ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代 [Kindle]

制作 : シェリル・サンドバーグ 
  • 三笠書房
3.63
  • (6)
  • (13)
  • (13)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 194
レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・電子書籍

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ■オリジナリティを活かすには?
    ①事業を継続できている経営者は、臆病型が多い。
    ・今の事業を継続させながら、新しい事業を始める。
    ・失敗したときのリスクヘッジをする。
    →精神的安心感から、挑戦できる。

    ②多く産む。
    ・自分の作品は、自分で正しく評価できない。
    ・同じ分野の人からの評価が一番あてになる。

    ③戦略的な「先延ばし」
    ・事業を始めるときはタイミングを見極め、一気にしかける。
     例:ネットビジネスが普及してから、オンラインメガネビジネスを始める。

    ■用心深い人たちはなぜ行動できたのか?
    ・失敗すること以上に何もやらずに後悔することの方が怖かったから。
    →自分が一番恐れていることは何か?

  • 本書から何を学ぶべきなのか。
    成功した人のやり口は様々だということなら、あまりにも当たり前すぎる。普通の人でも、やり方によってはオリジナルな成功者になれると言い換えれば、確かに多少の有難味は出てくる。
    とはいえ、本書ではアプローチの面白さと意外性のある話題も盛りだくさん。
    例えば、神童の頭打ち、セグウェイの失敗、サリック効果(弱点をさらした方が交渉が有利)、締め切りの引き延ばし効用、対立者には説得よりも共通項探し、長子でない有利さ、悪魔の代弁者など。
    特に、最終章の、「利益視点だと、リスク回避が有利に働き、行動しなければ確実に損失が避けられない場合は、リスクも厭わない」という人間の心理は、他者をうまく動かすための極意でもあります。
    筆者は、若きオピニオンリーダーで、本書を書いたのが35歳、この時すでにウォートン校の史上最年少の終身教授に選ばれるという逸材です。

  •  とても勇気づけられる本。
     何か特別なこと、人と違うこと、優れたことをするためには、勇気を持っていたり、頭がよかったり、人目を惹く容姿であったりと、何かが有る人だけに許されているような気がしている。ごく平凡、いやむしろ劣るところの多い自分には無理だろうと。

     しかしながら、さまざまな切り口から、人と違うことができる人というのは、実はたくさんのアウトプットがあるからこそ違うことがアイディアとして出てくるのだということ、アイディアがあっても実行に移すからできる、などなど、「できる」ための工夫やノウハウ、避けるべきことや考え方について、1章ごとに異なる切り口からわかりやすく説明してくれる。

     できるための理由に組み合わせも絶対条件もなく、意外とネガティブでも臆病でも、天才ではなくてもできることはある。

     印象に残っているのは、急いで結果を出さずに放置することの力。ついなんでも最優先のスピードで片づけなければという気がするがそんなことはないみたい。あとは、防衛的悲観主義でもいいというところ。

     解説にもある通り、当たり前のことしか書いていないのに、新しいというのがとても面白い。

  • とにかく面白かった。

     オリジナリティの最たるポイントは、「既存のもの」を疑い、よりよい選択肢を探すことだ。 一〇年以上にわたって研究を続けてきたところ、これは思ったよりもずっと簡単だということがわかった。
     まず必要なのは好奇心だ―そもそもなぜ既存のものが存在するのかということをじっくり 考えてみる。「デ・ジャ・ブ」ならぬ「ブ・ジャ・デ」を体験すると、今当たり前に存在するものが疑問に思えてしかたなくなる。「デ・ジャ・ブ」とは、はじめて見たはずなのに前にも 見たことがあるような感覚だ。「ブ・ジャ・デ」とはその反対で、既知のものを目の前にしながらい、新たな視点でそれを見つめ、古い問題から新たな洞察を得ることだ。

     私は本書で、オリジナリティには徹底的にリスクを冒すことが必要だという通説をくつがえし、オリジナルな人たちは私たちが思うよりもずっとふつうの人たちなのだ、ということを示していきたいと思う。

    「マイナーな製品がもっとも多く創作された期間は、メジャーな作品がもっとも多く創作された期間と同時期であることが多い」

     管理職は、一般にリスクを回避しようとしすぎる傾向がある。新しいアイデアを実行して得られる利益ではなく、悪いアイデアに投資して失敗するほうに目を向けがちだ。そのため、多数の「偽陰性」判定を出してしまう。

