コンビニ人間 (文春e-book) [Kindle]

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  • 文藝春秋
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感想・レビュー・書評

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  • なかなか面白くて興味深く読めた。
    感性っていうのは十人十色なのはわかっていたつもりがこの本を読むと覆された。自分の考えは平均的な考え?でもそれに近いか遠いかだで人は安心する。かけ離れると理解しがたい!って思うわな。何が普通か何が良いかなんて何て確たるの無いと思う!けど、それがないと世界はどうなってしまうのか。世界わ小さくても私は理解できなくても理解しようと思う。本音で話して共存したいと思います。

  • とても面白い。
    よくコンビニを利用するが、これからは、彼女が主人公
    の古倉に、彼が店長に、彼が白羽に見えるかも知れない。コンビニのシステムがよく分かる。客の描写がもう少しあっても良かったかも。

  • 何をするにしろ「マニュアル」があると楽だ。
    でも、生き方には「マニュアル」がない。
    一般的に、主人公・古倉恵子はすごく変わった人間だと思われるかもしれないが、(全面的ではないにしろ)どこか共感できてしまう。
    それは、誰もが「自分は社会の中で、どんなポジショニングを取り、どんな生き方をしていけばいいのか?」模索しているからではないだろうか。
    何の迷いもなく、絶対的な自信を持って人生を送っている人なんて、そうはいないですよね。
    第155回芥川賞受賞作。

  • 2016年上半期・第155回芥川賞受賞作品。
    ・・・僕とは全く相性の合わない芥川賞作品。これまで読んだ同賞
    受賞作品の中でピンと来たのがピース・又吉直樹の「火花」くら
    い。なので通常は避けるタイプなんだけど、タイトルと煽り文に
    惹かれて思わず電子書籍版購入。さて・・・。

    僕らの年代は「初代コンビニエンスチルドレン」に該当する。
    今やそこらへんにあるのが普通なコンビニエンスストアだが、
    その頃住んでいた街に最初のセブンイレブンが出来た時は、本当
    に感動を覚えた。以降は夜に手持ちぶさたになると何故かコンビ
    ニへ(^^;)。そのクセは、今も結構変わっていないような気がする。

    そんなコンビニで「働く」方の女性を描いた物語。
    先天的生活機能障害を抱えた女性が主人公。36歳でこれまで就職
    の経験無し、大学在学中から18年間をずっとコンビニのアルバイ
    ト店員として過ごす。未婚、恋愛経験無し、そして処女。間違い
    なく常人とは異なる感覚を持つ彼女が、唯一社会と繋がっていら
    れる場所がコンビニエンスストア。コンビニのマニュアルに従い、
    店員を「演じる」ことで、社会に必要な「部品」で居られる。
    そんなコンビニに、ある男が同じアルバイトとして入ってきて・・・
    という内容。

    主人公はもちろんだが、途中から登場する男性(←コイツはクソ
    ^^;)がやたらとサイコ。特に何が起こるでも無い展開なのにもか
    かわらず、ちょっとしたホラー小説を読むよりよっぽど薄気味が悪
    い。その所為で読むのを中断するタイミングが全く無い、という見
    事な構成。正直、これまで読んだ芥川賞作品の中ではベスト。一気
    に読ませてくれる筆力、単純にすばらしいと思う次第。

    そして、個人的には主人公の女性をちょっと尊敬さえしている自分
    に気づく。週5日勤務し、職場を愛し、周囲に絶えず気を配る。
    立場はアルバイトかもしれないが、コレはもう立派な「仕事」。そ
    してそこに18年も勤務している段階でもう僕は負けている。自慢じ
    ゃないが、同じところで18年働いた試しなど無いのだから。

    こういう形のプロフェッショナルが居ても全く問題無い。というか、
    フランチャイズ側の人間はそういうスタッフさんをすくい上げ、
    活躍する場・・・トレーナーとか研修担当とか・・・を与えてあげるべき
    なんじゃないか、とすら思う。

    ちなみにこの作品、問題提起が多々ある筈なのに、ラストまで一切
    の解決は無し。にもかかわらず、充実した読後感をくれた村田沙耶香
    という作家を、僕は心からリスペクトします。

    ・・・芥川賞にもいい作品あるじゃん♪

  • 世間に流されることなく、自分の主観で生きて行く主人公は、コンビニでしか働けなくなってしまった。超俯瞰から人間観察すると人間の行動はこう解釈できるのかと新しいい発見をした感じだ。しかし物語の主人公には幸せという概念はないのかもしれないが、世間的な幸福は訪れそうもない。

  • 救いのないホラーなオチだった。でも人間を高尚なものと思うから怖いのであって、はなから諦めていれば救いが感じられる終わり方なのかもしれない。

  • 前に話題だったので図書館で借りて読みました。
    面白かったです(⌒‐⌒) 一気読み。会話文に「!」が多かったので頭の中は少々、騒がしかったですが。笑 「普通って何?」を直球で投げられた感じがしました。
    「普通」って一番よくわからないですよね。これが自分なのに周りから普通にしなさいっていうの疑問ですよね。そうやって皆、形を整えられて大人になるんだと思います。主人公は自分を貫き通しててかっこいいと思いました。やってはいけないことをしない限り自分の生きかたで生きててもいいと思うんですよね。自分にとってそれが普通なのですから。
    色々と考えさせられました(⌒‐⌒)

  • 「コンビニ人間」(村田沙耶香)[電子書籍版]を読んだ。これはいいね。
    差別と偏見に満ち満ちた現在社会とそんな社会に取り込まれてしまっている自分に反省する。
    『迷惑をかけていない私をほっといて!』という叫びは痛みを伴う記憶として私の中に今もまだ熱い筈ではないのか。
    どうした、俺!

  • 結婚しなくても、就職しなくても、本人が決めた快適な生き方なら誰も何も追求すべきではない。そこから外れることが異常で、おかしなことだと決めつけるべきではない。みんな周りの人の傾向や話し方に少なからず影響を受けている。

  • 臨床心理士に勧められて読んだ本。アスペルガーの人の感性、世界観、考え方、学び方を知るのに最適だから、と。どの専門書よりもわかりやすかった。

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著者プロフィール

村田沙耶香(むらた・さやか)
1979年千葉県生れ。玉川大学文学部卒業。2003年『授乳』で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)を受賞しデビュー。09年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、13年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島由紀夫賞、16年「コンビニ人間」で芥川賞を受賞。その他の作品に『殺人出産』、『消滅世界』、『地球星人』、『丸の内魔法少女ミラクリーナ』などがある。

「2021年 『変半身(かわりみ)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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