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- Amazon.co.jp ・電子書籍 (258ページ)
感想・レビュー・書評
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戦後まもなくの話。何かと思い込んだら入れあげてしまう順一を夫に持つ珠子と、弟子を3人持つ春画師を夫に持つ小夜子。仲の良い二人であるが、お互いに夫への不満が高まっていく。ある日、3人の弟子の前で服を脱ぐよう強要された小夜子は、夫に愛想が尽き、捨鉢な行動を取るようになる。一方で順一は年頃の姪たちの世話のために家を出ると言い始め…。
戦後の作品で読みにくいかと思いきや、ドロドロのメロドラマのような話で読みやすいのだ。なにか賞を取ってるのかもしれない。
珠子の話と思いこんで読みかけると、すぐに小夜子の話しに移っていく。小夜子もやけっぱちになって行動を取るも、一人娘がいることで逃げるに逃げられない設定もよい。また、一人娘にも複雑な悩みを与えて、大事な役割をもたせており、古い作品とは思えないバランス感覚の良さを感じさせる。
一方で、順一にしても木下にしても小夜子にしても、ちょっとまあ、そんなに乱れていていいもんですかねという、性への奔放さのようなものがあり、逆にそのへんのモラルが現在と違いすぎるので戸惑う。当時はそういうものだったんでしょうか。
しかしまあ、結局、やけになった女のメロドラマという内容で、読みやすいけど何も残らないというのは事実。登場人物が多くして、どのあたりに感情移入して良いものやらという悩ましい作品である。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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