     …、オリジナリティを正確に評価するには、自分自身で判断しようとしたり、上司に意見を求めたりするのではなく、同じ分野の仲間の意見をもっと求めていくべきだとわかる。

     目標に向けてとり組むなか、メディナは信頼を得ていき、心理学者のエドウィン・ホランダがいうところの「特異性信用」を拡大した。「特異性信用」とは、「ある集団が求める言動から、どの程度逸脱してもよいかを表す許容範囲」であり、階級ではなく尊敬により拡大する。つまり、今までにどれだけ貢献してきたかで、その枠は決まってくる。
     私たちは、現状に異議を唱えようとする立場の低い人物を黙らせようとするが、立場の高い人スターの逸脱には目をつむり、ときには賞賛さえすることすらある。
     
     グリスコムはいずれの場面においても、自分より権力のある相手にアイデアを提示しており、出資をさせようとしていた。
     誰かを説得するには長所を強調して短所を最小限に留めなければならない、と私たちの多くが思い込んでいるが、そのような強気のコミュニケーション法は、相手が支持してくれている 場合にのみ効果を発揮する。
     一方で、斬新なアイデアを売り込もうとする場合や、目上の相手に対して何らかの変化を提案する場合には、相手が疑いの目をもつ可能性が高い。
     投資家はこちらの提案に何とかケチをつけようとするし、上司はこちらの提案がなぜうまく いかないのか、その理由を探そうとする。
    「じつはそのような状況下では、グリスコムのように下手に出るコミュニケーション方法をと り、みずからのアイデアの欠点を強調するほうが効果的なのだ。

     経済学者のアルバート・ハーシュマンの著書によると、満足のいかない状況に対処する方法には四通りあるそうだ。
     何十年もの研究の結果、不満の対象が仕事であっても、婚姻関係であっても、政府であって も、対処法は「離脱」「発言」「粘り」「無視」の四パターンなのだ。
    「離脱」とは、その状況から完全に身を引くことだ。つらい仕事を辞めたり、暴力をふるうパートナーと別れたり、圧政を敷く国を去るなどだ。
    「発言」とは、その状況を積極的に改善しようと行動することだ。職場の環境を充実させるために上司に意見を述べたり、パートナーにカウンセリングをすすめたり、活動家になって腐敗のない政府を選挙で選ぼうとすることなどだ。
     「粘り」とは、歯を食いしばって我慢することだ。息の詰まるような仕事でも懸命にがんばるか、忠実にパートナーのそばに留まるか、政府に不満を抱きながらも現状を受け入れるなどだ。
    「無視」とは、現状に留まるが、努力はしないことだ。クビにならない程度に仕事をしたり、パートナーとの距離をとるために新たな趣味を見つけたり、投票に行かなかったりなとだ。
     根本的に、どれを選ぶかは「コントロール (状況の決定権が自分にあるという気持ちとコミットメント(状況に関与したいという前向きな気持ち)にかかっている。

     研究によると、現状に異議を呈したことのある管理職は、新しいアイデアに対してより寛容で、他者から提案があっても、それを脅威ととらえない傾向があることがわかっている。
     このような管理職は現状を擁護するのではなく、組織をよりよくすることを重視し、成長させようという意欲に燃えている。つまり、組織にひたすらしたがい、あげく欠点に目をつぶってしまうということがないのだ。

     先延ばしは「生産性の敵」かもしれないが、「創造性の源」にはなる。

     もっとも重要な要因は、アイデアのユニークさでもなければ、チームの能力や実行性でもなく、ビジネスモデルの質でも資金調達量でもなかった。
    「いちばんの要因はタイミングです」

     リスクを恐れず行動する人は、とにかくいちばんになることにとらわれており、衝動的な決断をしがちだ。その一方で、リスクを回避しようとする起業家は、先発隊の様子を探り、適切なタイミングを待ち、参入する側にリスク分散のバランスをとっておく。

