罪の声 [Kindle]

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レビュー : 24
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (308ページ)

感想・レビュー・書評

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  • 「罪の声」(塩田武士)[電子書籍版]を読んだ。そうか、あの尋常ならざる事件は未解決だったね。『これってフィクションかよ?』って唸ってしまうくらいに迫真の筆致である。単なるミステリーという枠に収まらずに家族愛というものを見事に描き切った作品です。もちろん思いっきり泣かされました。

  • グリコ・森永事件を原案にした小説です。
    数年前?に王様のブランチで特集されていたのを見て電子書籍で初めて書い、電子書籍が肌に合わず放置してしまっていたのですが、本日読み終わりました…(積本すぎる)

    途中まではシンプルな過去の事件を紐解く推理小説として読んでいたのですが、終盤テープに使われた子供たちが成長し、この事件のせいで人生を踏みにじられた様子と、けりをつけていく様子を読むのはあまりに悲劇で辛いものでした。
    現実ではなにも表に出ていないけれど、実際に子どもの声は使われていて、いまその人たちがその記憶を胸に生きているのかと思うと胸が苦しくなります。

    現実ではその当時の子供達になにも降り懸からずにしあわせな人生を送っていることを祈るばかりです。

  • グリコ森永事件をベースにした小説。
    大事件ものは謎解きがメインになりがちだが、意図せず犯罪加害者の家計に生まれてしまった人間の苦悩に主眼が置かれており、その描写はフィクションと思いつつも読んで心が苦しくなる。
    犯罪は被害者のみならず、社会、加害者の身内にも大きな影響を与えるとは理解しつつも、加害者の無自覚さと加害者遺族に残されたものを考えると怒りを覚える。

  • グリコ森永事件をベースにしたフィクション。
    気になっていたけど、心に重くのしかかりそうで、勇気がなくてずっと保留にしていた小説です。
    大好きな小栗旬がキャスティングされて映画化されるというので、ついに読んでみる。

    結果、小栗くんありがとうって感じ(笑)

    加害者の家族とは結局は被害者であること。
    こどもを犯罪に巻き込むことの罪の重さ。
    なんて、残酷なんだろう。

    私は実際の事件の時小学生だったので、まさに登場人物と時代がダブった。
    まだコンビニは無く、駄菓子屋全盛だった時代。
    青酸カリという言葉もこの事件で覚えたくらい。
    あの時代、お菓子が箱の中に裸で入っていたのが当たり前だった。
    この事件の後、開けたことがわかる仕組みができ、中のお菓子もさらに包装されるようになった。
    今は当たり前ですっかり忘れていたのに、この小説を読みながら自分の子供時代を思い出した。

    報道の在り方と重要性が、新聞社における自分の立場に迷う阿久津という編集者のキャラクターによって、報道側の立場にありながら、中立に書かれているような気がした。
    今のマスコミに対する嫌悪感もあり、ずっと俊也の側に立って読み進めていたが、編集者として成長していく阿久津にとても好感が持てた。

    映画はきっと観に行きます。

  • 「グリコ森永事件」をモデルにした小説。
    自宅で犯罪事件の脅迫文を録音したテープを発見したところから物語が始まる。脅迫文を読み上げる声は自分の声じゃないかと疑問に思う主人公が、かつての事件の事を調べていく。
    一方、事件の真相を追う新聞記者がもう1人の主人公として描かれる。かつての関係者や埋もれていた資料などからヒントを得ながら真相に近づいていく。
    身内の犯罪として真相に近づいていく側面と、新聞記者として大衆の側から真相に近づいていく側面が違う角度から描かれる。徐々接近していく感じが緊張感が高まってきてとてもよかった。
    この小説の本質は家族のあり方、人生のあり方について考えさせられるところだろう。ひとつの大きな事件に関わった人間たちが、どのような人生を送ることになってしまったのか、家族を巻き込むことがどんな結果になってしまうのか。自らの思想をもって犯罪を犯す人間の身勝手さが、家族を不幸にしてしまうことの愚かしさを感じた。
    実際の事件は未解決のままだが、背景には同じような真実があるのではないかと思えるくらいリアルな描写だった。
    読む価値ある良書。

  • グリコ森永事件はうっすらとしか知らなかったけれど、本当は同なんだろ?と気になりながら面白く読めました。

  • 記者目線と犯人の子ども目線で事件の真相に迫ります。当時子どもだった私には考えられなかった事件の裏側が、フィクションとノンフィクションの境い目がわからなくなるほどリアルに描かれており、終盤はちょっと興奮して読む手が止まりませんでした。事件を知っている人はその記憶が揺さぶられる力作です。事件部分はほぼノンフィクションなので事件を知らない人も興味深く読めると思います。

