立花隆さんが、ご自身の体験やご家族の体験を語ったのを文字に起こしたもの。
リアリティがすごい。
北京からの引き揚げ。初めて知った。
日本人は隔離され、戻る時を待つとか。栄養状態が悪く、当時1歳だった妹さんは、2歳過ぎまで歩けなかった。
おむつもほとんど替えられない。
やっとのことで門司港に着き、ボランティアの方の御厚意で、一晩か二晩、家族で民家に泊めてもらって、ごはんまでもらった。帰りの列車で食べるおにぎりまで。
その家は、老婦人がひとりで住んでいたというから、ご家族は戦争で亡くなったかもしれない、とか…。
門司港から電車で帰る途中、広島の焼け野原。
広島で何が起こったかを正確に日本人が知るのはもっと後。
人でごった返した上野駅で、道案内をしてくれた学生さんは裸足だった、と。
家族みんなで生きて帰れたのは、まだましな方なのかも知れない。
そして、戦争が終わった後は、生き残った人達が、こうして助け合ってきた。
日常の延長線上に戦争があり、戦争の延長線上に平和な日常がある。
今の生活は、ほんとうに恵まれているのだと、痛感させられる。
祖父母から聞いた話は、ほんの一部で、置かれていた状況によって全然違うんだという、当たり前のことを生々しく知った。
自分達の子ども世代にも伝えておきたい。
そして、平和は祈るだけではつくられず、一日、一日作り上げるものなんだと思いを新たにする。