読書は格闘技 (集英社) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 8/25 図書館

    読書は人生を豊かにするかもしれないが、
    人生を豊かにするための読書は悲劇だ。

    読書はもっと自由でいい。自分の中で対話を自然と繰り返していける。

    もう月間、週刊セラーの本を多読は必要ない。無理に本を読まなくていい。その本が必要な時が来るから。その本は今、人気で売れているかもしれない。けど自分にはベストシーズンではない。自分が興味のある本を手にとっていけばいい。

    僕はなぜ本を読むのか。その解が少しだけ持てた気がする。

    前回手にした本を読み終えて疑問を抱いた。全ての行動に理由が必要とは思わない。ただここ数年の読書習慣が少し窮屈に感じることがあった。中学生の時は好きな本を読みあさり、世界に入り浸った。歳をとって、自分の価値やら成長のためにと新しい分野の本を手に取り出した。この頃から苦しさを感じていた。

    なぜか。自分は何のためにこれを読むのか。そしてこの本は読む意味があり、その後どうするのか?
    これを意識し出してから読書が楽しくなかったが、やっと考えることができた。

    僕にとって読書は2種類ある。

    ・ただ自分の欲を満たすため、趣味としての読書
    ・学びのための読書

    この二つの線引きがすごく曖昧だった。

    本書は、著者が2冊の本を対比して特徴を述べた後、著者の意見が述べられる。彼はこの行為を格闘技と呼んでいる。そして読者特徴(彼の解釈)と意見に挑んでこいという。それが読書だと。

    中学生までの読書は1人で彼と同じことを繰り返していた。読む、疑問を抱く、考える。この行為を経て次の本に手を伸ばした。

    息苦しくかった読書は、誰かに勧められたからや自分の弱点を補うための他人の経験を知るため、次々と新しい本を手にしていた。

    動機がそもそも違った。格闘技ではなく格闘技観戦になっていた。受け身で身につかないはずだ。

    趣味としての読書はそのまま続けたらいい。目的はいらない。身につかなくていい。何かを学ぶとか、知識をつけるために読んでいるわけではないから。小説、タイトルが気になった本。自然と手にとった本。偶然の出会いがあるかもしれない。

    ただ息をする様に本を読めばいい。その本を読んで感じた違和感だけ忘れないようにする。

    学ぶための読書。もし何か学びたいことがあって本を読む時。そんな時は何冊(10冊くらい)かの本を手にとってみる。

    この時、初めて目的を意識するだけでいい。何のために読んでいるのか?数冊、自分の中にしっくりきた本を何度も読んで知識をインプットする。そしてそれをアウトプット実践する。外の世界へ自分なりに表現する。ここからは目的を果たすために、実践と修正(インプットと思考)を繰り返す。

    もうたくさんの本は必要ない。本当に大切な一冊を何度も何度も読みかえすだけ。ボロボロになるまで本と戦う。





  • 格闘と入っているところから、ちょっとおそるおそるという感じで読み始めたら、いや読書ってこういうものじゃないかなぁ、と素直に楽しめた。読書って、もともとこういうものじゃないの?あるテーマについて本を読み、なるほどと思いつつ、同じテーマでそれとはちがった方向の本を読んでみたくなる。それによって自分の考えがより深められていく。俺はこの著者ほどたくさんの本は読めていないけれど、流れとしてはよく理解できる話だと思った。

     紹介されている本も興味深く、いくつかは読んでみようと思った。久しぶりにみた「いやいやえん」のタイトルも、子どものとき以来再読したくなってね。今、実家のどこかにあるかなぁ。

    はじめて読んだ著者の人だ。若い研究者で活発に、かつ友だちはいらないとか挑発的なタイトルの本を出していたと思う。戦闘的な感覚の人とか現代ビジネスの最前線を行くような人は苦手なので。俺、気が小さいからさ。でも。本書でいわれていることは、そんな挑発的でもなかったし、感覚的にもすっとはいってきた。若くして亡くなったことは聞いていたけど、若いといいつつ俺より一学年上の同年生まれだったんだね。ちょっと感慨深い。

