マチネの終わりに [Kindle]

著者 :
  • コルク
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レビュー : 34
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (195ページ)

感想・レビュー・書評

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  • 僕にしては珍しく、噛み締めながらゆっくり読んで、最後のページから再度冒頭に戻って復習までした作品。素晴らしい。
    「ドーン」で僕らの既にある日常をSFっぽく提示したのとは対照的に、本作ではクラシックの世界の中で人間の感情の不思議さを語る。小説で音楽を扱うのは難しいと思うし、クラシック音痴の僕は何一つ理解できなかったけど、それでも「想い」は十分すぎるほど伝わった。
    舞台設定は華やかなれど、ごく普通の市井の人々の人生が、それもどうしても理想通りいかない人生がいくつも交差して、「感動」というよりはむしろ「納得」の作品。
    ラストシーンの副作用として、あだち充の「みゆき」を何故かたまらなく再読したくなります。

  • とにかく絶妙なすれ違いが切ない。展開が早過ぎず、遅すぎないので読みやすく面白い。イラクを中心に世界情勢、歴史が背景として描かれているので、勉強にもなった。読書芸人恐るべし。

  • 過去は未来によって変えられる。それはなんという甘美の響きだろう。ただ、その甘美な響きに騙されてはならない部分もある、その未来を作りあげることに困難と努力と、絶え間ない意志が付属する。

    ありきたりな、コミュニケーションの行き違いや、小さな事件で二人の恋人の仲がすれ違う話は本来好きでない。なぜなら、分かりあう努力が欠如しているから。だから本書の中盤でそのような事件が起きたとき、いやになって本を閉じようかと思った。

    それでも読み続けたのは、主人公の二人の人生の意義への探求の姿勢、そして、間違った婚姻に対してどのように品性を保ち、受け入れ、そして自分の中で整理し消化していったのか、その過程の描写が真摯だったからだ。

    恋愛小説というより、丁寧に生きるということについて、丁寧に丁寧に、少し脚色を含めながら、美しい人に受け入れられやすい物語にしあげた小説。
    平野啓一郎さんだったら、もっと深みのある小説も書けるのだろうと思うけど、これはこれで、ほどよいのかもしれない。抜け感が。

  • 「現在が過去に対する見方を変える」という心理学的なテーマが、本書を通底する一貫したモチーフ。

    著者は「幸せな今」が「辛く悲しかった過去」の意味や思い出をガラリと変えてしまうという主観的事実を、さまざまなエピソードに織り込んでいく。
    これは、(基軸となる)現在から(従たる)過去に対する「変容せよ」という要請のなせるわざ。

    ふと、この逆もあるのでは、と考えた。
    つまり、(基軸となる)過去から(従たる)現在に対する「変容するな」という要請もあるのではないだろうか。

    「決して幸せではない今」を「幸せではない」とほんとうは正当に評価したい。
    それなのに、過去や思い出があまりに幸せであったから、その「幸せな過去」が「今は幸せでない」という見方への変化を拒む。
    過去が今に対して変わらないよう要請する、という主観的事実。

    ディケンズの『大いなる遺産』はもしかするとそういう話だったのかもしれない、と思った。

  • 最後まで辿り着いたところで、わぁ!ここから新しいストーリーが始まるのね!!ワクワク!って思わされるラストはお見事。ただ、肝心のそこに辿り着くまでの行程が...ピュア過ぎるというか、大人の恋愛物とのことだけど、大人の=純粋さへの憧憬なのかな...辻仁成類型といいますか、男性読者が多いってところも妙に納得。このピュア探求欲は男性だなと。とはいえ、この作家らしく文章も綺麗でなんだかんだ楽しめた。

    • mktfryさん
      平野啓一郎ツイッターをフォローしていると、本書関連の感想を多数目にし、当たり前のように絶賛コメントばかりなので、クスリと笑えるレビューでした...
      平野啓一郎ツイッターをフォローしていると、本書関連の感想を多数目にし、当たり前のように絶賛コメントばかりなので、クスリと笑えるレビューでした。ナイス
      2017/10/06
  • 美しい文体と言葉。平野さんの小説は初めて読みましたが、繊細な文体が紡ぎ出す恋の物語がとても儚く、切なく、とても心を揺さぶりました。

  • 友人に紹介してもらって,初めてこのような小説を読みました.

    とても面白くて,すれ違いが起こる物語の半ばほどから最後まで,一気に読んでしまいました.
    余韻に浸れて,しかも物語の続きを読後自然に考えてしまう終わり方だったのも,とても良かったです.
    星4.5くらいです.

  • 第一回毎週テーマビブリオ(仮)
    テーマ:音楽

  • 前半の物語に期待を寄せていたが故に、後半残念。

    こんな、用意されたすれ違いや第三者の悪意で、道を決めてほしくなかった。本人達だけをきれいに描いてほしくなかった。

    それでも、とても美しい意味を持つことのできる言葉があった。
    「過去は変えられる」「未来は常に過去を変えている 」

  • 大人の恋の大人の小説。天才と完璧美人。後半の展開は夢中で読んでしまった。

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プロフィール

平野 啓一郎(ひらの けいいちろう)
1975年、愛知県蒲郡市生まれ。生後すぐ父を亡くし、母の実家のた福岡県北九州市八幡西区で育つ。福岡県立東筑高等学校、京都大学法学部卒業。在学中の1998年、『日蝕』を『新潮』に投稿し、新人としては異例の一挙掲載のうえ「三島由紀夫の再来」と呼ばれる華々しいデビューを飾った。翌1999年、『日蝕』で第120回芥川賞を当時最年少の23歳で受賞。
2009年『決壊』で平成20年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、2009年『ドーン』で第19回Bunkamuraドゥマゴ文学賞、2017年『マチネの終わりに』で第2回渡辺淳一文学賞をそれぞれ受賞。2014年には芸術文化勲章シュヴァリエを受章した。
『マチネの終わりに』は福山雅治と石田ゆり子主演で映画化が決まり、2019年秋に全国で公開予定となっている。

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