マチネの終わりに [Kindle]

著者 :
  • コルク
4.09
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本棚登録 : 559
レビュー : 50
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (195ページ)

感想・レビュー・書評

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  • 平野啓一郎が好き、なんていうと、読書家みたいな、ちょっと物知りみたいな、とにかくインテリ!みたいな空気を醸し出すかなーと思いながら、平野啓一郎の著作に挑むこと早20年。読み通すことが勤行、つまり私は俗物、平野啓一郎の作品を理解できたり、素晴らしいと他人に語れることがないと思っていた時に出会ったのが、この作品でした。平野啓一郎はどういうコンセプトでこの物語を紡いだのだろう。私のような、背伸びしたい人への救済として、この作品を創り出したのだろうか。とにかく、せつなく、哀しい時間を楽しみました。なにより、マチネという、なんともセクシーな時間帯が表題になっていることに、背伸びせず、楽しめました。ありがとう平野啓一郎。これからも、努力して、応援しています。

  • 僕にしては珍しく、噛み締めながらゆっくり読んで、最後のページから再度冒頭に戻って復習までした作品。素晴らしい。
    「ドーン」で僕らの既にある日常をSFっぽく提示したのとは対照的に、本作ではクラシックの世界の中で人間の感情の不思議さを語る。小説で音楽を扱うのは難しいと思うし、クラシック音痴の僕は何一つ理解できなかったけど、それでも「想い」は十分すぎるほど伝わった。
    舞台設定は華やかなれど、ごく普通の市井の人々の人生が、それもどうしても理想通りいかない人生がいくつも交差して、「感動」というよりはむしろ「納得」の作品。
    ラストシーンの副作用として、あだち充の「みゆき」を何故かたまらなく再読したくなります。

  • とにかく絶妙なすれ違いが切ない。展開が早過ぎず、遅すぎないので読みやすく面白い。イラクを中心に世界情勢、歴史が背景として描かれているので、勉強にもなった。読書芸人恐るべし。

  • 過去は未来によって変えられる。それはなんという甘美の響きだろう。ただ、その甘美な響きに騙されてはならない部分もある、その未来を作りあげることに困難と努力と、絶え間ない意志が付属する。

    ありきたりな、コミュニケーションの行き違いや、小さな事件で二人の恋人の仲がすれ違う話は本来好きでない。なぜなら、分かりあう努力が欠如しているから。だから本書の中盤でそのような事件が起きたとき、いやになって本を閉じようかと思った。

    それでも読み続けたのは、主人公の二人の人生の意義への探求の姿勢、そして、間違った婚姻に対してどのように品性を保ち、受け入れ、そして自分の中で整理し消化していったのか、その過程の描写が真摯だったからだ。

    恋愛小説というより、丁寧に生きるということについて、丁寧に丁寧に、少し脚色を含めながら、美しい人に受け入れられやすい物語にしあげた小説。
    平野啓一郎さんだったら、もっと深みのある小説も書けるのだろうと思うけど、これはこれで、ほどよいのかもしれない。抜け感が。

  • 「現在が過去に対する見方を変える」という心理学的なテーマが、本書を通底する一貫したモチーフ。

    著者は「幸せな今」が「辛く悲しかった過去」の意味や思い出をガラリと変えてしまうという主観的事実を、さまざまなエピソードに織り込んでいく。
    これは、(基軸となる)現在から(従たる)過去に対する「変容せよ」という要請のなせるわざ。

    ふと、この逆もあるのでは、と考えた。
    つまり、(基軸となる)過去から(従たる)現在に対する「変容するな」という要請もあるのではないだろうか。

    「決して幸せではない今」を「幸せではない」とほんとうは正当に評価したい。
    それなのに、過去や思い出があまりに幸せであったから、その「幸せな過去」が「今は幸せでない」という見方への変化を拒む。
    過去が今に対して変わらないよう要請する、という主観的事実。

    ディケンズの『大いなる遺産』はもしかするとそういう話だったのかもしれない、と思った。

  • 最後まで辿り着いたところで、わぁ!ここから新しいストーリーが始まるのね!!ワクワク!って思わされるラストはお見事。ただ、肝心のそこに辿り着くまでの行程が...ピュア過ぎるというか、大人の恋愛物とのことだけど、大人の=純粋さへの憧憬なのかな...辻仁成類型といいますか、男性読者が多いってところも妙に納得。このピュア探求欲は男性だなと。とはいえ、この作家らしく文章も綺麗でなんだかんだ楽しめた。

    • mktfryさん
      平野啓一郎ツイッターをフォローしていると、本書関連の感想を多数目にし、当たり前のように絶賛コメントばかりなので、クスリと笑えるレビューでした...
      平野啓一郎ツイッターをフォローしていると、本書関連の感想を多数目にし、当たり前のように絶賛コメントばかりなので、クスリと笑えるレビューでした。ナイス
      2017/10/06
  • いやー
    ずーーーっと読みたいって思ってて。
    途中までは夢中で読んだけど…最後がなぁ。

  • 決してハッピーエンドではなくて、切ない。
    久しぶりに、ドキドキ、イライラ、そわそわする本だった。また読みたい。

  • 「過去は変えられる」
    「未来は常に過去を変えている」

    映画が気になって読んでみた。期待しすぎてたかもしれないけれど、今本を読み終わったこの状態で映画を見てみたいと思う。

  • 「マチネの終わりに」(平野啓一郎)を読んだ。
    あまりにも自分と違いすぎる彼等のハイスペックさに鼻白んでしまい、3回くらい投げ出しそうになったのは事実。
    が、しかし、第七章からラストまで、時間の経つのも忘れて一気に(ひたすら涙を流しながら)読んだよ。
    この物語はもう忘れられない。

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著者プロフィール

平野 啓一郎(ひらの けいいちろう)
1975年、愛知県蒲郡市生まれ。生後すぐ父を亡くし、母の実家のた福岡県北九州市八幡西区で育つ。福岡県立東筑高等学校、京都大学法学部卒業。在学中の1998年、『日蝕』を『新潮』に投稿し、新人としては異例の一挙掲載のうえ「三島由紀夫の再来」と呼ばれる華々しいデビューを飾った。翌1999年、『日蝕』で第120回芥川賞を当時最年少の23歳で受賞。
2009年『決壊』で平成20年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、2009年『ドーン』で第19回Bunkamuraドゥマゴ文学賞、2017年『マチネの終わりに』で第2回渡辺淳一文学賞、2019年『ある男』で第70回読売文学賞(小説部門)をそれぞれ受賞。2014年には芸術文化勲章シュヴァリエを受章した。『マチネの終わりに』は福山雅治と石田ゆり子主演で映画化が決まり、2019年秋に全国で公開予定となっている。

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