  • Vol.354 武器となる読書術。必要なテーマを自分の中で進化させる方法。http://www.shirayu.com/letter/2016/000716.html

  • 本書では、読書を「格闘技」に見なし、一方をチャンピオン、もう一方をチャレンジャーとして、好対照な2冊のベストセラーを取り上げて対比を行っている。

    著者は、書いてあることに賛同できなくとも、それが批評するに値するほど、一つの立場として主張、根拠が伴っていれば、それは「良書」としている。

    「初めて読んだときは、すごい論文だと思ったが、今ではすべての業に反論が書き込んである」

    という著者の指導教官の話にも書かれているが、倒すべき相手は乗り換える価値のある存在でなければならないという考え方だ。

    そのため、本書で取り上げられる作品は良書に限られており、好対照な2冊の考察を読めるという意味でも本書は魅力的だ。



    取り上げられる本についても、理想郷を描いたユートピア小説である『ニューアトランティス』と絶望的な未来を描いたディストピア小説である『1984』の対比や、など国語の教科書の定番である『山月記・李白』と『故郷』の対比など着眼点が面白い。

    一見似ているように思える『人を動かす』vs『影響力の武器』

    では、両者の違いを著者は指摘する。

    人を動かすが道徳的で、人として正しいことをすることを体験的に書かれているのに対し、『影響力の武器』では道徳的ではなくむしろ詐欺まがいなテクニックまで考察の対象となっているが、社会心理学的な根拠があるものを取り上げているという違いがあるという。

    本書を読んでいて、本筋ではないがこれはなかなかうまいなと感じたことを紹介したい。

    『さあ、才能に目覚めよう』という本では、心理学的な診断テストを受けられる点が大きな売りだったが、

    この本では、一冊一冊に個別のID番号が付けられていて、その番号を使って一度だけ診断テストを受けられる。

    これにより、中古品の出回りを阻止し、ロングセラーとなったという。

    ーーーーー

    本書は、批評をテーマとしていることもあり、著者の意見も強めだが、良書の内容を知り、それについて考察できるという読書の秋にふさわしい一冊であると思います。

    今日から読書週間ということでぜひ、本を読んでみてはいかがでしょうか。

  • ○引用
    成功には偶然の要素もあり、その要因は本人にもわからないことが多いのに対して、失敗は再現性がある。

    強みというのは市場と競合との関係で決まるものであって、自分の中だけでは決まらない

  • 瀧本さんのドヤ顔が目に浮かんでくるような本でした笑。
    「本をただ読んでても意味ないで、本当にそれが正しいのか?と疑って読んで、反証する中で自分の考えを固めていくという知的プロセスや、これは格闘技なんや!」という本です。

    人を動かすと影響力の武器を比較していたり、一九八四とニューアトランティスを比較していたりと、メジャーどころの古典からマイナー本、更には児童文学まで幅広い。瀧本さんの読んでいる書籍の幅広さや、それをどう読んでいるかということに触れるだけでもそれなりに面白さはあるかと思います。

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著者プロフィール

京都大学客員准教授、エンジェル投資家、教育者。1972年生まれ。麻布高等学校、東京大学法学部を卒業後、大学院をスキップして直ちに助手に採用。専攻は民法。任期終了後は学界に残らず、マッキンゼーへ入社。3年で独立し、多額の債務を抱えていた日本交通の経営再建などを手がけながら、エンジェル投資家として極めて初期段階の企業を15年以上にわたって支援し続ける。京都大学では教育、研究、産官学連携活動に従事。「意思決定論」「起業論」「交渉論」の授業を担当し、人気NO.1若手教官として「4共30」講義室を立ち見に。各界において意思決定を先導するリーダーを育てることを目標に、選抜制の「瀧本ゼミ」を主宰。著作物やディベートの普及活動を通して、次世代への教育に力を入れていた。2019年8月10日永眠。

「2022年 『瀧本哲史クーリエ・ジャポン連載集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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