言ってはいけない―残酷すぎる真実―(新潮新書) (言ってはいけない) [Kindle]

  • 新潮社 (2016年4月16日発売)
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本 ・電子書籍 (212ページ)

感想・レビュー・書評

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  • 一時すごく流行った本。学者でもない作家上がりの人が書いた本だし、倫理的に言ってはいけないことをズバズバ言います、ボクちゃん空気とか読まないもんね、的な本だと思って敬遠していたけれど、意外と真っ当な内容だった。巻末にしっかり引用文献リストもついていて信頼がおける。先入観で貶して申し訳ない。

    さて、読んでいて不愉快な部分が多いだろう、と筆者は前置きしていたが、私にとって不愉快だったのは、「男らしさ」「女らしさ」について書いた部分ぐらいだろうか。2016年の本だから情報が古いのかもしれないけど、脳の性差についてのエビデンスはほとんどが否定されているのに、厳然たる事実のように取り上げられていたのが残念だった。「あなたのセックスが楽しくないのは資本主義のせいかもしれない」で紹介されていた、セックス経済学ぽい言説も出てきて、男女平等が女性の幸福を妨げる、とかいう章題もあったので、どうせこの後は「自然な男女」像を礼賛し、アファーマティブアクションを男性差別とこき下ろす流れになるんでしょ?とげんなりして、もう読むのやめようかと思ったけど、案外そういった流れに突き進むことはなく、他の章は興味深く読み進めることができた。逆にミソジニストの人には物足りないかもしれない(笑)

    犯罪者早期発見システムの構想や、美貌格差で一番割を食ってるのは醜い男性だという話、人類乱婚説、英才教育まったく意味ない説など、読む人によっては不愉快になりそうな話題も多いが、あとがきで書かれていたとおり、人間の認知や知能といったものが、どういったバイアスによって歪まされているのかを知っておくことは非常に有用だと感じた。

  • うーーーーーん…
    結論ありきのフィルターバブルっていうか何かバイアスを感じるなぁ…

  • センシティブな内容でかつ面白い本。この本を読んで、遺伝がすべてを説明するとは考えないことが大切だと思った。佐藤優さんが『悪の進化論』の中で本書について、優生学的思想を放っていると書いていたのが印象に残った。
    あとがきの、分離脳の話が大好き。橘玲さんのブログであとがきは読めるので、ぜひみなさん読んでみてください。
    印象に残ったところメモ。
    - 知識は遺伝する上に、知識社会では知識がある人間が上位に立つ
    - アジア系はSS型がおおくうつになりやすい遺伝子もち、不安感と引き換えに高い知能を手に入れた。このことと東アジアの国々で封建的な社会制度の発達や儒教の浸透が関連している可能性。
    - 嫉妬という強い感情は、他人の子供をそうと知らず育てることによる損失からきている。
    - オルガズムにより子宮が収縮しスポイトのように精子を吸い上げる。レイプ時にはこれがない。
    - 話しているときに相手の目を見る人は知的な印象を与えるばかりか、実際に知能が高い。
    - 子供の人格や能力・才能の形成に子育てはほとんど関与できない。親の役割は子供の持っている才能の芽を摘まないような環境を与えることが重要。

  • 「言ってはいけない 残酷すぎる真実」橘怜

    ---------------------------
    この社会にはきれいごとがあふれている。人間は平等で、努力は報われ、見た目は大した問題ではない―だが、それらは絵空事だ。進化論、遺伝学、脳科学の最新知見から、人気作家が明かす「残酷すぎる真実」。読者諸氏、口に出せない、この不愉快な現実を直視せよ。
    「BOOK」データベースより
    ---------------------------

    冒頭から「この本は読むと不愉快になるよ」と記載されてまして、『えー、そんなことあるー?』と思いながら読みました。

    うん。
    うむ。

    とても興味深くて面白いし、知識として「へぇぇそうだったのかー」と思ったところもすごく多かったんだけど、読み終わった今、心がとてもザワザワ、フワフワしている。。。
    確かに、爽やかな読後感ではないな。

    心がザワザワしてる理由は、
    なんていうか、今がいいとは思えないけど、かといって、この言っちゃいけない事柄を大っぴらに社会のまな板に載せたとしても、現状の「タブーはタブーとして伏せとく」以上の最適解を、私は考えられなかったからです。

