軍艦長門の生涯(上)(新潮文庫) [Kindle]

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  • 大日本帝国海軍の軍艦・長門の建造から消滅までを描く。世界最大級の戦艦であるが、動力源の石油を米国に依存し、大艦巨砲主義の時代が終わりに近づいているという矛盾を抱えた存在であった。

    本書は客船の建造経験のある造船所で造った軍艦は居住性が高いと指摘する。「客船の建造に経験の深い造船所でつくったフネの方が、どうしても住み心地がいい」「本艦は長崎で出来ただけあって、士官室のソファの具合からしてちがう」(92頁)。

    コスト度外視で開発した軍事技術が後に民間に転用されて技術水準の押し上げになるという話は喧伝される。そこにはコスト度外視の無駄遣い批判への反論という政治的思惑があるだろう。その逆に民間の経験が兵器生産でも有効という指摘は新鮮である。民間感覚は大切である。

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著者プロフィール

阿川弘之
一九二〇年(大正九)広島市に生まれる。四二年(昭和一七)九月、東京帝国大学文学部国文科を繰り上げ卒業。兵科予備学生として海軍に入隊し、海軍大尉として中国の漢口にて終戦を迎えた。四六年復員。小説家、評論家。主な作品に『春の城』(読売文学賞)、『雲の墓標』、『山本五十六』(新潮社文学賞)、『米内光政』、『井上成美』(日本文学大賞)、『志賀直哉』(毎日出版文化賞、野間文芸賞)、『食味風々録』(読売文学賞)、『南蛮阿房列車』など。九五年(平成七)『高松宮日記』(全八巻)の編纂校訂に携わる。七八年、第三五回日本芸術院賞恩賜賞受賞。九三年、文化功労者に顕彰される。九九年、文化勲章受章。二〇〇七年、菊池寛賞受賞。日本芸術院会員。二〇一五年(平成二七)没。

「2023年 『海軍こぼれ話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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