     オリジナリティがピークに達する所とその持続期間は、個人の思考スタイルにかかっている。ガレンソンがさまざまな創作者を研究したところ、イノベーションには根本的に異なる二つのスタイルがあることがわかった。
    「概念的イノベーション」と「実験的イノベーション」だ。
     概念的イノベーターは、大胆なアイデアを思い描いてそれを実行に移すというタイプだ。
     実験的イノベーターは、試行錯誤をくり返して問題解決を行ないながら学び、進化を遂げていく。ある特定の問題にとり組んではいるが、とりかかった時点で具体的な解決策を見つけているわけではない。あらかじめ計画するのではなく、進めていくなかで解決策を見いだしていく、というのが実験的イノベーターだ。
     ガレンソンは、概念的イノベーターは短距離走者で、実験的イノベーターはマラソン走者であるという。ガレンソンがノーベル賞を受賞した経済学者を調べたところ、概念的イノベータ ーは偉業を平均四三歳で成し遂げている一方、実験的イノベーターは平均六一歳だった。
    また、有名な詩人たちのもっとも増刷を重ねている詩を分析したところ、概念的イノベータ ーは傑作を二八歳のときに書いていたのに対し、実験的イノベーターは三九歳だった。 ノーベル賞受賞歴をもつ物理学者を一人ひとり調べた別の研究では、三○歳未満の若き天才のうちのちょうど半数が、理論的研究を行なった概念的イノベーターだった。一方で、四五歳以上の老練のうち、九二パーセントは実験的研究をしていた。

     …実験的なイノベーションは、必要な知識とスキルの蓄積に何年も何十年もかかるが、オリジナリティの源泉として、より長続きする。

     何か独創的なものを考え出すには、なじみのないものを出発点とする必要がある。

     奇抜なものを出発点とし、それに親しみやすさを加えたものがもっとも確実なアイデアである。

     スタンフォード大学の教授であるジェームス・マーチによると、何かを決断するときには、「どう行動すれば最高の結果が得られるだろうか」というように、「結果の論理」にしたがう人が多い。だが、ロビンソンのようにつねに現状に異議を唱えるような人は、「結果の論理」ではなく「妥当性の論理」を使う。
     つまり、「私のような人は、こういう状況ではどうするべきか」と考えるのだ。外側を見回すことで結果を予想するのではなく、内側、つまり自分のアイデンティティと向き合うのである。自分がどういう人間であるか―もしくはどういう人間になりたいのか、というのが決断の基礎となるのだ。
    「結果の論理」にもとづいて決断していると、リスクを負うべきでない理由が必ず見つかる。一方、「妥当性の論理」にもとづくと、自由になれる。

     オリジナルな人の多くがリスク・テイカーなのは、周囲が自主性を尊重してくれたり、守ってくれたりするからだろう。

     新たな研究では、怒鳴ったり、罰を与えると脅かしたりしてルールを強いられた場合、ティーンエイジャーはルールに反発することが明らかになっている。

    「行ない」よりも「人柄」を褒める
     人柄を褒められると、それを自分のアイデンティティの一部として取り込むのである。

    「不正をするな」といわれてもすることはできるし、一度くらいしたところで倫理観が損なわれるわけではない。しかし、「不正を働く人になるな」といわれると、急にうしろ暗い感覚を覚えるものだ。不道徳な行為がアイデンティティと結びつき、不正をすることにあまり魅力を感じなくなる。