    この本では統計や確率的な話をベースに、
    ・頭の良し悪しは遺伝する
    ・犯罪者の子は犯罪者になる
    ・精神的な部分も遺伝する
    など、現実ではぼやかしてきてることに切り込んでいます。
    こういう事実は、差別やいじめの原因になりやすいし、努力を無意味化するものでもあるから、安易に社会の常識化はできないわけですよね。

    この、ぼやかしてる部分をつまびらかにしたとして、こういう繊細なデータを正しく偏りなく理解し、キレイな形で使いこなせるほど私たち人類は賢くもないし清らかな精神も持ち合わせてないだろうなぁ、残念ながら。

    統計とか確率とか難しくて、私も読んでてよくわからない箇所があったし、あくまで全体の統計とかパーセンテージとかなので、個人がどういう子を産むかの確率とは別モノなはずだけど、なんか読んでるとそういう点もゴッチャになっちゃって。。。
    数値を正しく読むって私にはむずかしいわ〜〜(´・_・`)

    みんながみんな、分析を数値上の統計だときちんと理解できて、自分の近くの人に対してこの数値を安易に当てはめたり、数値を悪用したりしないならいいけど、現実はそうじゃない。
    育ちや外見で人を見下したり、差別意識みたいなのは誰でももってしまう。
    私だって、腹がたつヤツとか、会話にならない人とかを相手にしてると「この愚か者め!」って心の中で罵ったりすること、ありますしね。そういう悪意に、このデータは簡単にのっかるなー、と。
    だから、人の心に悪意っちゅうもんがある限り、この統計を上手に使うことはできないんじゃないかな、と思いました。


    心がなんだかフワフワする理由は、この本を読んでると自分という存在も結局遺伝子レベルで操作されているんだな、という所在無さを感じたんですよね。
    自分の思考や行動など自分で決めてると思ってるけど、全然違うんだな、と思い知ったというか。。。

    この本では、家庭での教育や親のしつけなどの生育環境は子の成長に大して意味がない、と言っちゃってまして。。
    マジかよ、ってな感じです。

    まぁ色々なデータで説明しとるんですが、たとえば、まったく別々の生育環境で育った一卵性双生児でも、結局同じような人生を歩んだりすることがすごく多いそうなんです。(感想なのでざっくり書いてますが、本の中ではもう少しちゃんとデータで示してます。)
    どんなに素敵な里親で育っていても、遺伝的に犯罪を犯しやすい傾向があれば、双子は同じタイミングで非行に走ったりするし、喫煙するタバコの銘柄まで一緒だったりするし、娘の名前が一緒だったり。。
    なんか、そういうのいっぱい説明されると、私という存在も私の思考も、結局遺伝子レベルで決定されてることをなぞってるだけなのか、と思い知らされたり、
    現状リアルタイムでやってる子育ても、遺伝子で決まってるなら、もう親がどうこうじゃなく、なるようにしかならないんじゃないの、という残念感を感じてしまうというか。。

    部分を切り取っての感想なんで、これだけ読んでも正しく理解できないと思います。正しいデータとか気になる人は読んでみてくださいな。
    そして、感想を聞きたい。


    あと、数値やデータについて思うこともいくつかありました。この本、統計の話がメインなので。
    数値って数値自体には意味がなくて、そこに解釈や味付けを施すのは、そのデータを扱う人間です。
    だから、アンケート結果や、テレビの街頭インタビューも、編集者の切り取り方や思いで、容易に恣意的に情報を操作できる。
    データ切り取るっていう作業だけとっても、その切り口に恣意性がどうしても入ってしまう。

    仮説たてて仮説を元に調査して、調査結果を分析するってのも、なんかロジカルで賢い感じはするけど、調査する人の思考バイアスありきなのか、と思っちゃって、じゃあ分析ってどこまで信用できるもんなんだろな、と思ってしまったりもしたんですよね。。
    こないだ仕事でアンケート分析したんですけど、全過程で私の思考バイアスありきじゃん、と改めて気付いて、考察とか私ごときがするのは違うんじゃないかな、と思っちゃって。
    生データを各自見て感想を言い合う方がまだまっとうなのかな、と。
    (まぁそれが時間的にも難しいから、現実は第三者の恣意性ありきで、まとめるってことになるんだろうけども。)
    もしくは、多角的に分析できるツールも今はあるから、生データを放り込んで、ツールで各自が好きな角度で切り取るとかね。

