さざなみ [DVD]

監督 : アンドリュー・ヘイ 
出演 : シャーロット・ランプリング  トム・コートネイ 
  • TCエンタテインメント
3.39
  • (3)
  • (16)
  • (16)
  • (6)
  • (0)
本棚登録 : 107
感想 : 13
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4562474176576

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 結婚45周年を祝うパーティを土曜日に控え、準備に追われていた熟年夫婦ジェフとケイト。ところがその週の月曜日、彼らのもとに1通の手紙が届く。それは、50年前に氷山で行方不明になったジェフの元恋人の遺体が発見されたというものだった。その時からジェフは過去の恋愛の記憶を反芻するようになり、妻は存在しない女への嫉妬心や夫への不信感を募らせていく。平凡だが幸せな毎日を送る熟年夫婦ジェフとケイト。そこに亀裂が入っていく1週間のドラマ。

    『さざなみ』の原題は“45years”。結婚して長年連れ添った夫婦の時間が45年ということだろう。1通の手紙が引き金となり、ケイトが死んだ過去の女への嫉妬に苦しみ築いた生活を壊していく様が1週間、章ごとに曜日で撮ってある。1通の手紙で45年の蓄積された信頼関係がわずか1週間で崩れていく、これをホラーと云わずに何と呼ぼう。
    ケイトを演じているのが、あのシャーロット・ランプリングと知り久しぶりの邂逅に胸躍らせた。「愛の嵐」に残る強烈な印象はナチス帽に裸サスペンダー、そして焦点の定まらない瞳だった。
    ケイトにとって、50年前に夫が恋人と登山に行き恋人が事故で死んでいたという話は初耳。屋根裏にしまった古い写真を見て、恋人のお腹には子供が居たことも解った。ケイトとジェフの間に子供は授かっていない。ケイトは「もし彼女が生きていたら彼女と結婚していた」と問い詰める。その質問はタブーだろう。ジェフはこともあろうか「していた」とはっきりと答えたのだ。ジェフさんよ、正直者であれと思いあがるな。妻を思い遣るならきっぱりと嘘をついてあげるべきだった。過去の恋愛は誰だってある、でも過ぎた恋愛話と本音を洩らしたらいけないねぇ。長年夫婦をやっているからと胡坐をかいたんじゃねえの。
    疑心暗鬼だったケイトの表情が硬く強張っていくのはこのあたりから。「幸せ」だと思っていた“45年間”は思い込みだったのか、虚ろに映る2人の生活。
    ランプリングが巧いんです! 
    イギリスには結婚45周年を祝いパーティを開く風習があるのだろうか。そこで、ジェフは涙ながらに「様々な選択をしてきた中で、自分にとって“最高の選択”はケイトと結婚したことである」とスピーチする。 今のジェフの心情に嘘がないのは解る。ジェフよ、遅いんだよ、取り返しがつかないの・・・。目の前のケイトに改めて感謝の念が湧いたと言っても、感謝と愛は違うでしょう!?もはやケイトの心は閉じたままで響かない。ケイトの感情を押し殺した冷たい目は不気味だ。パーティのラストダンスで彼女は自分でも思いもよらない行動を取ってしまう。

  • だった1週間で積み重ねた45年の色が変わってしまう怖さ。
    亡くなった人は歳を取らないから若く輝いたまま。さらに思い出の品を隠し持っているのがバレたり、相手が妊娠していたことまで知ってしまって冷静でいられるはずがない。
    ざわめく心を周りに悟られないように振る舞ううちに疲弊していくケイトから目が離せない。

    男性と女性で感想の違う作品だと思う。
    男性なら最後のスピーチで全て許されると考えるかもしれない。
    でもそういうことではないのだ。

    ジェフは正直な人なのだろう。
    手紙が来てからの突飛な行動がなんというかもう少し賢く出来ないものかと呆れてしまうし、ケイトの質問に率直に答えてしまうし、故にパーティでの涙ながらのスピーチも心からのものだと思う。
    ただだからこそ、そんなジェフが長い間隠し事をしていたなんて、信じきっていたケイトには耐え難いことだろう。

    仕事でも人でも、信じていたものに裏切られるのは受け止めるのが難しい。
    特にケイトのようにそれをストレートに出せない思慮深い女性ならなおさら、時間が経つほどに傷が広がってゆくこともある。