     集団思考は、オリジナリティの敵だ。多様な考えを尊重するのではなく、集団内の多数意見や既存の視点に沿わなくてはならないと、ことさらにプレッシャーを感じる。

     一九九〇年の半ば、ある専門家のグループは、企業の創業者たちがどうやってそれぞれの会社を成長させてきたかに興味を抱いた。
     社会学者のジェームス・バロンが中心となり、シリコンバレーのおよそ二〇〇ものベンチャー企業の創業者にインタビューした。
     ハードウェアやソフトウェア、テレコミュニケーション、ネットワーク事業、医療機器、生物工学やリサーチ、製造、半導体まで、対象の企業は多岐にわたった。バロンのチームは創業者たち 「会社を起ち上げたとき、どんな組織を頭に描いていたのか」と聞いてみた。
     業種に関係なく、主に三つの組織モデルがあがった。①「専門型」、②「スター型」、③「献身型」だ。
     ①の専門型モデルでは、特定のスキルをもつ従業員の雇用を重要視した。創業者たちは、ジャバスクリプトやC言語でプログラムできるエンジニアや、たんぱく質の合成に関する深い知識をもった科学者を重用した。
     ②のスター型モデルでは、有能な人材を迎えたり秀でた人材を引き抜いたりすることを重視し、現在のスキルでなく将来の可能性に焦点があてられていた。スター人材は、現在は特定分野に関する専門知識がなく荒削りであっても、知識を吸収できるだけの地頭のよさがあることが求められる。
     ③の献身型の雇用方法は異なっていた。スキルも将来性も大事ではあるが、企業文化に溶け込むことを絶対条件としていたのだ。企業の価値観や基準と足並みをそろえることが最優先だった。
     ③の経営者は、モチベーションに対しても一風変わったアプローチをとっていた。
    「専門型」と「スター型」をめざす創業者は、従業員にむずかしい業務を与えたり、自主性を重視したりするのに対し、献身型モデルの創業者は、従業員間もしくは従業員と組織間を強い絆でつなぐことに注力していたのだ。
    「家族」や「愛」という言葉で組織の人間関係を表現し、従業員は、組織の使命に熱い情熱を注ぐ傾向があった。
     バロンのチームは、どのモデルがもっとも成功したのかを知りたいと思った。
     一九九〇年代のインターネットブームから二○○○年のバブル崩壊までのあいだの状況を追跡した結果、一つのモデルが、ほかの二つよりもはるかに優れていたことがわかった。 それは「献身型」モデルである。
     献身型モデルの企業の失敗率はゼロだった――倒産した会社は一つもなかったのである。ほかのモデルを使った企業の未来は、そう明るくなかった。
     スター型モデルの失敗率は高く、専門型モデルにおいては、三倍以上の失敗率だった。
     一方で、献身型モデルの企業は、株式上場する確率も高く、株式公開時の株価は、スター型の三倍以上、そして専門型の四倍以上の値段がついた。
    多くのベンチャー企業では、創業者に代わり新たなCEOを迎えたため、バロンのチームは、 新CEOにも組織モデルに関するインタビューを行なった。
     創業者のモデルは、次の世代のCEOが独自のモデルを導入したあとも、脈々と引き継がれ ていた――現行のCEOのモデルより重要か、少なくとも同等に重要なものであると認識されていた。
     このように、創業者の影響力は偉大だ。技能やスター性をもつものはいずれ去っていくが、会社に対する「思い入れ」は息が長いのである。
     
     市場が動的になると、強い企業文化をもつ大企業は孤立してしまうのだ。

     従業員が多数意見にしたがうのではなく、それぞれの視点を示すことで、他社が考えもしなかった投資判断を下すことができ、他社が見つけることのできないトレンドを見いだせる可能性がグッと高くなる。ほかの企業間違っているときにも、”正解”が出せるのだ。

    「ブリッジウォーターでは、レイ・ダリオが、周囲の他者がきちんと発言をしているかどうかを問うアンケートを社内全員に送った。

     日々一緒に仕事をする人たちのなかに、困難な状況であっても自分のために発言してくれる人や、正義のために戦ってくれる人はどのくらいいますか。  あなたはそういう人ですか
     では、あなたの誠実さが試される質問をします。日々一緒に仕事をする人たちのなかで、正義のために戦っていない人は誰ですか(必ず三人あげてください)。
    「その人たちに、そのことを伝えたことがありますか。もし伝えたことがないのであれば、その理由は何ですか。

