完全教祖マニュアル (ちくま新書) [Kindle]

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  • 凡人のあなたでも新たな宗教を開設し、その教祖として大成功できる完全マニュアル。

    という体裁をとった宗教の仕組みや成り立ち、その背景にある合理性や時代の特徴など多面的に分析し解説された本であり、現代におけるマーケティングや組織マネジメントに通じるエッセンスがふんだんに盛り込まれた本。

    文体が軽妙で笑いながら読める。

    本書の目次に沿って学びのエッセンスをまとめると
    ・教義を定めるのは、ビジョン策定やブランディングそのもの
    ・大衆に迎合するのはユーザーニーズに寄り添ったマーケットインの思想
    ・信者の保持はリードナーチャリングとCRMの話
    ・教義の進化はベネフィットの確立、UXの話
    ・布教はPRマーケティング
    ・困難に打ち勝とうは競争戦略、差別化
    ・甘い汁を吸おうはビジネスモデル、マネタイズ
    ・後世に名を残そうは心構え、スタンス
    と思いながら読むととっても味わい深い。

  • 「本書は誰でも簡単に教祖になれる実践マニュアル」らしい。なんとも怪しいタイトルだが、文体はポップで書かれていることはひじょうにまともで面白い。「大事なことなのでもう一度言います。本書はさまざまな宗教の分析から構築された極めて価格的なマニュアルです。科学ですから決して怪しい本ではありません。皆さん、本書を信じて、本書の指針のままに行動してください。本書の教えを遵守すれば、きっと明るい教祖ライフが開けるでしょう。教祖にさえなれば人生バラ色です!あなたの運命はいままさにこの瞬間に変わろうとしています!本書を信じるのです。本書を信じなさい。本書を信じれば救われます。」の部分など、確信犯的でとてもそれっぽい。
    印象に残ったところメモ。
    ・私たちはなんだかんだと理由を考えてしまい、心の中に浮かんだ善行にブレーキをかけてしまう。というのは、人間はいいことをするときにも悪いことをするときにも、とにかく「理由」が必要だから。
    ・そもそも「世界のあらゆる現象は全て説明できるはず」などと考える方がおこがましい気がしませんか?
    ・人は社会的に生きる以上、必ず何かの権威に従って生きていかざるをえません。
    ・相手に先入観さえあればなんでも気持ち悪く見える。(→全ての人間には今持つ固定観念がある。その枠組みで捉えられないことには違和感を感じる。)

    • ともひでさん
      『麻原彰晃の誕生』おすすめです。
      『麻原彰晃の誕生』おすすめです。
      2023/07/28
    • オサムさん
      @ともひでさん、
      おもしろそうですね、買いました。
      ありがとうございます。
      @ともひでさん、
      おもしろそうですね、買いました。
      ありがとうございます。
      2023/07/28
  • 人をガチでハッピーにするために宗教を立ち上げ、教祖になるための完全マニュアル。仏教やキリスト教、イスラム教、ユダヤ教など古今東西の宗教の成り立ちから、教祖になるためのエッセンスを現代向けに解説している。本書を信じるものは救われる。

    特に大事なことは信者をハッピーにすること、現世利益を与えることである。そのために弱者に寄り添うこと、教義の形骸化への対策、異端者・他宗教との付き合い方などがある。最終的には、書籍化や寄付によってウハウハすることまで書かれているが「人をガチでハッピーにすることが大事」と口酸っぱく言われている。

    ここまで読むと、ただ単に如何わしい書籍ですが、この本質はチーム作りや組織づくりに通じます。会社のビジョンをどうやって浸透させるか、組織文化が形骸化したらどうするのか、新しい価値観が持ち込まれたら?、ビジョンの解釈に関して社内で対立が起きたら?とアナロジーを考えるととても有益です。