    もちろん、その恣意性をできるだけ省くってのは前提だろうし、統計上手?!な人はそこらへんとうまくやれるんだろうけど、なんか難しいなーと思って。
    数値は無味無臭だけど、そこにニオイや味付けをするのは、データを扱う人の思考ありきなんだな〜〜って体感した次第です。



    なんていうふうに、書ききれないけどいろんな意味で心を揺さぶる内容でした。
    いい悪いは置いといて、心揺さぶられた感は今年の書籍ベスト3に入りますね。
    是非、読んでみてください。

  • 何だったかの本で佐藤優の書評を読んで、そこに紹介されていた「6歳で数ヶ国語をあやつり、11歳で Harvard 大学に入学した神童」のエピソードが衝撃的だったので、買ってみた(佐藤優と違って、ネタバレはしないでおく)。しかし、面白かったのはそのエピソードくらいで、あとはちょっと物珍しい社会学の言質を雑多に取り集めただけという印象。

    前半こそ、行動遺伝学とやらの知見をきちんと統計的に正しく処理された(著者も「擬似相関を排した」と明確に書いている)データに基づいて説明していたものの、後半に行くにしたがって非科学的になり、擬似相関どころか、統計的に有意かどうかも判らない相関に基づいて議論を展開している箇所が目立つ。あとがきに至っては、無茶苦茶だ。ちょっと幅を広げ過ぎたんじゃないかなぁ。

    もっとも朝日新聞が『ひとが嫌がるようなことをする表現の自由はない』と書いたことに反発して、とにかく常識に反するような学説を片っぱしから集めて書いてみた、というレベルの本らしいので、まあ、どっちもどっちだ。

  • 現代社会の言論界におけるタブーを犯しながら脳科学や心理学分野における実証実験等を通して人間が百万年単位で進化させてきた事柄をわかりやすく明らかにしてくれた書籍。やや偏った見方ではあるものの、このような視点も人間を理解する上では大事。
    環境ではなく遺伝により人の思考や行動は形成されている面が大きい。一方で集団環境における本能に基づく振舞いも大きく影響を与える。
    現代社会においては犯罪ともなりうることが人の進化によって脳にビルドインされていることも。
    このようなアプローチを認識した上で今の社会構造を冷静にみることは必要。新たな目を養ってくれた書籍。

  • 2度目は読まないかな

  • 口にし難い残酷な真実を、世界中の論文を引用して示す。人種による知能の違い、遺伝の影響の大きさ、容姿のタブーなど。
    皆薄々気づいてはいるが、ポリコレやハラスメントなどを考慮して言いづらいことを、データをもとにズバッと述べるのが痛快。

  • 努力すれば誰しも報われる…と言うような聞こえは良いが本当にそうなのか?という問題などに実験データや統計などを示しながらどんどん切り込む。遺伝のタブー、美貌格差のタブー、教育のタブーなど、どれも平等平等!と叫ぶ人から叩かれそうな内容ばっかりで面白かったわ。データをどこまで信じていいかはわからんけど、聞こえの良い欺瞞に溺れるよりはこういう知識がある方が自分のためになるかなーと思った。ちなみに友達は小説系を読まないので僕が貸してお互い補完。

  • 少し昔の本だから読む意味ないか、と思ったが違った。タブーをじゃんじゃん言っていくため、新鮮味がある。遺伝と家庭環境は興味がある。下の話題がよく出てきて、ただの変態かもと思ってしまったが、そういう批判も考慮して執筆してくれたという点で意味のある本。データに基づくため根拠ある。

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著者プロフィール

橘 玲(たちばな・あきら):作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。2002年、国際金融小説『マネーロンダリング』でデビュー。同年、「新世紀の資本論」と評された『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)、が30万部を超えるベストセラーに。06年『永遠の旅行者』(幻冬舎)が第19回山本周五郎賞候補。『言ってはいけない 残酷すぎる真実』(新潮社新書)で2017新書大賞受賞。著書に『「読まなくてもいい本」の読書案内』(ちくま文庫)、『テクノ・リバタリアン--世界を変える唯一の思想』(文春新書)、『スピリチャルズ 「わたし」の謎』(幻冬舎文庫)、『DD(どっちもどっち)論――「解決できない問題」には理由がある』(集英社)等多数。

「2024年 『親子で学ぶ どうしたらお金持ちになれるの?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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