銀河鉄道の夜 [Kindle]

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  • 2016年4月19日発売
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レビュー : 40
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (53ページ)

感想・レビュー・書評

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  • 気の置けない幼なじみとの二人旅。
    このままずっと何処までも続くと思っていた。

    銀河ステーションで貰える黒曜石でできた地図にお菓子の鷺。
    宮沢賢治の生み出すものは、子供も大人も欲しがるものばかり。

    「ほんとうのさいわいは、いったいなんだろう」
    カムパネルラとジョバンニ、二人で語り合った問いに対する答えは、大人になったジョバンニが自分自身で見つけ出してほしい。
    数多の星で創られた天の川の、何処かにいるはずのカムパネルラに今年もまた逢える。

    小さい頃に映画館で観たアニメ『銀河鉄道の夜』。
    当時は内容も知らずに観たため、映像が綺麗でとても神秘的な印象を持ったものの、訳の分からない内に終わってしまった感じだった。
    こうやって改めて文章で読むととても懐かしい。
    私も死ぬ間際は、カムパネルラのように銀河鉄道に乗りたいな。

  • 小学生の頃アニメで観て、カムパネルラがいなくなるシーンが悲しすぎてトラウマで、これまで何度も本を読もう読もうと思いはしたけれども、その悲しさの印象が強すぎてなかなか読めなかった笑 けど、ついに。そして、やっぱ死ぬほど悲しい気持ちになった。。賢治はほんとに繊細な心を書くのが上手。車内で起きてることをイメージするのは難しい。話は結構難解。宗教性が強くて驚いた。ほんとうのしあわせのためにがんばろう。

  • 河合隼雄の「人生読本」を読み進めるうちに、先生が紹介される本に自分でも読んでみたいと思った本が多数あったのだが、その中でまずこの本を読んでみることにした。

    日本人なら誰もが知っているこの本、未読だけれども今さら読む意味があるのかという気持ちのまま今日まできたが、河合先生のオススメに背中を押され、夏休みの少しの夜更かしを利用して読むことにした。青空文庫に感謝。

    主人公ジョパンニとその友人カムパネルラの銀河鉄道の旅の物語。いや、主人公ジョパンニの夢の中の物語か。
    単なるファンタジーではなく、様々なとらえ方ができる小説だと思う。著者はハッキリとした結論めいたことで小説を締めてはいない。

    以下、ネタバレとなります。後日、何かの発見があるかもしれないので、自分なりの大まかな粗筋をメモっておくこととします。

    ***

    「午後の授業」では、理科の授業で、ジョパンニやカムパネルラが銀河についての授業を受けるシーン。

    「活版所」ではジョパンニが放課後、活版所でアルバイトをするシーン。

    「家」では、ジョパンニと病床に伏せる母親との貧しい暮らしのシーン。父親は出稼ぎで戻らない。友人のカンパネルラの家には、アルコールランプで走る汽車がある。

    「ケンタウル祭の夜」では、ジョパンニは祭りのために飾られた街で、「星座早見」を見つけ、その図に見入る。学校での授業も思い出しながら。しかし、祭の賑わいを通り越して、母のための牛乳を求めに行く。

    「天気輪の柱」 ジョパンニは、牧場のうらの丘の頂上に寝っ転がると、夜空に星がまばたき、そこへいつのまにか野原から汽車の音か聞こえてくる。

    「銀河ステーション」 いつのまにかジョパンニは列車に乗っていて、その列車にはカムパネルラも同乗していた。窓の外の幻想的な景色が流れる。

    「北十字とプリオシン海岸」 白鳥の停車場で20分の停車時間に銀河の川の水に触れたり、プリオシン海岸で考古学者が遺跡を採掘しているかのような不思議な現場に出くわす。

    「鳥を捕る人」でも不思議な光景。白鳥区で列車の中で鳥を捕る人と出会う。彼が鳥を捕ると平べったくして保管し、時おりそれを食べるとお菓子ようにうまい。

    「ジョパンニの切符」では、車掌が切符の拝見にくる。鳥捕りも、なんとカンパネルラも切符を持っていたが、ジョパンニは切符の意識がない。苦し紛れに上着のポケットに入っていた紙切れを出すと、それはどこまでも乗車できる切符だった。

    その後列車の中で、船が難破したという姉弟と同行の青年と出会う。彼らとの旅が始まる。様々な会話や体験があり、ジョパンニの感情は変化するがやっと仲良くなれたころ、サウザンクロスで姉弟と同行の青年は下車し別れる。彼らは天上の世界へ行ったのか。

    再びカンパネルラとの二人旅となったジョパンニは「本当の幸いをさがしに、どこまでも行こう」と決意をする。が、カンパネルラの姿はいつしか見えなくなってしまう。

    一人になったジョパンニは、自分のために、母のために、カムパネルラのために、みんなのために本当の幸福を探す決意をする。

    そうして、ジョパンニは丘の草の中で眠っていた自分を発見する。ちょうど夢を見ていた頃、友人のカムパネルラが水に溺れた友を助けるかわりに自らの命を失っていたことを知る。

    同時に、出かけたままの自分の父が、帰ってくるという元気な便りを数日前に送っていたことを知る。

    様々な思いを胸にいっぱいにし、牛乳を持って、父のことを知らせようと、病床の母のもとへ駆け出すシーンで幕は降りる。

  • 初めてちゃんと読んだ。
    らっこの上着くるかな?

