銀河鉄道の夜 [Kindle]

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  • 2016年4月19日発売
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  • 名著 宮沢賢治・銀河鉄道の夜。1回目はウォーキングをしながら聴き、2回目は青空文庫で読む。いじめられっ子のジョバンニ、彼の親友のカンパネルラ。ジョバンニの母親の病気、父親が漁から帰って来ず、彼は活版所で働く。カンパネルラの母は既に他界、母親の幸せとは何かを追求する彼は友人を助けることで自己犠牲を選ぶ。ジョバンニは幸せとは何か?を考え、他人のために生きることこそ幸せであると気付く。カンパネルラとの距離間からジョバンニの孤独が伝わってきたのと、宮沢賢治の死生観、幸せとは何か?2人の銀河旅中に鳥渡理解できた。④

  • 気の置けない幼なじみとの二人旅。
    このままずっと何処までも続くと思っていた。

    銀河ステーションで貰える黒曜石でできた地図にお菓子の鷺。
    宮沢賢治の生み出すものは、子供も大人も欲しがるものばかり。

    「ほんとうのさいわいは、いったいなんだろう」
    カムパネルラとジョバンニ、二人で語り合った問いに対する答えは、大人になったジョバンニが自分自身で見つけ出してほしい。
    数多の星で創られた天の川の、何処かにいるはずのカムパネルラに今年もまた逢える。

    小さい頃に映画館で観たアニメ『銀河鉄道の夜』。
    当時は内容も知らずに観たため、映像が綺麗でとても神秘的な印象を持ったものの、訳の分からない内に終わってしまった感じだった。
    こうやって改めて文章で読むととても懐かしい。
    私も死ぬ間際は、カムパネルラのように銀河鉄道に乗りたいな。

  • なんとなく内容は知っていたが、きちんと読んだのはこれが初めて。
    銀河鉄道に乗ってからの描写はとても綺麗かつ幻想的でとても読んでいて心地よかった。誰かのために生きるという宮沢賢治らしさがとても感じられて読み終えた後の余韻は最高でした。ページ数も少ないからサクッと何か読みたいときにおすすめです。
    テスト期間中に読んでしまって反省しているが、後悔はしてない作品!

  • お母さんの牛乳を取りに行く最中に眠りこみ、銀河鉄道に乗るという不思議な体験をする。銀河鉄道での旅を通じながら、本当の幸せとは何かを探る主人公の少年ジョバンニ。


    様々な出来事を通じて、幸せとは自己犠牲の上に成り立っているのでは、と思うジョバンニであるが、それでも本当の幸せってなんだろう、と自問自答を続ける。


    ****************


    幸せって何だろう。多分遡ること高校生くらいの頃からだろうか、考えるようになったと思う。


    テストでいい点数をとることか、学年で上位何番に入ることか、いい大学に進学することか、彼女がいることか、大手企業に就職することか、好きな人と結婚をすることか、自分の願う部署に就くことか、出世することか、仕事で成果を出すことか、昇進することか、大きな家に住むことか、高級車に乗ることか、高い年収を手にすることか、老いた親を安心させることか。


    年を重ねるに連れ幸せとは何かという問いに対する解答案が変化していく。


     幸せってなんだろう。


    というより今の僕の答えは何だろう。一つに絞るとしたら?


     妻をいつまでも思い、支え、愛し、二人で笑いに満ちた暮らしを続けること。


    これだ。あ、でもこれは結婚のときの誓の言葉と同じだってことに気がついた。まあ、変化しないこともある、ということでいいじゃないかと、変に自分に言い聞かせて、銀河鉄道の夜を読み終えました。

  • 河合隼雄の「人生読本」を読み進めるうちに、先生が紹介される本に自分でも読んでみたいと思った本が多数あったのだが、その中でまずこの本を読んでみることにした。

    日本人なら誰もが知っているこの本、未読だけれども今さら読む意味があるのかという気持ちのまま今日まできたが、河合先生のオススメに背中を押され、夏休みの少しの夜更かしを利用して読むことにした。青空文庫に感謝。

    主人公ジョパンニとその友人カムパネルラの銀河鉄道の旅の物語。いや、主人公ジョパンニの夢の中の物語か。
    単なるファンタジーではなく、様々なとらえ方ができる小説だと思う。著者はハッキリとした結論めいたことで小説を締めてはいない。

    以下、ネタバレとなります。後日、何かの発見があるかもしれないので、自分なりの大まかな粗筋をメモっておくこととします。

    ***

    「午後の授業」では、理科の授業で、ジョパンニやカムパネルラが銀河についての授業を受けるシーン。

    「活版所」ではジョパンニが放課後、活版所でアルバイトをするシーン。

    「家」では、ジョパンニと病床に伏せる母親との貧しい暮らしのシーン。父親は出稼ぎで戻らない。友人のカンパネルラの家には、アルコールランプで走る汽車がある。

    「ケンタウル祭の夜」では、ジョパンニは祭りのために飾られた街で、「星座早見」を見つけ、その図に見入る。学校での授業も思い出しながら。しかし、祭の賑わいを通り越して、母のための牛乳を求めに行く。

