中東から世界が崩れる イランの復活、サウジアラビアの変貌 (NHK出版新書) [Kindle]
- NHK出版 (2016年6月11日発売)


- 本 ・電子書籍 (229ページ)
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
放送大学で
いくつか
教科を勉強中 -
2016年発売なので今(2022年末)からすると少し古い情報なのだが、全体としては当時と変わらない中東情勢がよく判る。
ペルシャ人であるイランはアラブというくくりには入らないので、西アジアのあの辺りは中東イスラム圏と呼ぶところや、諸々の国家は国としての基礎を持たず、国と言えるのはイラン、トルコ、エジプトの三国だけである、という指摘は、なるほどと納得。 -
少し前の本だが、中東の問題点がよくわかった。
イランがなぜシーア派なのか、については著者の持論は以前の王朝がシーア派の王朝だったからという理解が簡単だと言っているが、やはり、アラブ人と一緒は嫌だという民族主義だと思う。
民族主義というのはいつの時代も変わらないのだから。 -
少々古くなるものの中東情勢・これまでの歴史/経緯が整理されており、よく理解できた。急転直下、この後の中東情勢を自分なりに整理しておきたい。
-
読んでると「こんなに甘やかされていいのかしらん」と思うほど平易に書かれているヨ。
-
さらっと読めてなんとなく中東の情勢の概略がつかめる。
-
前に読んだ『世界はこのままイスラーム化するのか』と同じような題材を取り上げているが、それが宗教家の視点からの分析出会ったのに対し、こちらは完全にジャーナリスト視点で書かれている。
筆者はむしろ、この地域で起きている多くの紛争の原因は宗教ではないとの視点に立っている。シーア派とスンニー派などに別れているため宗派対立の様に見える場合が多いが、それはたまたまであって本質的な原因ではないと考える。
「世界が崩れる」というタイトルは釣りであろうが、中東における国民国家という枠組みは多くの問題があり、国とは呼べない「国もどき」がいくつもあるという見方は説得力がある。そして中東の安定には新しい国の線引が必要という主張にもうなずける。
もちろん、実現は難しいだろう。中東の国境が英仏などヨーロッパ列強の都合で勝手に引かれたものであることは誰もが知っているが、それでも今ある国境を平和的に変更するのは極めて困難だ。しかし筆者が「国もどき」と呼ぶいくつかの国がいずれ崩壊するという予想は当たりそうに思う。
その時、誰がどういう枠組みで新しい国を作ることになるのか。今生きている我々が知ることはできないかもしれないが、ベルリンの壁の様に案外突然その日が来るかもしれない。
日本から見て中東は距離的に遠いが産油国なので無関係ではいられない。本書の最後で語られるよう、この地域で日本が重要なプレゼンスを得ることは十分に可能だ。私自身が行くことは(多分)ないと思うが、関心を持っておきたい。 -
Amazonのセールで拾った本でしたが、掘り出し物でした。
イスラム教国家での紛争を宗派対立という形の解説で落とし込みがちな日本のメディアの見解にメスを入れているのが良いです。
イスラム圏は、精神的なハードルが高いと思いがちな日本人の発想を、突き崩す良書だと思います。
もし、イデオロギー対立であるとしたならば、ソ連と米国も冷戦が終了していたら、対立も終了していたはず。という部分の記述には納得しました。実態は、帝国同志の抗争であると。地政学的な利害対立の方が、ずっと多いし大きいとも書かれていました。
また、イラン革命は何故起きたか。という部分も分かりやすく説明してありました。1979年の革命だけにフォーカスを当てていても理解できないと。1953年まで遡る必要があると触れてあったことも、今迄のTVやメディアの解説の視点とは違っていました。
米国とイランは共に被害者意識を持っている点が特徴であること。また、ペルシアとアラブは古代から現代に至って戦った事がないことから、イスラエルの敵は周辺のアラブ諸国であって、イランではない。という切り口も新鮮でした。こういう言及をしてくれる日本のメディアが無かったなあと思いながら楽しんで読み進めることが出来ました。
著者プロフィール
高橋和夫の作品





