沙理奈は結婚相手に財産を持って逃げられ、困っていた時にいとこの少年の純也の保護者となってくれれば住居と生活費をくれるという話に飛びつく。
純也は行方不明になった双子の八葉の霊がいるという変わった子で…の「吸血の館」、
由香は恋人の洸一の念願の夢のレストランを開くために古い家を購入する。
そこには不気味な地下室があったが、資金難で目をつぶった。
しかし、その家で不思議なことが起きて…の「復活の宴」、
落ちぶれた女優の可也は幽霊屋敷へ行くバラエティの番組に出ることに。
その屋敷でかつての恋人の高伸の霊がいて…の表題作、
謎の男たちに追われていた英美里は、正紀の運転する車に轢かれそうになる。
病院で気がつくと、妊娠していることを告げられ…。
「私の中のエイリアン」、
恋愛作家の亜矢子は妻のいる恋人に別れを告げらてた。
いつか自分の元に来ると信じていたのに…。
忘れられず、酔った勢いで彼が戻ってくる小説を書くが、それが現実になって…の「闇の王国」、
海に投げ出されて気がつくと、島の浜辺だった。
そこにはウイルスから逃れてきたという人たちがいた。
彼らは人類が滅亡したというが…「魂の呪縛」、
春菜は子供の頃、近所の洋館の窓に立つ少女と友達になりたかった。
ある日、助けてと書かれた紙を投げられ、母に告げるが、いたずらだと取り合われなかった。
そのまま時が流れ、夫がその洋館の跡に建てられたマンションを買い、引っ越した。
忙しい夫と女の影や華やかな隣人、過去の思い出が交錯して…「鎮魂歌」の読み切りホラー七作。
前三作は同じ屋敷の話で、住人の純也が成長して登場。
大人女性向けのホラーがバリエーション豊かにたくさん入っておトクな一冊。
怪奇現象だけじゃなくて生きてる人間も怖いという感じ。
絵もきれいでアクがなくて読みやすい。
何かしら原因がある作品の中で、「私の中の…」は理不尽に巻き込まれて辛いなと思った。