生きるぼくら (徳間文庫) [Kindle]

著者 :
  • 徳間書店
4.08
  • (48)
  • (44)
  • (26)
  • (3)
  • (2)
本棚登録 : 573
感想 : 53
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (361ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 原田マハさんといえばの絵画ジャンル、ではない小説。個人的にはそれもすごく好きで、この本も例に漏れずとても良く、読みやすくて没入感が高かった。
    原田マハさんの本の内、絵画を扱っている内容は知識があるがゆえに専門性が強く、読みにくい印象がどうしてもあるけれど、そうではなくなった途端にこの読みやすさなので、だからこそ絵画という専門性の強いジャンルを素人に読ませることができているんだなあと、思わぬ角度からの感心をしました。

    仕事に忙殺された7月でしたが、月1冊は最低読みたいという気持ちから駆け込みで読んだ1冊。良い息抜きになりました。

  • 人生は人間関係の上に成り立ち、周りの人々との信頼関係が充実した人生を築くと教えてくれる話。

    胸に刺さるシーンが幾つかあった。

    家族を持つ事の責任感。文字通り自分一人の人生ではなくなり、パートナー・子供の人生を預かるという事。両親の関係は子供の成長に著しく影響を及ぼすし、無責任な振る舞いは家族を一生傷つける。勿論事業の失敗等もあり苦労をかけさせない、けじめのつもりで家族と別れた父親だが、結局別れても母親と主人公は苦しんだ。自己満足に過ぎなかったのでは?自分だけの事しか考えられない人間が人の親になるべきではないという事。

    純平の価値観が自分と重なる点がある。資本主義社会で勝ち組になる事を目指すのであれば合理的な考え。けど本当にその先に人生の幸せはあるのか?漠然と金儲けへの憧れを持っているが、それを成し遂げた時本当に幸せなのか?

    自分の家族を守るのは自分。時は一瞬で過ぎ去る。感謝の気持ちは伝えないと伝わらないという事。

    以下志乃さんの言葉で刺さったフレーズ

    -認知症患者と支える家族にとって大切なのは「現実的で小さな目標」を一緒に目指す事。

    -あんたがどれほどおばあちゃんを大事にしてるか、よくわかるよ。けどそれは結局、あんたが誰かに大事にされたいからじゃないか、って私には思える。

    -たとえ認知症になってもおばあちゃんに自我はある。それを抑えつけて面倒を見るのは自己満足でしかない。


  • 「人生」は何度もやり直せる、キッカケがあれば。
    後悔しても踏み外しても支えてくれる人がいることは、とても幸運なことだと思った。
    些細なことでも感謝出来るようになりたい。そして、読み終わった後におにぎり食べたい。

  • 原田マハさんの絵画系ではない作品を読むのは初めて。
    辛いいじめから逃れるため引きこもりになった主人公 麻生人生(あそう じんせい、24歳)。
    離婚してひとりで息子を育てる母と同じ屋根の下でもほとんど顔も合わせず自室でネットの世界に引きこもる彼。
    ある日突然母が姿を消した。
    重たいテーマを抱えつつ、自分の人生を変えていく姿、彼を温かく見守り助けてくれる周りのひとたち。
    元気をもらえる作品です。

  • 出だしから、先が気になり
    凄く感動し、泣きました。

  • 人生が、いろんな人、もの、こととかかわって
    気づいてかわっていくさまに、繋がりに、胸が熱くなりました。

  • 2022.9.9

  • いじめにあい、高校を中退、引き籠りとなった麻生人生の母の失踪から話が始まる。頼みの綱の母がいなくなり、残されていた年賀状から、人生は祖母を訪ねる。蓼科に住む祖母は『自然に近い田んぼ』を作っていた。田んぼを耕さない、肥料を施さない、農薬を撒かない、害虫も駆除しない、自然のままで米作りをしている。それが出来なくなってしまった祖母の代わりに人生が米を作る。引き籠りだった人生がどんどん器の大きい逞しい青年に変わっていく。自然の田んぼで出来た米、食べてみたい。

  • 若い子たちに読んでもらいたい本。
    今の子たちは生きるのが大変。
    生きるための職業の選択肢は膨大にある。
    しかし、とっても少ないのかも。

    何に生きがいを感じて頑張るのかを教えてくれる本。

  • ユートピアの話だと思いました。
    その理想の園が途中で瓦解し、自分たちが支え手に回るところまでも含めて。
    主人公をユートピアに導いたきっかけとなる手紙の仕掛けにはほろりときた。

    行き詰まったら、とかく踏み出してみること。シンプルだけど忘れがちですね。大いに勇気が要ることだからです。そして、逃げ回っているうちに人生は簡単に過ぎ去っていくことを知っている。私も痛みを恐れすぎないようにしよう。

    北海道のいわた書店さんの「一万円選書」でご縁のあった本

著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

原田マハの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
西 加奈子
三浦 しをん
西 加奈子
宮部みゆき
村上 春樹
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×