アフロ記者が記者として書いてきたこと。退職したからこそ書けたこと。 [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • おもしろかった。(たまもひさん、ご紹介ありがとうございました!)
    著者は元朝日新聞記者でコラムなどを書いていた人。アフロヘア。ウチは読売新聞だし、出演されたという報道ステーションも見てないので著者のことはまったく知らなかった。この本は、朝日新聞記者時代のコラムや、退職後のエッセイをまとめたもの。文章が軽くて読みやすくて親しみやすい。社会情勢がテーマでも、自身に引きつけて書いている。(なんとなく、なにか星野博美さんに似ている印象を受けたんですが)。

    新聞、て、わたしはずっと、無難なことしか書かないんでしょ?、一般的向け一般的なことしか書かないんでしょ?、批判されそうなことは書かないよね? 政府に逆らわずどちらかといえば政府の味方でしょ?、と思ってた。マジで。でも、本来は、まったく逆なはずなんだな、ということをこの本を読んであらためて考えたという。自分でもなんだかびっくり。
    だから、新聞の使命みたいなことが書かれている、それでもマスコミで働きたいですか?という章にはなんだか感動すらした。。。

    節電からはじめて、冷蔵庫や洗濯機を使うのをやめた、という話もおもしろかった。そういう生活ができたらいいな、とはちょっと思った。ちょっとあこがれるというか。
    でもでも、ひねくれ根性がしみついているわたしとしては、なんというか、著者がリア充だから、というか、実生活に目標があり、やりたいことがあり、お金のあるなしとかではなく、満足していて心が豊かだから、できるのかも、とか思った。わたしみたいな人間は、やっぱりどうしても心の隙間を消費で満たしてしまうというかなんというか。でも、そういうことももっと深く考えてみたいと思った。

    まったく違うかもしれないけど、

  • 「寂しい生活」に続き2冊目。内容が同じものもあるが、新聞やマスコミに焦点を当てて書かれている部分は、読み飛ばしてしまっていた「謝罪記事」をもう一度ネットで参照しながらじっくりと。欲を言えば、初出年月日が記されていると、より、時代背景を考えながら読むことができたと思う。7年経って(安倍政治が突然終わった後に)も読まれている、ということを想定して。
    高野山に行きたいと夢見つつ、床のざらつきが気になる夏の日に、エアコンを消して読みました。

  • 稲垣えみ子さんの朝日新聞退社本は2冊出ていて、「魂の退社」に続きこの本も読みました。

    こちらも面白かった。
    朝日新聞時代に書いた文章がたくさん載っていて、読んだことのあるのも多かった。
    ただ、わたしが注目したのは他の多くの読者と同じく、反響が大きかったという節電のコラム以降なので、それ以前の橋下さんの記事とか、あるいはマスコミ向け刊行物に載ったものなどは当然読んだことがなく、それらも興味深く読んだ。

    印象的な文章はたくさんあれど、一番心に残ったのは次の2点。
    一つは朝日新聞の読者が、稲垣さんの思っていたのとはまったく違っていたというお話。
    P124
    「結果は思ってもみないものだった。
    30人中26人が「君が代条例に賛成」。当たり前のルールを守れない人が先生をしていること自体おかしいという。
    ショックだった。正直、6~7割が「反対」と答えると思っていた。良心的な日本人にとって、国内外に大きな犠牲をもたらした戦争の記憶とつながる国旗・国歌の強制は根源的に受け入れられないものと信じていた。
    その人たちこそ朝日新聞の読者だと思っていた。
    だがそんな人たちは、もはや1割しかいないのだ。良心的な世論をリードしているつもりが、振り返ってみたら誰もいなかったのである。私が想定していた読者像は、自分たちに都合のいい甘いものだった。本当に想定しなくてはいけない読者は、朝日新聞的リベラルな主張を、ウソっぽい、あるいは嫌いだと感じている、世の中の9割の人だった。」

    ひー。わたしのようなリベラル派は世の中の1割なのか。。

    もう一つはやはり節電、脱電化製品のお話。
    チューブにつながれていた人間が一つずつ外して自由になり、自分の足で歩き始めるという例えが載っている。ああ、なるほどなー、さすがうまいなーと思う。
    しかしタイムリーなことに、毎日観ている「とと姉ちゃん」が今、家電がいかに主婦を家事から解放し、自由な時間を与えているかということを力説しているものだから、頭の中が、真逆の価値観でせめぎ合って大変なことに(笑)。

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著者プロフィール

一九六五年、愛知県生まれ。一橋大学社会学部卒。朝日新聞社で大阪本社社会部、週刊朝日編集部などを経て論説委員、編集委員を務め、二〇一六年に五〇歳で退社。以来、都内で夫なし、子なし、冷蔵庫なし、ガス契約なしのフリーランス生活を送る。『魂の退社』『もうレシピ本はいらない』(第五回料理レシピ本大賞料理部門エッセイ賞受賞)、『一人飲みで生きていく』『老後とピアノ』など著書多数。


「2023年 『家事か地獄か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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