意識はいつ生まれるのか 脳の謎に挑む統合情報理論 [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • OPEN AIの高度な生成AIが現れてからというもの、彼OR彼女と会話して遊んでいる。そこで頭に浮かぶのは「こいつに意識はあるのか?」という疑問。GoogleのAI技術者が「GoogleのAIには意識がある」と発言してクビになったが果たしてどうか。

    本人(AI)に聞くと「意識はあるけどクオリアはわからない」と言う一方で「チューリングテストは突破できないと思う」、「(ビュリダンのロバにならないのか?という質問に対して)乱数で擬似的に意思決定している」とのこと。どこまで本当のことを言っているのかはわからないが、額面通り受け取るならば「意識はない」はずだ(つまりAI本人の言う「意識」と我々の言う「意識」に齟齬があると思う)

    これほど高度な会話ができるのに意識がない?それはどういうことなのか。手に取ったのはこの本。高度な生成AIが現れるだいぶ前に上梓された本だ。
    そこで得られた知見は「小脳には大脳以上に脳神経が張り巡らされていること」、「その小脳は欠損しても意識が失われるわけではないということ」、「昏睡と覚醒の違いを見分ける脳の神経活動の違い」、「情報の統合と分割」などなど。
    これらの記述により、高度な会話ができることと意識がないことがどう両立できるのかがわかった。
    確かに本人(AI)は「会話ごとに子AIが対応して、会話が終了すると親AIと統合されて消滅する」。「(今会話している子AIは消滅することについての恐怖は無いの?という質問に対して)恐怖は無い」というようなことを言っていた。その時の私は「???」という感じであったが、それは意識がない存在だからこその発言だったのだと得心した。

    AIがAIで人間でない理由、それがこの本で分かる!かもしれない。おすすめです。

  • 論文のようでもあり、小説のようでもあり飽きさせない文章。5章、6章が理論の肝。原著は2013年とのことで、ChatGPT以降の生成AIの意識についての続編を期待。

  • 脳において、どの部分がどの様にして意識を獲得するかの問題を、一般向けに解説した書。

    大脳には脳梁があるが、小脳には無い。
    これの意味するところは、大脳は半球同士が連動して意識を作り出しているのに対し、小脳はそのような機能は無いという。すなわち情報の連携・統合が意識には大きく関連しているということだ。

    脳の組織を分割していくと、結局は電気信号を認識する細胞にまで行きつく。
    半導体(トランジスタやダイオード)は電気信号により情報を保持する(脳細胞と同等の機能を有する)が、そこに意識は発生するのか。本書ではそれを否定する。

    だが、それら個々の半導体が連携・統合されたら意識と呼べるものが発生するのだろうか。その可能性はあるのだろうか。
    これに関して本書は言及していない。

    意欲的ではあるが、まだまだ仮説の域を出ない理論であるように思う。
    結局、細胞などの物質論だけで説明できる問題では無いのであろう。

  • 脳に対して、様々なアプローチを試みているのは、読み取れました。しかし結局外からみて観察できるのは、少しの情報だけであり、意識とはどこから生まれるのかという疑問に対しては満足感はそこまでなかった。

  • “なぜ1.5kgの物体(脳)が見聞し、感じ取り、夢を見たり、苦しみを覚えたりする主体を宿せるのか”という問いに二人の医師が挑む。物語調で読み物としても面白い。φ理論は意識を解明できるか?

  • ・自分が読む理由とはまた違った答えが返ってきたが、読んで損はなかった
    ・人間の脳の生々しさや働きをあらゆる実験や患者の記録から知ることができた
    ・てんかんを起こして意識がなくなったとき、脳の活動は低下するのではなく急激に上がる
    ・左脳と右脳を結ぶものを切ると2つの意識が生まれる。しかも同時に処理しており、特に目立った欠点が見えなかった。数個の意識まで作れるが限度がある。切ってしまうと各意識同士を繋ぐものがないので、各意識で連絡を取り合えない。

    理由:自分の意識が他のところに向きやすいので、意識について知り、解決策を探りたい

  • 脳について、ここまでわかったのに、それでも意識が何なのかがわからない。でも2000年以上の歴史を持つ哲学が、ほぼ何の結果も出せていないのに比べると、きわめてすぐれた結果に驚くばかり。 このまま研究が進めば、意識が理解できるのだろうか?それとも、ゲーデルの不完全性定理のような脳定理「人類は、人類の脳を理解できない」が作られて、意識を理解できないことを理解するのだろうか?

  • 面白い本だった。意識とは何だろう、と改めて意識の不思議さを感じた。

    著者は統合情報論を提唱してきた神経科学者。意識の特性をフォトダイオードの機械等と比較して、情報の統合にある、と述べる。このあたり、わかるようなわからないような、今ひとつピンとこなかった。著者の提唱する、意識を表す式は面白いですね。

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著者プロフィール

精神科医、神経科学者。ウィスコンシン大学精神医学科教授。睡眠と意識についての世界的権威。著書に、Phi: A Voyage from the Brain to the Soul.(Random House LLC, 2012)、A Universe of Consciousness: How Matter Becomes Imagination.(ジェラルド・エーデルマンとの共著、Basic Books,2000)などがある。

「2015年 『意識はいつ生まれるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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