罪の声 [Kindle]

著者 :
  • 講談社
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感想・レビュー・書評

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  • グリコ森永事件をベースにしたフィクション。
    気になっていたけど、心に重くのしかかりそうで、勇気がなくてずっと保留にしていた小説です。
    大好きな小栗旬がキャスティングされて映画化されるというので、ついに読んでみる。

    結果、小栗くんありがとうって感じ(笑)

    加害者の家族とは結局は被害者であること。
    こどもを犯罪に巻き込むことの罪の重さ。
    なんて、残酷なんだろう。

    私は実際の事件の時小学生だったので、まさに登場人物と時代がダブった。
    まだコンビニは無く、駄菓子屋全盛だった時代。
    青酸カリという言葉もこの事件で覚えたくらい。
    あの時代、お菓子が箱の中に裸で入っていたのが当たり前だった。
    この事件の後、開けたことがわかる仕組みができ、中のお菓子もさらに包装されるようになった。
    今は当たり前ですっかり忘れていたのに、この小説を読みながら自分の子供時代を思い出した。

    報道の在り方と重要性が、新聞社における自分の立場に迷う阿久津という編集者のキャラクターによって、報道側の立場にありながら、中立に書かれているような気がした。
    今のマスコミに対する嫌悪感もあり、ずっと俊也の側に立って読み進めていたが、編集者として成長していく阿久津にとても好感が持てた。

    映画はきっと観に行きます。

  • 犯罪に善きものなどないのだ、という気持ちになった。
    実際の事件をベースにしたフィクションであり、グリコ・森永事件をモチーフにした作品は数多あるが、「事件の真相」より「関わってしまった者たちの人生」が色濃く書かれた作品。読んでいると苦しくなる。
    もちろんフィクションであることもあって些か都合が良すぎる、という点もあるが、伏線の張り方も回収も見事な作品であると思う。

  • グリコ・森永事件、懐かしい、という長閑な思いは合わないとは思って読んだが、報道で見聞きした以上に子供を巻き込んだ悲惨な裏があったとは。

  • グリ森事件の事実を丁寧に拾いあげ、フィクションとして落とし込んでいく手法は見事。子どものその後の人生に着目するという切り口も素晴らしく、社会的大事件が、家族の事件として収束していき、読後感もよい。実際の事件について復習(予習?)をしてから読んだほうがより楽しめたのかもしれない。

  • *
    ______________________
    『罪の声』塩田武士
    ______________________
    実際にあった昭和の未解決事件、グリコ森永事件を題材に書かれたフィクション。
    *
    自宅で父の遺品から手帳とカセットテープを発見して聞いてみると、ギン萬事件に使われたテープでその声は幼い頃の自分の声だった。
    真実を知りたいと調べ始める主人公と、同時期に取材を始める新聞記者。
    彼らが真実を辿っていく様子に目を離せなくて一気読みだった。
    最後は涙が出てしまった。
    *
    フィクションなんだけど、まるで本当に取材をしてきたような臨場感。
    面白かった。
    この作者さんの小説読むの初めてなんだけど、読みたいと思ってる別の本の作者さんでもあった。
    それも近いうちに読んでみよう。
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    そして、同じグリ森事件を扱った高村薫さんの『レディ・ジョーカー』も読んで見たくなった。
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  • 2017/1/14

  • 未解決のグリコ森永事件の詳細を作者が緻密に調べ彼流の解釈で犯人が誰なのかを追い込んで行きます。最後まで一気に読める作品でした。
    濃密な時間をありがとうございます。

  • グリコ森永事件をモチーフにしたミステリー。事件で使用された"子供の声で録音された犯行声明"のマスターテープを自宅で見つけてしまい、その声が自分の幼い頃の声であることに気づいた30代の男の葛藤から物語はスタートする。
    もう一人、新聞記者としてグリコ・森永事件を追う第2の主人公も30代で、自分と同世代が主人公ということで親近感を覚える作品だった。
    主人公たちと同様、私はグリコ・森永事件になんとなくの情報しか持ち合わせていないため、"一体どんな事件だったのか?"という点から物語を追えるのも読みやすかった。
    (逆に、すでに事件についてある程度以上の知識や情報を持っている人にはかなり冗長に感じられると思う。)

    かすかにしか覚えていない"昭和"という時代の息遣いを感じながら、誠実にリアリティを重ねて真相に迫る描写が素晴らしい。ミステリーの醍醐味のひとつでもある"大どんでん返し"はなく、物語が沸騰するような瞬間もないが、それこそが"リアリティー"。人生にフィクションのようには進まないのだ。
    事実、主人公の一人は事件の真実にたどり着く前に、一度"自分の中の結論”に納得し事件をおりかけてしまう。それはある意味で真実から目を背けた"逃げ"なのだが、逃げてしまうのもまた人間のリアルな行動。ミステリーだからと絶対的に真実にたどり着く必要はなく、生きている人間のリアリティーを描いた点がおもしろい。
    とはいえ、あくまでエンタメ作品なので、一度降りた主人公も再度レールの上に戻され、真相にたどり着くのだけど、本格ミステリーのようなスッキリとパズルが解けた快感ではなく、エンディング後も続いていく人間たちの人生を感じさせる終わり方が、これまたリアリティーがあった。
    (そもそも、純粋にミステリーとして見た場合、あまりに幸運と偶然によって真相が暴かれてしまう。)

    "罪"によって翻弄された子供たちの人生は虚しく、"救い"はもたらされるものの、そもそも圧倒的な"被害者"である彼らにわずかな"救い"が与えられるだけでは割に合わない。そういう意味で、かなり後味の悪い読後感も残す作品ではあるんだけど、それもまたリアリティーなのかもしれないと、納得させられてしまった。

    そして、モデルとなった"グリコ・森永事件"自体への興味も湧いてしまい、巻末の参考資料をもとにさらなる読書へ誘ってくれる作品でもあった。

  • music.jp

著者プロフィール

1979年、兵庫県生まれ。神戸新聞社在職中の2011年、『盤上のアルファ』でデビュー。2016年『罪の声』で第7回山田風太郎賞を受賞し、“「週刊文春」ミステリーベスト10 2016”国内部門第1位、2017年本屋大賞3位に輝く。2018年には俳優・大泉洋をあてがきした小説『騙し絵の牙』が話題となり、本屋大賞6位と2年連続本屋大賞ランクイン。2019年、『歪んだ波紋』で第40回吉川英治文学新人賞受賞。2020年、21年には『罪の声』『騙し絵の牙』がそれぞれ映画化された。

「2022年 『朱色の化身』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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