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感想・レビュー・書評
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平野啓一郎が好き、なんていうと、読書家みたいな、ちょっと物知りみたいな、とにかくインテリ!みたいな空気を醸し出すかなーと思いながら、平野啓一郎の著作に挑むこと早20年。読み通すことが勤行、つまり私は俗物、平野啓一郎の作品を理解できたり、素晴らしいと他人に語れることがないと思っていた時に出会ったのが、この作品でした。平野啓一郎はどういうコンセプトでこの物語を紡いだのだろう。私のような、背伸びしたい人への救済として、この作品を創り出したのだろうか。とにかく、せつなく、哀しい時間を楽しみました。なにより、マチネという、なんともセクシーな時間帯が表題になっていることに、背伸びせず、楽しめました。ありがとう平野啓一郎。これからも、努力して、応援しています。
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僕にしては珍しく、噛み締めながらゆっくり読んで、最後のページから再度冒頭に戻って復習までした作品。素晴らしい。
「ドーン」で僕らの既にある日常をSFっぽく提示したのとは対照的に、本作ではクラシックの世界の中で人間の感情の不思議さを語る。小説で音楽を扱うのは難しいと思うし、クラシック音痴の僕は何一つ理解できなかったけど、それでも「想い」は十分すぎるほど伝わった。
舞台設定は華やかなれど、ごく普通の市井の人々の人生が、それもどうしても理想通りいかない人生がいくつも交差して、「感動」というよりはむしろ「納得」の作品。
ラストシーンの副作用として、あだち充の「みゆき」を何故かたまらなく再読したくなります。 -
とにかく絶妙なすれ違いが切ない。展開が早過ぎず、遅すぎないので読みやすく面白い。イラクを中心に世界情勢、歴史が背景として描かれているので、勉強にもなった。読書芸人恐るべし。
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過去は未来によって変えられる。それはなんという甘美の響きだろう。ただ、その甘美な響きに騙されてはならない部分もある、その未来を作りあげることに困難と努力と、絶え間ない意志が付属する。
ありきたりな、コミュニケーションの行き違いや、小さな事件で二人の恋人の仲がすれ違う話は本来好きでない。なぜなら、分かりあう努力が欠如しているから。だから本書の中盤でそのような事件が起きたとき、いやになって本を閉じようかと思った。
それでも読み続けたのは、主人公の二人の人生の意義への探求の姿勢、そして、間違った婚姻に対してどのように品性を保ち、受け入れ、そして自分の中で整理し消化していったのか、その過程の描写が真摯だったからだ。
恋愛小説というより、丁寧に生きるということについて、丁寧に丁寧に、少し脚色を含めながら、美しい人に受け入れられやすい物語にしあげた小説。
平野啓一郎さんだったら、もっと深みのある小説も書けるのだろうと思うけど、これはこれで、ほどよいのかもしれない。抜け感が。 -
最後まで辿り着いたところで、わぁ!ここから新しいストーリーが始まるのね!!ワクワク!って思わされるラストはお見事。ただ、肝心のそこに辿り着くまでの行程が...ピュア過ぎるというか、大人の恋愛物とのことだけど、大人の=純粋さへの憧憬なのかな...辻仁成類型といいますか、男性読者が多いってところも妙に納得。このピュア探求欲は男性だなと。とはいえ、この作家らしく文章も綺麗でなんだかんだ楽しめた。
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平野啓一郎ツイッターをフォローしていると、本書関連の感想を多数目にし、当たり前のように絶賛コメントばかりなので、クスリと笑えるレビューでした...平野啓一郎ツイッターをフォローしていると、本書関連の感想を多数目にし、当たり前のように絶賛コメントばかりなので、クスリと笑えるレビューでした。ナイス2017/10/06
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一度読めばよいかな・・
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いやー
ずーーーっと読みたいって思ってて。
途中までは夢中で読んだけど…最後がなぁ。 -
「マチネの終わりに」(平野啓一郎)を読んだ。
あまりにも自分と違いすぎる彼等のハイスペックさに鼻白んでしまい、3回くらい投げ出しそうになったのは事実。
が、しかし、第七章からラストまで、時間の経つのも忘れて一気に(ひたすら涙を流しながら)読んだよ。
この物語はもう忘れられない。
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