個人と国家 人魔調停局 捜査File.02 (NOVEL 0) [Kindle]

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  •  人間と魔族が共生する社会で、人魔共存のために日夜任務に励む人間の主人公ライルが、テロリスト相手に立ち回る、銃あり剣あり魔法ありのハードボイルドアクションファンタジー。
     今作だけでも話としては独立していますが、前作からの地続きで語られることも多いので、前作「竜と正義」も読まれることをオススメ。
     当初は平凡な任務のはずが、前回よりもさらにハードな、世界を混沌に陥れる陰謀に当たることになり、結果、おのれの信念に従ってずぶずぶと命の危機へ踏み込んでいくライル。調停局ってもっと有能な人員いると思うのだけど毎回毎回ライルと相棒役が孤立無援で戦うことになるのなんでだ、というか今回の規模ならもっと周到に人員配置できたのではと思わなくもないが、その点について考えてはいけない。
     実際の現代でいうと核兵器に相当する兵器を大国二国が持つことでパワーバランスを保っている世界。そのパワーバランスを破壊しようとたくらむテロリスト、テロリストの裏で糸を引く謎の存在……。
     謎が謎を呼ぶ前半、解決の糸口を見つけ突き進んでいく中盤、そして終盤でのどんでん返し。相変わらず面白くて、中盤過ぎるとページを繰る手が止まらなくなります(Kindleだけど)

    ”大量の想いが集まり作り上げたモノが、俺達を苦しめ、そして守っているのだ。俺達が生んだモノのはずなのに、今では俺達を操っている。意志も使命もなく、増長しようという目的のために” --ロケーション5232

     「個人と国家」というタイトル。誰もが自由意思を持つ個人でありながら、国家の社会構造が定める『基準』に従い、時として本来自分が思うほうとは逆の物事を選択する。
     そんな葛藤を抱きながら、「国家のため」と手を取り合う味方たち、個人であることを犠牲にして国家に殉ずる敵もまたかっこいいけれど、絶対的な悪者がいないがために、やるせない気持ちが残る。
     ぜひ続刊を出して、このもやもやを少しでも晴らしてほしいです。

     竜種の姫クーベルネを家族として迎え、家庭と仕事の両立に苦しむライルと、みずからも調停局員として任務に殉ずるライルによって救われたクーベルネの、捨て身で任務に挑むライルを応援したくも、いつか死んでしまうのではないかと心配でたまらないじれじれ新米兄妹の関係がとても癒しになる。
     二人がこの先どのように家族になっていくのかも、とても読みたい!

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