    大事なのは、チームメンバーを、社員をハッピーにすること。そのために完全教祖マニュアルを活用してみてはどうでしょうか。

  • 『完全自殺マニュアル』と同じ、茶化しながらアングラな内容を解説する本。自分は宗教にはだまされないとか、なんでカルト宗教にはまる人がいるのかよく分からない人にオススメ。
    これを読むと、インフルエンサーのオンラインサロンやネットワークビジネス、反ワクチンや陰謀論、SDGsや環境保護活動なんかも宗教であることがわかる。つまり何かの宗教に属することは社会に属することなので、この本を読んであらゆる宗教から距離を置くと社会から孤立する。そういう意味では危険な本かもしれない。

  • 本書は、多くの宗教やその信仰についてやや科学的かつ暴力的に分解しています。(ネガティブでもなければポジティブでもなく、中庸というラインがちょうどいいかもしれません)
    なので、「自身の宗教を熱心に信仰しており、その宗教の否定を一切聞きたくない方」にはお勧めしません。もしかしたらあなたの宗教が(大変マイナーではない限り)出てくる可能性があります。
    また、「宗教のことをよくわかっていなくて且つ興味がある非常に純粋な方」にもお勧めしません。これで宗教が何かわかったふりをすると宗教を信仰している方に喧嘩を売りかねなく、また時として裁判沙汰になりかねないので、大人しく他の本を読みましょう。

    もし身近に「教祖になりたい!」という方がいらっしゃいましたら、ぜひその方にはこの本を読ませてみましょう。
    もしこの本を読んで「なるほど!そうすればいいのか!」と真に感心し、実行される様な方でしたら、その方とは縁を切ることをお勧めします。
    また、自身の宗教を持っているが友人や交際している方に伝えることができないという方がいる様でしたらお渡しになられたらいいかと思います。これで「信仰とはくだらないものだ」「宗教をやることは馬鹿げている」と言うような発言をされるようでしたら対応を改めましょう。

    この本は踏み絵に大変ちょうど良いかと思います。



    いや本当にめっちゃ面白くてずっとゲラゲラ笑ったのですが、その一方でよくよく宗教とは、信仰とは、の部分を歴史に紐づきながら浅く広く書いています。あくまで「浅く」ですが。ちょっと宗教に興味がある、でも専門書は読みたくないって感じなら楽しい読み物。

  • ちくま新書10円セールで漏れなく購入したやつ。

    このマニュアル通りにすれば誰でも教祖になれる!というスタンスで話が進むのでネタなのかまじなのか、笑いどころもたくさん。まあそのマニュアルを通して、教祖というよりは、結局なんで宗教は存在するのか?なんで神を信じるのか?といったことを教えてくれる。

    >人間は良いことをする時にも悪いことをする時にも、とにかく「理由」が必要だからです。「理由」のない行為はなんだか気持ち悪くって、たとえ善行でもやりたくないのです。私たちが無償のボランティアに抱くある種の気持ち悪さもこれに依るものでしょう。ですが、これが宗教ならどうでしょうか? 宗教なら「教義」により、その「理由」を用意することができ、人々に素直な善行をさせることができるのです。

    しっくりきすぎたなあ。

  • タイトルとは裏腹に、かなり真面目に宗教について教えてくれる本。そもそも宗教の成り立ちは?それぞれの宗教の関係は?など知りたい人は必読。

  • 本気なのかネタなのか分からないところが面白い。
    人が何かを信じる仕組みが分かる。逆に言えば、仕組みを知ることで騙されななくなる。
    さすがに教祖にならないにしても、コミュニティ作りの参考にもなる良書。

  • 教祖になるためのノウハウを通じて、宗教団体というものをアイロニカルに理解していく。これを読めば、宗教団体の運営が分かる。

  • 伝統的宗教から新興宗教まで様々な宗教を徹底的に分析し、宗教について「実践的なマニュアル本」の体で解説した本。

    本書は「新興宗教の教祖として成功するためのマニュアル本」の形をとって、宗教について面白おかしく解説しています。古今東西の宗教を事例に解説しているので、知的好奇心も刺激されます。

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著者プロフィール

1980年生まれ。広島県出身。作家。著書に『仁義なきキリスト教史』『完全教祖マニュアル』(辰巳一世との共著)など多数。

「2020年 『仁義なき聖書美術【新約篇】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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