     ダリオは、文字数制限のない自由な記入欄を設けた。回答はどっと押し寄せたが、ルール集をもとに一致団結している会社だとは思えないほど、意見がバラバラだった。
     従業員のうち何人かは、名前をあげることに反発した。
     またほかの従業員は、アンケートの形式に苦言を呈した。
     ある従業員は、「このアンケートはアイデア実力主義どころか、まるでナチスドイツだ」と書いた。
     また、ほかの従業員はこう記していた。
    「今日のアンケートは、度を越している......意見一つのために三人も名前をあげるなんてバカバカしい。しかもごく限定的で、慎重を要するテーマだ。アンケートが人の感情を無視した形式であるため、よけい底意地が悪い」
     だが、まったく逆の反応をした従業員もいた。 彼らは、会社の規範に沿ったアンケートだと感じた。本心を口にしない人たちは、企業文化にそぐわないのだ、と。
     ある従業員は、アンケートは「じっくり考えるきっかけになった」といい、「アンケートによって会話が生まれましたある人が、正義のために戦っていない人として私の名前を書いたとメールをくれました――私もそう思いました」。
    また別の従業員は、「このアンケートはここ二年間でやった課題のなかで、もっとも価値のある、もっともむずかしいものでした」と書いた。
     ダリオは不協和音が大好きだ。
     不協和音により両サイドが学び合える援会ができるからだ。
    「建設的に異論を交わせない人々が、人間にとって最大の悲劇を生み出す」のだという。
     ダリオは、社員が議論を戦わせることで、意見の食い違いに折り合いをつけることを望んで いる。納得するまで徹底的に話し合うことで足並みをそろえさせたいのだ。
     アンケートに対する社員の相反する視点をまとめるため、ダリオは議論の場を設けた。バラ ンスのとれたやりとりをうながそうと、強い否定的な意見をもつ従業員三人と、非常に意欲的な従業員三人を選んだ。 ダリオは、批判的な意見をもつ一人に意見を聞いた。
     その従業員は、「マッカーシズムのような、つるし上げ文化がつくられること」への懸念を示した。別の従業員も同意して、「名前をあげさせるなんて、愚かなことです」といった。
     すると別の一人がその意見を押し返した。
    「そういった情報を共有しないことが、愚かなのではないでしょうか」
     アンケート結果から、ほかの従業員に批判的な意見をもっていても四○パーセントの人は口にしないことが明らかになっていた――しかし全員が、ほかの従業員の批判的な意見を知りたいとも回答していた。
     数十名の従業員が集まった部屋で、一時間以上にもわたり白熱した議論がくり広げられた。
     本来、会社の業務は投資管理なのに、なぜダリオは名前をあげるべきか否かという議論にこれほど時間を費やすのだろうか?
     自分の意見をはっきりと述べる文化をつくることができれば、従業員たちは集団の心配などさほどしなくてよくなるからだ。そしてダリオが意見を述べるたびに、うなづいたり愛想笑いをしたりするプレッシャーを部下が感じなくてすむ。
     ダリオが下した市場予測に疑問を投げかけるとき、従業員たちはすべてをオープンにして意見をいえるし、従業員間でも徹底的に透明性を保つようになる。
     決断は、役職などの階級制度や多数決による民主主義にもとづいてではなく、アイデア実力主義にもとづいて下されるようになるのだ。
     一時間以上も議論を交わしたところで、従業員は互いに切磋琢磨し、独創的なアイデアを共有する必要がある、ということで一致した。
     このような透明性が集団思考を防ぎ、間違った決断を長きにわたり回避できる。
     互いに反論できる文化を築き上げることで、ダリオは組織の「なれあい文化」にノーを突きつける。だが、このような文化は、ほとんどのリーダーが望んでいることとは違うようだ。


     この経験で、従業員の声を聞くことの大切さがわかっただけでなく、決断のかなり前から、意見交換ができる確実な情報網をもつことが重要だとわかった」とボックは、『ワーク・ルー ズ!』(東洋経済新報社)のなかで書いている。
     反対意見をもつ者が早い段階で意見を述べられるように、ボックのチームは「カナリア」というグループをつくった。多様な視点をもつ、信頼のおける社内エンジニアたちの集まりだ。彼らは不利な状況に敏感であるとともに、堂々と意見がいえるという評判をもつ人たちでもある。
     クループの名称は、一九世紀において、炭鉱内の有毒ガスを感知する方法としてカナリアを いていたことに由来するものだ。
     今や人事チームは大きな方針変更を発表する前に、たいていカナリアに重要なフィードバックを求めている。カナリアは、諮問委員会でもあり、意見交換グループでもある。さらにはグーグルで働く従業員の声が上層部にまで届くようにするしくみでもある。
     前もって彼らの意見を聞くことで、「これまでいちばん不平不満をいっていた人たちが、いちばん強力な代弁者となった」とボックのチームの一人はいう。

     世界を「創造する者」は、自主的に考える人であり、「好奇心が強い」「まわりに同調しない」「反抗的」という三つの特質があるという。
     こういった人たちは地位や階層などを気にせず、残酷なまでに率直だ。そしてリスクを顧み ず行動を起こす。彼らにとっては、失敗することの恐れより、成功しないことへの恐れのほう が強いからだ。 
     ダリオ自身もこの描写に当てはまる人物だが、現在彼が直面している障害は、彼の跡継ぎを見つけることだ。もしそれができなければ、ブリッジウォー ターは、ポラロイドのように消えてしまうかもしれない。
     しかしダリオは、集団思考を防ぐには、一人のリーダーがビジョンを語るだけでは十分ではない、ということを理解している。世界にオリジナリティを紹介するだけではなく、みんなのオリジナリティを引き出す――そんな文化をつくろうとしている。

