山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた (講談社+α文庫) [Kindle]

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  • 山中先生が自らの研究者人生とiPS細胞誕生の経緯を語るドキュメンタリー。2012年刊行(文庫版は加筆の上2016年刊行)。

    整形外科の臨床医を目指したが、難病に苦しむ患者と接して臨床医に限界を感じ、基礎医学へ転向した山中先生。たちまち研究の面白さの虜になり、遮二無二研究を続けたという。ツテやコネもなく手当たり次第に応募し、ハッタリをかまして留学先や研究ポストを得ていく、その行動力は尋常じゃない。

    「科学技術は必ず進歩するので、いまは到底不可能と思われることでも、理論的に可能なことはいずれ必ず実現する」、「新しい薬、新しい治療法をいきなり患者さんで試してはならない」、「iPS細胞の技術を、一日も早く患者さんたちに役立てたい」等、山中先生の研究の軸は全くぶれない。信念の人、頑固な人という印象を受ける。

    最近はニュースで取り上げられることも少なくなったが(そういえば、予算が減らされそうになったことが話題になっていた)、研究はどの辺りまで進んでいるのだろうか。息の長い研究、陰ながら応援していきたい。

  • 山中伸弥先生のお仕事とそれに対する姿勢、半生がやんわり知れる本。読書好きの芦田愛菜ちゃんが、1番魂震えた書として紹介している動画を見てから気になっていたので読んでみた。
    iPS細胞とは何か、なんとなくわかってきたような気がする。数十年単位での目標に向かって努力し続ける才能を感じた。米国での上司の言葉として「成功にはVWが大事」と紹介されていたが、日本人にとってW(=work hard)は得意だが、いつの間にかV(=vision)を失っていると…。目標を見失うとやる気をなくして道に迷う。山中先生でさえも思い悩む日々があったのだから自分にあって当然だ。何のために頑張っているのか、実現したい未来を明確にして、コツコツ進んでいきたいと思った。あと、人間万事塞翁が馬。人生における幸・不幸は予測できない。長い目で見てある程度上手くいけばいいのかな。
    201008読了、Kindle。

  • iPS細胞の発見でノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥氏の自伝本。
    なぜか外国人とのやりとりを関西弁で訳していたりと、コミカルな面白さもあった。
    後、やっぱり子どものころから実験が好きな人だったんだなと思った。アルコールランプを倒してコタツの上を火の海にしたとか、母親に怒られるだけですんでよかったなと思う。
    「阿倍野の犬実験はするな」という考えは面白いと思った。アメリカの犬がワンと鳴くと分かったら、日本の犬でもそうなのか調べ、さらに阿倍野の犬でもそうなのか調べて論文にするという考えらしい。事業なら、その土地の価値観にあわせるなんてことはあるだろうけど、実験では二番煎じは価値がないんだろうな。
    後、やっぱこういう生物や医療の世界でも、インターネットの発達の恩恵を受けているのだなということがよく分かった。NCBIというバイオ系の研究者にとって有益なデータベースのソフトウェアを提供している研究所があるのだとか。それこそ、インターネットがなかったら山中氏が思ったようにiPS細胞の発見に30年近くかかった可能性もあったんじゃないかと思う。
    iPS細胞とES細胞は、できる過程が違うものの、見た目では区別がつかないということは初めて知った。そうだったのか。でも、それならわざわざiPS細胞と名付けずに、皮膚細胞からES細胞ができたと言えばいいだけのような気もするのだけど、さすがに全く一緒というわけではないのだろうと思う。
    後、ES細胞やiPS細胞を作製できるのは哺乳類の一部だけというのも初めて知った。どんな生物にもあてはまるわけじゃないのか。イモリの再生能力とはまた仕組みが違うらしい。DNAという仕組みは生物共通という話は聞いたことあるけど、そういうようにある種族特徴の細胞みたなものも多いのだろうな。まだまだ分からないことも多そう。

  • 人間(じんかん)万事塞翁が馬
    にんげん、ではなくじんかんと読めば、"世間"をあらわす。

    芦田愛菜さん推薦

  • 山中伸弥教授の半生が語られている。
    今まで、山中教授ってのは、超天才で、人間離れした人なのかなと思っていた。
    でも、そうではなくて、いろいろ挫折しながら、紆余曲折して、周りに助けられながら、今の場所までやってきたのだということがよくわかった。

    明確なビジョンとハードワーク、それがキーワードだと思う。

  • ノーベル賞を受賞した山中先生のお話。ところどころ関西弁で会話が書かれているのが微笑ましい。iPS細胞とES細胞の違いだとか、どうやってiPS細胞を作ったのかなど、興味深い話が多かった。新聞に、政府がiPS細胞の備蓄事業に予算を出さないと決めたとのニュースが載っていた。色々と理由はあるのだろうが、ノーベル賞を受賞した研究者への支援も薄いなと感じる。こんなんで日本の科学の将来は大丈夫か?費用対効果しか見ていないのでは?

  • とても読みやすくて面白い。
    先生が話すのを取材者が読みやすく書き下ろす形は素人には有り難いくらい読みやすいです。

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著者プロフィール

山中伸弥 1962年、大阪市生まれ。神戸大学医学部卒業、大阪市立大学大学院医学研究科修了(博士)。米国グラッドストーン研究所博士研究員、京都大学再生医科学研究所教授などを経て、2010年4月から京都大学iPS細胞研究所所長。2012年、ノーベル生理学・医学賞を受賞。2020年4月から公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団の理事長を兼務。

「2021年 『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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