  • とりあえず他の感想をいろいろ読む前に自分の印象を残しておく。

    人はみなカンパネルラ。
    自分の人生という汽車をどこに向けることもできる。どこへでもどこまでも行くことができる。でもこの汽車にはさまざまな人たちが乗ってくる。女の子、老人、宗教の違う人、お菓子(?)を売る人…
    それぞれわかり合うことはできないし、乗った人は降りてゆく。
    完璧に最後まで添い遂げることなんてできないけど、ただほんとうのしあわせはなんだろうか、どうしたらほんとうのしあわせの一助になれるだろうか。考え合いながら人生は交差する。
    カンパネルラ、そんな関係性を築けたらいいな。

  • 原稿切れも起こしてもおりますが、他のどの文庫よりも描写が美しくジョバンニの心情も事細かに描かれている。きらめきと心情を激しく揺さぶられた。タダで原作を読める幸せを感じる。

  • 読んだ気になっていたけど、読み始めたら全然知らなくて、あっという間に物語の世界に引き込まれていった。
    夏の夜空を駆ける鉄道で、2人の少年が出会う景色と人々。どこに向かっているのか、カムパネルラは分かっていたんだろうなあ。みんなの「さいわい」のために、その命を投げ出したカムパネルラの心の中には、ジョバンニの「さいわい」を守れなかった落ち目があったと思う。どの人もカムパネルラで、ジョバンニと何べんもリンゴを食べたりした、という文章が心に残った。

  • いまだにジョバンニとカムパネルラが猫に見えてしまうのは、映像が持つ怖さだなーと思いつつ、それもありかな...と寛大な気持ちで読み進めました。情景を感じるままにイメージして、まずは自分勝手な解釈をして楽しむのが良いです。きっと映画「DESTINY 鎌倉ものがたり」に出てきた黄泉行の江ノ電も本作がヒントになってますね。
     
    一方でかなりのイマジネーション能力や語彙力が問われます。状況を完璧にイメージしようと頑張り過ぎるとストレスを感じます。いや、語彙力だけでなく化学の知識も少々必要...。ストーリー的にも解釈を絞らせない作品のようで、しかも初期稿と最終稿で多少違いがあります。今回読んだのは初期稿のようでブルカニロ博士が出てきました(最終稿には出て来ません)。
     
    ジョバンニは内向き(利己的)で悶々としていたのが、様々な体験(サソリとか)を通して「みんなのしあわせ」を意識するようになり、外向き(利他的)に変わりました。それはカムパネルラが亡くなったのとは反対に、今まで精神が死んでいたジョバンニが生まれ変わったとも言えます。きっとカムパネルラが亡くなるのは避けられないことで、カムパネルラはザネリを助けただけでなくジョバンニも助けたんですね。

  • 昔からこの話が好きで、いろんな出版社による違いを比べるという楽しみを知ったのもこの話。「銀河鉄道-」は永遠の未完で、いくつかのバージョンがあるけど、これは角川文庫版が底本になっている。第一次から改稿を重ねて第四次まであるけど、それが混ざっている感じ。
    最終稿の第四次は、「何も言えない」気持ちで終わっていて、賢治自身が感じている「ほんとうの幸」を探すことの難しさを表している。第三次まではジョバンニが「本当の幸」に向かって明るく踏み出すのに比べて少し切ない。ブルカニロ博士が出てくるのもこの第三次まで。
    この角川版では、博士の登場しない四次の原稿と、三次の結末が混ざっている感じになる。
    好みの問題になるけど、私はジョバンニの父親が帰還し、母親のミルクも手に入り、明るく終わる第三次が好きかなー。

    考察サイトをいくつか回ってみて、一番興味を惹かれたテーマは「ザネリは男の子なのか女の子なのか」。
    私は素で男の子だと思って読んでたけど、女の子だとすると、ジョバンニに対するザネリの態度がまた違って見えるし、カムパネルラがザネリを助けようと川に飛び込んだ理由もより浮き彫りになってくる。
    カムパネルラが南十字星の先に行けたのは、自己犠牲の精神があったから。
    ただ、その行きついた先が、なんだか寂しい場所(石炭袋)だったのに心を打たれる。
    生きているジョバンニがなぜ、カムパネルラと一緒に銀河鉄道に乗れたのか。
    特に答えは書いてないんだけど、カムパネルラはジョバンニに謝りたかったというか…ザネリたちの意地悪に何もしてあげられなかったことが気がかりで、死ぬ前にもっとジョバンニと話したいと思ったのかな、と。
    ジョバンニはジョバンニで、何というか世間に絶望していて、あの場所で寝っ転がりながら、静かに人生に絶望していた。もしかして無意識に死を考えるほどに。
    その二人の感情がリンクして、銀河鉄道に乗ったのかもしれない。

    読むたびに単語一つ一つの意味を追求したくなったり、新たな発見があってイメージがガラッと変わったりする。いろいろな解釈があちこちで生まれている。
    セカイ系の走りみたいな話なのかなと思ったりしました。

  • 吉本隆明の対談から再読。探すのも面倒なのでkindleで無料のもので済ませる。どこをどう読んでもキリスト教をイメージして書かれているのに、法華経との関係をあれこれ言うのに辟易する。個人史からの牽強付会にしか見えないが、世の研究者たちも、どうも同じことを言っているらしい。未完の書で、ここまで深読みされて注目されるのは宮沢賢治ゆえか。

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著者プロフィール

1896年、岩手県花巻生れ。盛岡高等農林学校卒。富商の長男。日蓮宗徒。1921年から5年間、花巻農学校教諭。中学時代からの山野跋渉が、彼の文学の礎となった。教え子との交流を通じ岩手県農民の現実を知り、羅須地人協会を設立、農業技術指導、レコードコンサートの開催など、農民の生活向上をめざし粉骨砕身するが、理想かなわぬまま過労で肺結核が悪化、最後の5年は病床で、作品の創作や改稿を行った。1933年没。

「2020年 『注文の多い料理店』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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