     研究によると、「他者に対して」怒りを感じていると復讐心が生じるが、「他者のために」怒りを感じていると、正義やよりよいシステムをつくる動機になる。

     アメリカ独立宣言は、「生命と自由、幸福の追求」という、奪うことのできない権利を市民 に約束している。そして、私たちの多くは、幸福のために「今、ここにある世界」を享受することを選んでいる。
     しかしオリジナルな人たちは、あえて苦しい戦いを選び、理想の世界を実現しようととり組んでいる。人生を向上させ、より多くの自由を得るために行動することによって、一時的に快楽を捨て、みずからの幸福をあと回しにしているかもしれない。
     しかし長い目で見ると、彼らは世界をもっと素晴らしい場所にするチャンスを手にするだろう。心理学者ブライアン・リトルの言葉を借りると―「別種の満足感」をもたらすのだ。
    「オリジナルでいる」ことは、幸せにいたる道としては、けっして簡単なものではない。しかし、それを追い求めることの幸せは何にも代えがたいのである。

  • アダムはこの本著で、人が持つ思い込みを一つづつ潰しながら、誰もが想像力を高めることができることを示す。

    詳細は下記
    https://note.com/t06901ky/n/nc0ea2dccaf84

  • 先延ばしはクリエイティブな仕事には意外と有効だったりするらしい。意外な事実が多くて参考になった。

  • 先延ばしは生産性の敵だが創造性の源

  • GIVE & TAKEのアダム・グラントの書いた本。
    たまたま知り合いに勧められて読んでみた。
    いわゆる`普通の人`がオリジナルな個性を発揮するにはどうしたらよいかを書いているもの。
    最初の解説にシェリル・サンドバーグ、最後に楠さんというハンバーガー形式の解説はよかった。
    内容自体は平易な感じだったので、こんなもんかな。

    ■目次
    1 変化を生み出す「創造的破壊」―「最初の一歩」をどう考えるか
    2 大胆に発想し、緻密に進める―キラリと光るアイデアとは
    3 “無関心”を“情熱”へ変える法―まわりを巻き込むタフな説得力
    4 賢者は時を待ち、愚者は先を急ぐ―チャンスを最大化するタイミング
    5 「誰と組むか」が勝敗を決める―パワフルな結束をつくる人の見分け方
    6 「はみ出す人」こそ時代をつくる―どこに可能性が隠されているか
    7 ダメになる組織、飛躍する組織―風通しよく、進化を遂げるしくみづくり
    8 どんな「荒波」も、しなやかに乗りこなせ―あらゆるものをエネルギーにする方法

  • オリジナリティが高い人の特徴とその心理についての研究や事例集
    ボリュームが多いため読み切るのは大変だが、興味のあるセクションをつまんで読むと面白いかも。

    ■目次
    1 変化を生み出す「創造的破壊」―「最初の一歩」をどう考えるか
    2 大胆に発想し、緻密に進める―キラリと光るアイデアとは
    3 “無関心”を“情熱”へ変える法―まわりを巻き込むタフな説得力
    4 賢者は時を待ち、愚者は先を急ぐ―チャンスを最大化するタイミング
    5 「誰と組むか」が勝敗を決める―パワフルな結束をつくる人の見分け方
    6 「はみ出す人」こそ時代をつくる―どこに可能性が隠されているか
    7 ダメになる組織、飛躍する組織―風通しよく、進化を遂げるしくみづくり
    8 どんな「荒波」も、しなやかに乗りこなせ―あらゆるものをエネルギーにする方法

  • 内容がよくわからないな

全14件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

ペンシルベニア大学ウォートン校教授、心理学者。
著書に世界的ベストセラーとなった『ORIGINALS─―誰もが「人と違うこと」ができる時代』『GIVE & TAKE─―「与える人」こそ成功する時代』がある。
意欲や生きがいを見出し、より豊かで創造的な生を送るための研究の第一人者。
アメリカ心理学会と国立科学財団から業績賞を受賞し、ニューヨーク・タイムズにも論説を寄稿している。
妻と3人の子どもとともにフィラデルフィアに在住。

「2017年 『OPTION B(オプションB)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

アダム・グラントの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
伊賀 泰代
岸見 一郎
伊賀 泰代
ウォルター・アイ...
エリック・バーカ...
エリック・リース
ダニエル カーネ...
ジェームス W....
ダニエル カーネ...
有効な右矢印 無効な右矢印

ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代を本棚に登録しているひと

ツイートする
×