    この夫婦はこれからどうやって暮らしてゆくのだろう。
    新たな関係を築けるのか、それともどこかに壁を感じながら過ごすのか。

  • 45年連れ添った夫婦の、1週間の心情の変化を描いた映画。
    45年ずっとふたりでいても、小さなズレから始まってどんどん心の距離が離れていくことは大いにあるんだな。
    選ぼうとしていた選択肢が消えてしまった結果の現在、どれだけ長い年月の間に昔の恋人への思いが透けていたかを思うと、過去は過去と割り切れない気持ちはわかる。
    夫の方は妻の気持ちの変化の理由を全部理解できていないのもそうだろうな…って感じ。スピーチシーンは胃が痛くなった。

    静けさが際立つ少し青みがかった画面のトーン。
    室内から庭での様子を撮ったり、画面の半分を壁にすることで人の姿がより浮かび上がる構図。
    ニュートラルで客観的な空気感や視点を保つことで、妻の心の内にある苛立ちや衝撃、疑念が膨らんでいく様子がありありと映し出されている。
    叙情的な画作りの参考になった。

  • 結婚45周年を迎える老夫婦。二人が出会う前に夫が愛していた女性の死体が、氷河で凍りづけの状態で発見された。夫は過去の思い出にとらわれ、妻は嫉妬し、二人の仲が揺れ動く。シャーロット・ランプリング演ずる妻がピアノを弾くシーンや、45周年パーティーでの夫のスピーチと二人のダンスなど、途中でカットせず全部を見せる演出がきいていて、見ている方の感情の揺れとたかまりがじわじわと響いた。

  • 2015
    シャーロット・ランプリングは『愛の嵐』のルチア役!

  • 結婚45周年パーティーを迎える Mercer夫婦の回想。シャーロット・ランプリングはやっぱりいいです。さすがに顔のアップはきついけれど、目がねいいです。
    スライドを送るシーンとか、気持ちわかります。すっとダンスができるところがすごいです。最後は、「Platters - Smoke Gets In Your Eyes」。英語が聞き取れずショック。特にトム・コートネイのぼそぼそ声、昔はもう少し聞き取りできたんだけどな。

  • 結婚45周年記念のパーティーを控えたある日、夫の元にある女性の遺体が発見されたと連絡が来る。それは夫の元恋人だった。若い頃、ふたりで登山中に誤って氷河のクレバスに落ちて亡くなり、氷に閉じ込められたまま数十年ぶりに発見されたのだという。

    夫の無神経さに腹が立つ。結婚まで考えていた元恋人の事をなぜ妻に報告する?今なら妻も無感覚で聞ける話だとでも思ったのか?予告編で使われた「妻は目覚め、夫は眠り続ける」という言葉そのまま。最初と最後の妻の表情の違い。悲しすぎる。
    原題は「45years」だが、邦題の「さざなみ」はぴったりだと思った。
    それにしても老いたシャーロット・ランプリングのスタイルの良さ!ほっそりとした脚、すっきりと伸びた背筋。歩く姿を遠目に見ると年齢不詳。あんなふうに年を取りたい。

  • 4.0点

  • 点は低くなったが駄作だとは思わない。丁寧に夫妻の心理、元カノに未練のある夫とその夫の執着に嫉妬を感じる妻の焦燥を見事に描いていると思う。計算された構成もまた見逃してはならないだろう。ペース配分は良く出来ている。では何故点が低くなったのかは、結局この映画の妻が夫に対して抱く嫉妬が地味なものであり、「45 年間」という時間を費やして来たその重みが描かれていないことに尽きる。もう少し夫妻の重ねて来た時間を匂わせる描写や、妻のヒステリックな錯乱等を描けば良かったのではないかと思うのだ。だが、「敢えて」そうしなかったことにこの映画の美点があることも分かるので結局は「好みの問題」なのだろう。「水」が象徴的な役割を果たすことも確かで、川辺の場面や氷漬けになった恋人の逸話、地球温暖化で氷が溶けて行く話など随所に張り巡らされた仕掛けにも注目しないとこの映画は楽しめまい。

  • 1:35

  • 2016/11/5 主役演じるシャーロット.ランプリング上手い‼︎ 45年も連れ添った夫婦の間に起こる感情の波を とても表現していて 観ていて息詰まる思いで妻の思いに共感出来た。
    些細な思いを表情だけで 全て表現しているなあと感心してしまったけど…内容も本当に老夫婦になる頃のあるきっかけで男と女の違いがよく分かるし、女は何気に昔話のような出来事に相手の真実を捉えてしまったら それは無視出来なくなる。男の人は歳をとっても 子どものように自分の気持ちに対して正直で でもその相手の心を顧みない正直さが女の人(妻)をどんなに傷つけているか?考えない無頓着さに 女性はいつも抑えてる分 許せない気持ちになる…何だか怖いほど現実的に真実を見た気がした。

全13件中 1 - 13件を表示
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×