戦艦大和ノ最期 (講談社文芸文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • いいものを読んだなあと思う。
    文語体でまことに端正なのがいい。

    その反面で、やはり戦前の文化の水準は、低いと思う。
    まことに美しく、悲壮で、そして純粋な物語だ。しかしこれは軍記物である。近代の国民が参加する戦争の物語は軍記物ではいけないと思う。

    なお、この本が出された後に、復古調だの軍国主義だの批判されたそうだが、その批判はそのさらに下の下なので、考慮するにも値しない。

  • アンリミテッドにて読了。
    評価が良かったので読んでみたくなった。命令文書チックの感じ書き下し文、カタカナおくりなので、極めて読みづらいが、雰囲気はつかめ、独特の雰囲気にひたれた。星三つと多少評価を下げたのは、読みにくさゆえ。

    著者が体験した戦争の資料。現場での体験談だが、終わりの所に書いてあるように「戦争協力」と言っているあたり、戦後のすさまじい自虐史観洗脳が入り込んでいるものと考えられた。協力するも何も、国家が戦争をしているので、仕方のない話。そもそも喧嘩両成敗の思想もなく、「もうあやまちはくりかえしませんから・・・」的な表現がすらりと出てきてしまうのがこの世代とその子供世代の特徴。更に自軍が自軍の塀に対して残虐行為(ふなべりをつかむ手を日本刀で切断する等)の描写の後、米軍の騎士道的な身を挺しての日本軍への哀れみなど、多少わざと自虐史観を勧めるような意図も感じられた。それを差し引いて、意識して読めば、戦争実体験の良い資料課と思われた。しかし発表当初は逆に、軍国意識鼓舞の作品などと揶揄されたらしい。それも私の世代にしてみて冷静に考えると、自虐史観を刷り込ませるための、脳科学的な作為的な方法と思える。

    下記にハイライトした個所をコピペ:

    9
    黄色のハイライト | 位置: 343
    沖縄突入ハ表面ノ目標ニ過ギズ 真ニ目指スハ、米精鋭機動部隊集中攻撃ノ標的


    黄色のハイライト | 位置: 351
    本作戦ノ大綱次ノ如シ──先ズ全艦突進、身ヲモッテ米海空勢力ヲ吸収シ特攻奏効ノ途ヲ開ク 更ニ命脈アラバ、タダ挺身、敵ノ真只中ニノシ上ゲ、全員火トナリ風トナリ、全弾打尽スベシ モシナオ余力アラバ、モトヨリ一躍シテ陸兵トナリ、干戈ヲ交エン カクテ分隊毎ニ機銃小銃ヲ支給サル 世界海戦史上、空前絶後ノ特攻作戦


    青色のハイライト | 位置: 432
    ココニテ最後ノ家郷礼拝ヲナサン 絶好ノ機会ナリ コノ機ヲ失セバ、再ビ好機

    メモ自分の家の方角を向いて拝する。当時の人はこういうことをした。

    青色のハイライト | 位置: 1,024
    ワレコノ時、ナオ夢想ダニ「大和」ノ終熄間近キヲ思ワズ 理性ハツトニコレヲ悟レルモ、感性ハヒトリ、イワレナキ昂リニ燃エ立

    メモ船が沈みつつある時の情熱。

    黄色のハイライト | 位置: 1,210
    声涸レテ響キワタル 「准士官以上ハソノ場デ姓名申告、附近ノ兵ヲ握ッテ待機、漂流ノ処置ヲナセ」 叫ブアノ横顔ハ清水副砲長カ ──シカリ、ワレハ士官ノ端クレナリ──兵隊ヲ握ル 一人ヲモ多ク収拾シテ次ノ行動ヲ待ツ 何ヲ放心シテイタノカ 今ヲ 措 イテ責任ヲ果ス時ガアルカ─

    メモ士官の責任。すごい。

    オレンジ色のハイライト | 位置: 1,483
    天号作戦ト呼応セル四月六、七両日ノ菊水一号航空決戦ハ、神風特攻ヲ主軸トスル延七百機出撃ノ大作戦ナリシモ、突入艦隊ニ空軍掩護ナキコトヲ予知シテ沖縄周辺ニ有力戦闘機部隊ヲ温存セル米布陣ノ成功ト、ワガ軍ノ海陸協力ニ緊密ヲ欠キタル齟齬ニヨリ、日本機ノ撃墜、損害合セテ三百五十機ヲ越エ、一方米軍ノ発表ニヨル艦船ノ損害ハ、損傷三十隻ノ過半ガ軽傷ニシテ、撃沈ハ駆逐艦三隻ニ止

    メモこれは後にわかった。当初は本気で大勝利と確信したこと。

    オレンジ色のハイライト | 位置: 1,524
    先ず、自分が自分に与えられた立場で戦争に協力したということが、どのような意味を持っていたかを、明らかにしなければならない。私の協力のすべてが否定されるのか、またどの部分が容認され、どの部分が否定されるのかを、つき止めなければなら

    メモ戦争協力という戦後洗脳。日本が起こした悪い戦争。アメリカは良く、日本が全部悪い。

    オレンジ色のハイライト | 位置: 1,533
    昭和二十七年七月 吉 田 


    オレンジ色のハイライト | 位置: 1,552
    昭和四十九年六月 吉 田 

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