「戦争」を語る (文春e-book) [Kindle]

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  • 立花隆さんが、ご自身の体験やご家族の体験を語ったのを文字に起こしたもの。

    リアリティがすごい。

    北京からの引き揚げ。初めて知った。
    日本人は隔離され、戻る時を待つとか。栄養状態が悪く、当時1歳だった妹さんは、2歳過ぎまで歩けなかった。
    おむつもほとんど替えられない。
    やっとのことで門司港に着き、ボランティアの方の御厚意で、一晩か二晩、家族で民家に泊めてもらって、ごはんまでもらった。帰りの列車で食べるおにぎりまで。
    その家は、老婦人がひとりで住んでいたというから、ご家族は戦争で亡くなったかもしれない、とか…。

    門司港から電車で帰る途中、広島の焼け野原。
    広島で何が起こったかを正確に日本人が知るのはもっと後。

    人でごった返した上野駅で、道案内をしてくれた学生さんは裸足だった、と。

    家族みんなで生きて帰れたのは、まだましな方なのかも知れない。
    そして、戦争が終わった後は、生き残った人達が、こうして助け合ってきた。

    日常の延長線上に戦争があり、戦争の延長線上に平和な日常がある。
    今の生活は、ほんとうに恵まれているのだと、痛感させられる。
    祖父母から聞いた話は、ほんの一部で、置かれていた状況によって全然違うんだという、当たり前のことを生々しく知った。
    自分達の子ども世代にも伝えておきたい。

    そして、平和は祈るだけではつくられず、一日、一日作り上げるものなんだと思いを新たにする。

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著者プロフィール

評論家、ジャーナリスト、立教大学21世紀社会デザイン研究科特任教授

「2012年 『「こころ」とのつきあい方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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