガストンさん、九官鳥、インパール、チャームンダー、と魅力的な小道具が沢山。占い師の場面ではジム・キャリーの「マン・オン・ザ・ムーン」を思い出す。三条夫妻はじめ、薄っぺらいキャラが複数いるのに不満は残るが、大津さんの存在は圧倒的で、特に「弱ったな」って台詞に痺れた。次は何を読もうか?
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本作が書かれた20年前に読んだら、今とは違う感覚だろう。登場人物の女性の話し言葉が、昔の映画女優を髣髴とさせる。高度経済成長をささえたサラリーマン、過酷な従軍をした人の姿は、現在の物語にはなかなか見られない。けれども物語の深奥を流れる人生観、宗教観などは普遍なのだと思う。すべてが劇的で一気に読んだ。
著者プロフィール
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