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感想・レビュー・書評
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【ニューバース】
ゲノム編集に関して、整形外科的なイメージを浮かべました。
整形外科は親から与えられたものを変えてしまうことに対する罪悪感を感じてしまいますが、可能性は無限大に広がるということです。
ゲノム編集はがんやエイズなどの治療法が確立していない病気を完治させることができる可能性もあります。一方で受精卵からゲノム編集を行うと、新しい人類を創るというとんでもない(現段階ではとんでもないと思える)ことも可能です。
品種改良で甘みの強いトマトが作られたことに対してはそれほど違和感を感じません。普通に食べると思います。
しかし、ゲノム編集によって、遺伝子的にその甘みの強いトマトと同じトマトが作られると、これを食べても本当に大丈夫なのかと不安になります。
長い年月をかけて作ったものと、短期間に遺伝子を操作して作ったものの差だけで、中身は同じです。開発期間が短くなっただけということです。機械や電気・電子部品であれば抵抗はないのですが、生命に対する壁は大きく違和感を感じてしまうのです。
現に生命はまだまだ未知との遭遇で、人が一から生物を創り出すことすらできていないのです。
ただ、ゲノム編集はこれから先が楽しみな世界であるのは事実です。新たな空間ができあがったような感覚です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ゲノム編集という生命科学の最先端技術についての取材をまとめた書籍。
クリスパー・キャス9という技術がブレイクスルーとなり、近年驚異的なスピードで研究が進んでいる。これまでの遺伝子操作技術は、農産物の品種改良のようにひたすら突然変異を待つものを含めてもある程度は偶然に頼らざるを得なかった。一方で、クリスパー・キャス9は狙ったDNAと同じ塩基配列のRNAを使って編集したい箇所をピンポイントで検索することが可能。しかも、この遺伝子編集ツールはaddgeneという企業が研究目的であれば従来の1/100の価格で提供しており、オープンイノベーションとしての側面も持っている。
適用範囲は農産物や食用動物の品種改良、HIVやがん・難病治療の研究など多岐にわたっている。特に医療分野での治療法の確立や製薬研究が大幅に進むことが期待できるように思う。抗生剤による治療法では病原菌が進化してしまってイタチごっこになることもあるが、ゲノム編集であれば回避できるような気がする。 -
2015年7月30日のNHK「クロ現」の取材・製作チームが執筆した本書。ゲノム編集について判りやすく説明されている。
遺伝子組み換えと何が違うのか、安全なのかといった議論も交えてなかなか面白い内容であった。