    「天気輪の柱」 ジョパンニは、牧場のうらの丘の頂上に寝っ転がると、夜空に星がまばたき、そこへいつのまにか野原から汽車の音か聞こえてくる。

    「銀河ステーション」 いつのまにかジョパンニは列車に乗っていて、その列車にはカムパネルラも同乗していた。窓の外の幻想的な景色が流れる。

    「北十字とプリオシン海岸」 白鳥の停車場で20分の停車時間に銀河の川の水に触れたり、プリオシン海岸で考古学者が遺跡を採掘しているかのような不思議な現場に出くわす。

    「鳥を捕る人」でも不思議な光景。白鳥区で列車の中で鳥を捕る人と出会う。彼が鳥を捕ると平べったくして保管し、時おりそれを食べるとお菓子ようにうまい。

    「ジョパンニの切符」では、車掌が切符の拝見にくる。鳥捕りも、なんとカンパネルラも切符を持っていたが、ジョパンニは切符の意識がない。苦し紛れに上着のポケットに入っていた紙切れを出すと、それはどこまでも乗車できる切符だった。

    その後列車の中で、船が難破したという姉弟と同行の青年と出会う。彼らとの旅が始まる。様々な会話や体験があり、ジョパンニの感情は変化するがやっと仲良くなれたころ、サウザンクロスで姉弟と同行の青年は下車し別れる。彼らは天上の世界へ行ったのか。

    再びカンパネルラとの二人旅となったジョパンニは「本当の幸いをさがしに、どこまでも行こう」と決意をする。が、カンパネルラの姿はいつしか見えなくなってしまう。

    一人になったジョパンニは、自分のために、母のために、カムパネルラのために、みんなのために本当の幸福を探す決意をする。

    そうして、ジョパンニは丘の草の中で眠っていた自分を発見する。ちょうど夢を見ていた頃、友人のカムパネルラが水に溺れた友を助けるかわりに自らの命を失っていたことを知る。

    同時に、出かけたままの自分の父が、帰ってくるという元気な便りを数日前に送っていたことを知る。

    様々な思いを胸にいっぱいにし、牛乳を持って、父のことを知らせようと、病床の母のもとへ駆け出すシーンで幕は降りる。

  • 大昔に教科書か何かで一部を読んだかもしれないが、通して読んだのは初めて。言葉の密度が濃くて、一言ずつをかみしめて読んでいく必要がある。
    夢の話であることは察しがつくが、最後が悲しく終わるのは意外だった。

    今回、電子書籍でお試しとして読んでみたのでした。

  • 小学生の頃アニメで観て、カムパネルラがいなくなるシーンが悲しすぎてトラウマで、これまで何度も本を読もう読もうと思いはしたけれども、その悲しさの印象が強すぎてなかなか読めなかった笑 けど、ついに。そして、やっぱ死ぬほど悲しい気持ちになった。。賢治はほんとに繊細な心を書くのが上手。車内で起きてることをイメージするのは難しい。話は結構難解。宗教性が強くて驚いた。ほんとうのしあわせのためにがんばろう。

  • 子供に読み聞かせていたのだが、途中から面白くなって一人で読み終わる。しかし、スラスラと黙読していくと、朗読していたときほど面白くない。細部の書き込みが素晴しく、ゆっくり朗読するくらいのペースで読まないと本当の素晴しさが読み取れないみたい。

  • 中学生のころに宮沢賢治の作品をよく読んだ。本書も過去に読んだはずである。悲しいかな、本作品についてはあまり記憶がなく、ファンタジックな物語という覚えしかなかった。今回、改めて読んでみて、こんなに見事に人の死を表現していたことに驚いた。不謹慎な言い方かもしれないが、死の病におかされた病室の子供に読んでほしい。乱暴かもしれないが、きっと死への恐怖がなくなるはずだ。しかし、こんな素晴らしい物語を記憶していないなんて、中学生のころの自分は、よほど読解力がなかったのだろう。残念である

  • 初出は1930年代。最終形に至るまで、大きな改稿が繰り返されたらしい。

    当時の時代背景を考えると、かなり先進的な表現だったのではないだろうか。幻想的で空想的な世界観は唯一無二だと思う。

    この描写と、「ほんとうの幸福」を探す、というテーマが本作を名作たらしめているものだと理解した。テーマのほうはそこまで汲み取れなかった。

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著者プロフィール

1896年(明治29年)岩手県生まれの詩人、童話作家。花巻農学校の教師をするかたわら、1924年(大正13年)詩集『春と修羅』、童話集『注文の多い料理店』を出版するが、生前は理解されることがなかった。また、生涯を通して熱心な仏教の信者でもあった。他に『オツベルと象』『グスグープドリの伝記』『風の又三郎』『銀河鉄道の夜』『セロ弾きのゴーシュ』など、たくさんの童話を書いた。

「2021年 『版画絵本 宮沢賢治 全6巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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