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感想・レビュー・書評
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少々私には内容が難しく、途中飛ばしてしまった箇所もありましたが、非常に興味深く読むことができました。
英語を最近勉強し直していますが、英文や英語をすぐに日本語に置き換えようとしている行為がそもそも違っていたんだなと、完全に=の言葉なんてないんだなということを、本書を通じて知ることができたのはとても有意義でした。
またいかに自分の生きている世界が言葉に引っ張られて見えているか、歪みを生じているのかという点もすごく興味をそそられました。
著者の別の本も読んでみたくなりました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
言葉は世界の切り分け方なのだと思った。言葉は重要だ。また、類語:コロケーションがこの世を進むスムースさになる、のではと思えた。また第二言語を身につければ、世界の見方が増えるというか、既存の感覚とは違う感覚で見る世界を感覚することができるのであれば、現代的な認識には必要ではないかと思った。
また、基礎的なものを身につければ学びが連鎖していくというあたり。勉強をやめてしまうのはこの辺りの下地ができていないからなのではと思った。この連鎖があれば、学ぶ力、まだ気づいていないものはなんだ?という感覚が現れやすくなるだろうと。
あとは、特に言葉の状態で意識していなくても脳はその反応をしているだとかいうあたり。人工物に囲まれていたら、何も考えなくても脳は反応しまくりなのだろうなと。自然な風景に囲まれることの大事さを感じた。机の周りにはラバランプだとかガラス玉だとかを飾って、動きや光が目に入る。これもおそらく幾らかの効果があるのだろう。
ただ、こんなことは書かれていなかったがこんなことも考えてしまった。まだ自分が理解するタイミングではないある言葉がたくさん入ってくる現代、気づけるようになっていてもどうしたらいいのかわからない現実にぶつかるのではないかと。うわさ話などから、なるべく距離を取りたいと思った。 -
ことばを持たないと、実在するモノの実態を知覚できなくなるのではなく、ことばがあると、モノの認識をことばのカテゴリーのほうに引っ張る、あるいは歪ませてしまうということがこの実験からわかった
自然言語処理を勉強してから読むと見方が変わりました。ただ単に単語を分かち書きで認識すれば良いということではなく、その言葉が使われている意味を言葉の前後から読み解いてこそ、言葉の意味を真に理解したと言えると思います。
そういう意味では、今は分かち書きでしか文章を判断できていない自分のスクリプトでは、まだまだ文章の意味を捉えきれていないと実感しました。日本語でまだまだなら、英語に手を出そうとと思うと、途方に暮れてしまいます。 -
言語と思考の関係をわかりやすく解説。言語の習得によって思考はどうかわるのか、言語が違えば思考も違うのか、そして言語はどれだけ人間の思考を規定するのか、といった問いを様々な事例を紹介しつつ平易に説明していく。
人間の思考や認知がいかに言語に依存しているのかがわかる。人は世界を認知してそれを言葉に表してると思っているけど、それは一面でしかなく、実は言語というフィルターを通してしか世界を認知できない。だから、その人の言語知識にない概念を思考することには著しい困難が伴う。
それってつまり、極端に言えば、その人の言語の運用能力が、その人が世界を認知する限界ってことだとも言えなくもない。何の気もなく使っていてさしたるトレーニングもしていない自分の言語能力が、自分自身の思考の限界を規定しているとするなら、それはいかにも恐ろしいことだと思う。
まあ、そういうこと抜きにしても、とにかく事例読むだけでも面白しろい。色に関する基礎語が2つしかない言語、前・後・右・左など相対的な位置関係を示す言葉を持たない言語、1とそれ以外しか数を示す言葉を持たない言語など、それでどうやって意思疎通するの?と思ってしまう言語が世界にはあるそうな。言語と思考の関係にかかわらず、そういう事例だけで十分面白い。
さらに、言語と思考の関係を探る実験がまた面白い。言語以外の要素を排除して、純粋に言語と思考との関係だけを実験するというのは思いのほか難しい。それをあの手この手で設計しているのだが、普通だったらとても思いもつかない、でもたしかにこれなら理論上データが得られる、というさまざまな実験が紹介されている。