帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫) [Kindle]

  • 河出書房新社
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感想・レビュー・書評

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  • ヒトラーと言えば、大虐殺の張本人で、未だに戦争の犯罪者ということで世界中の人が知ってる。
    そのヒトラーが現在にあらわれた。
    しかし、このヒトラーは本人にも関わらず、ひたすらドイツのため、ドイツ国民の幸せのためを思っている。
    ヒトラーの言動からコメディアンとして扱われるが、本人はいたって真面目。
    ドイツの文化をあまり知らなかったので、若干わからなかったところもあったが、おもしろい。下巻でヒトラーはどうなるのか?

  •  ヒトラーとナチスといえば、歴史上の大犯罪者。特に髑髏の徽章を付けた帽子と黒を基調とした制服から、武装親衛隊などハリウッド映画では格好の悪役として扱われている。ヒトラーとは、まさに”世界征服を狙う悪の集団の頭目”である。でも本当にそうだったんだろうか?少なくともミュンヘン一一揆の後は合法的な選挙活動で議席を獲得したし、突撃隊を粛清して国防軍を手なずけたし、用意周到かつ冷静沈着な国家指導者の面もあったはずである。

     本書はヒトラーがこれまで描かれてきたようなステレオタイプな悪役ではなく、一平民から国家宰相にのし上がった有能な人物と仮定して描いている。何故かベルリン攻略戦から2011年にタイムスリップし、1945年を照らし合わせて、自分なりの解釈を入れながら受け入れていくさまが面白い。

    ”店先にはトルコ語の雑誌も、多色刷りの立派なものが4-5種おかれていた。これは、ドイツとトルコが同盟を結んだことで、ベルリンーローマ枢軸ならぬベルリン・アンカラ枢軸が成立したことを示す動かぬ証拠だろう。”

    テレビに至っては
    ”ホテルの部屋の片隅に置かれた薄べったくて黒っぽい、四角い板のようなその物体を私は最初、奇妙な芸術作品かと思ったほどだ”

     試行錯誤を経て、すべてを受け入れコメディアンとして大成するヒトラー。下巻では?

  • 2016 読了

  • ヒトラーが現代のドイツにタイムスリップし、ヒトラーそっくり芸人としてテレビに出て大受けするのがあらすじ。ヒトラーを一人称として物語が進行するため「ヒトラーがどのように世界を見てたのか」というところが読み応えがあるポイント。

    「おそらくドイツ人ならもっと楽しめるんだろうな。。。」と思える、よくわからない描写が多かったりして楽しめないところが多かった。
    ずっとトルコ人女性が多いという描写があって何のことを言ってるんだろうと思ったら、目元を黒くするヘビメタ風メイクをしている女性のことを言っているのか、とか。

    ヒトラーの抱く感想には、結構共感するところもあるのだが、所々全く共感できないポイントがあって、しかもそこがヒトラーのやばいポイントだったりするところがぞっとするポイントだった。

    話の最初のところに、汚れた制服を洗うべきとするおっさんに対してヒトラーは断固として反対するのだがそのときにブルータスの話を引用して激論する。それに対しておっさんがげんなりして「どうして、そういつも話が大きくなっちゃうのかね?」というところがヒトラーと一般人のずれを端的に表していて面白かった。

    ヒトラーの自己の過剰な使命感+独自の世界感+現実歪曲フィールドというのが多くの人を惹きつけた理由であり、危険なところだ。これは組織で生きる人間として見習うべきとことはある。読んでみると共感するところもありつつ、「あ、この人やばいな」というところが直に感じられるのでとても面白く読めた。逆に、「あ、この人やばいな」と感じない人は独裁者を支持しちゃう可能性があるのでやばいかもしれない。
    中学生とかに読ましたときに、どういう反応があるかというところをみれば、結構いい教材になるかも。

  • なかなか面白い。
    ただ当時を振り返っての独白部分は少しうざいかなー

  • ヒトラーが現代にタイムスリップして来たら。
    ドイツでしか通じないネタ(時事・歴史)が多すぎる。。。
    それを差し引いてもかなり風刺が効いてて面白い。

  • くすくす笑いながら読んでたら、だんだん怖さが増してきました。詳細な感想は下巻を読んでからにします。

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著者プロフィール

1967年、ドイツのニュルンベルク生まれ。エルランゲン大学で歴史と政治を学ぶ。ジャーナリストとしてタブロイド紙や雑誌などで活躍。その後、『帰ってきたヒトラー』で一躍有名になり、映画でも大成功を収める。

「2020年 『空腹ねずみと満腹ねずみ 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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