  • 犯罪に善きものなどないのだ、という気持ちになった。
    実際の事件をベースにしたフィクションであり、グリコ・森永事件をモチーフにした作品は数多あるが、「事件の真相」より「関わってしまった者たちの人生」が色濃く書かれた作品。読んでいると苦しくなる。
    もちろんフィクションであることもあって些か都合が良すぎる、という点もあるが、伏線の張り方も回収も見事な作品であると思う。

  • どこからがホントで、どこからが小説で…
    とか考えずに普通に楽しめた。
    ノンフィクションだと思って読んだほうが楽しい。記者と当事者の二方向から話は進んでいく。この事件は他の本で読んだ。という人も色々楽しめる話になってるのでオススメです。
    事件をリアルに知ってたら、なおさら面白いんだろうな。
    まぁ知ってますけどね。

  • かねてから読みたかった、誰もが知る事件を題材とした、この本を手に取った。

    この本の題材としている「グリコ森永事件」が起こった当時は、著者やこの本の中の主人公と同じく私もまだ小さかったので理解をしていなかったが、関西で起こった大きな事件であること、また馴染み深い”お菓子の会社”の事件である点、そして何より小学校の登下校のルートにある交番の掲示板にいつも貼られていた「キツネ目の男」の薄気味悪さ。
    これまで何度も、未解決事件としテレビで放送されてきたので、覚える気などなくとも自然と自分の記憶の中に強烈に残っている。


    大枠のストーリーはこうだ。

    自営業でテーラーを営む俊也は、亡くなった父の遺品の中から一冊の黒い手帳と一本のテープを見つけた。そしてそのテープに入っていたのは、テレビで何度か聞いたことのある、その事件の犯人が使った子どもの声。

    そしてその声は、幼い頃の自分の声だったー。


    -------------------------
    「きょうとへむかって、いちごうせんを・・・にきろ、ばーすーてーい、じょーなんぐーの、べんちの、こしかけの、うら」
    -------------------------


    というものである。

    事実、グリコ森永事件には犯人から警察へのやり取りで、3人の「子どもの声」が使われているらしい。冒頭でも触れたが、当時の子どもたちは著者や私と同年代。今どこで何をしているのだろうか。この本の中のような人生を歩んでいるのだろうか。

    ネットで、著者のインタビュー記事を見たが、著者はこの小説のアイデアを既に学生の頃に思いついており、これが書きたいがために小説家になった言っても過言ではないという。当初は当然ながら、筆力がなくかけなかった。大学を卒業して新聞記者の道を選んだのも、この小説のためだということだろうか。兎にも角にも、事件の舞台になった現場にも実際に足を運び、話を聞くなど、それらの著者の実体験がひとつひとつ、物語に現場感・臨場感という命を吹き込んでいる。

    これを読み進めて行くうちに不思議な感覚に襲われる。果たしてこれは本当にフィクションを含んでいるのだろうかということだ。ノンフィクションの部分とフィクションの境界線が、読み進めて行くうちにわからなくなり、これは本当は真実ではないのか?著者は実際にこの主人公である「阿久津」そのものであり、真実に辿りついたのではなかろうか。既に時効が故に、また加害者家族に配慮し「小説」という形で世間に発表するにとどめているのではないかと、著者自身を疑ってしまうほど、作中に飲み込まれた。

    同年代として、もし私も父の部屋のタンスをあけると一本のテープレコーダーが出てきたとしたら、どのようなリアクションをとるのだろう。

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著者プロフィール

塩田武士(しおた たけし)
1979年兵庫県生まれ。関西学院大学社会学部卒。新聞社勤務中の2010年『盤上のアルファ』で第5回小説現代長編新人賞を受賞し、デビュー。2016年『罪の声』にて、第7回山田風太郎賞受賞、「週刊文春」ミステリーベスト10 2016国内部門で第1位となる。2019年『歪んだ波紋』で第40回吉川英治文学新人賞を受賞。他の著書に、『女神のタクト』『ともにがんばりましょう』『崩壊』『盤上に散る』『雪の香り』『氷の仮面』『拳に聞け!』『騙し絵の牙』がある。『罪の声』の映画化が2020年公開決定し、小栗旬・星野源の共演が決まっている。

罪の声のその他の作品

罪の声 (講談社文庫) Kindle版 罪の声 (講談社文庫) 塩田武士
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