臣女(おみおんな) (徳間文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 愛やら夫婦やら、古くからの刷り込みで美化したものを思い描きがちだが、現実はいつだってグロテスクな側面を内包したものだと思います。
    丸ごと愛する、思い合うとある夫婦の風景が、それを表している。
    突飛な出来事から端を発する物語ですが、その設定すらも、現実のどこかに似たようなことが起こっているんじゃないか、と過ってしまうほどの生々しさとそれ故の現実感を覚えました。
    飛躍したストーリーと、現実を転写したようなリアリティ、その極端な二つがガッチリと噛み合ってる芸術が、やはり自分の好みなのだと改めて感じました。
    そして何より、ぬるい文章じゃなく、自分は真実が読みたいんだとも。

  • 久しぶりに小説を読んだ。だんだんリアルに見えて来る。

  • ジャンルに困った、星の数にも本当に困った。

    登場人物は総じて性格が歪んでいる。(これはひとえに主人公の性格がひん曲がってるからに違いない)
    排泄物やら吐瀉物やらなんやらで全体的に臭いし、汚い。
    さらに、所々痛い。
    よって、読んでて凄い疲れた。

    主人公の浮気を知った妻が巨大化をし始めて、その介護を主人公がするというわけわからん設定なんだけれども。

    終わってみると普遍的な愛の話であり、お茶を入れるシーンや、回想シーンなんかは美しいシーンだったと思い返している自分がいる。(多分、他のシーンが汚過ぎるから、ギャップでそう感じるだけなんだと思うけど。)

  • 変。変だけど、すごい印象深い。読んでいる最中には、それほど変じゃなくなってくるけど、読み終わって思い返してみるとすごいやっぱり変。そして取り扱う内容的に、だれかにおススメする気にはならないな。。。
    だけど、それが悪い印象として残っていないのが不思議。子どもにとっての不思議の国のアリスとか、オズの魔法使いだとか。そんな、「ちょっとだけ通常と異なる方向」にはまった感じ。
    なんだろう不思議な感覚。

  • どうかしてる(ほめてる)すごかった。

  • Amazon Prime Readingにて。
    アメトークでオアシズの光浦さんがおススメしていたので読んでみた。
    よりによってなぜクリスマスに読み始めてしまったのか。。。後悔した。

    クリスマスの夜、愛人との情事に溺れ、帰宅時間が深夜になってしまったことから、妻に浮気がばれてしまう。
    それをきっかけに妻の身体が、どんどん巨大化していく。
    異形の者となりゆく妻と、それを支える夫。
    「究極の愛の物語」といえば、そうなのかもしれない。

    夫の好みが「身体の大きい人」だと知っていた妻が、浮気されたことで「大きくなりたい」と願ったあらわれが、あの姿なのだろう。
    夫の方も、巨大化し、異形になっていく妻と、離婚しようとせず、かいがいしく世話をする。

    そこだけみれば、感動ものなのかもしれない。

    しかし、あまりにも臭気と怖気立つ表現の数々に、感動はどこへやら。
    心に残ったのは悪夢でした(笑)

    虫・グロ・糞尿等苦手な方は読まれない方がいいかと!

  • Kindleストアを物色中、タイトルと表紙の
    インパクトに惹かれてなんとなく購入してしまった作品。
    作者は吉村萬壱というこれまで全く知らない作家。

    主人公は高校の非常勤講師にして3流の小説家の男性。
    この人が自分の小説のファンだという女性と浮気をし、
    それを元教え子の妻に知られてしまう。その日から妻は
    どんどん「巨大化」していく。普通ではない量の食事の
    準備、家庭用のトイレでは処理出来ない排泄の処理など、
    懸命に介護しつつ、異様な風体となった妻を世間から必
    死で隔離する主人公だが、経済的にも精神的にもジリジ
    リと追い詰められて・・・という内容。

    ・・・なんかねぇ、良い意味でも悪い意味でも、久しぶり
    に猛烈に「キツい」作品(^^;)。人間がどんどん巨大化
    していく、というファンタジー的な要素を、写実的に書
    き切るのは良いアイデアだし、ホラーのような世界観を
    まといながら、じつは恋愛小説である、という設定も
    一捻りの工夫がある。だけど・・・。

    とにかく、全体を覆う雰囲気があまりにも「暗い」。
    イヤミス好きであり、ドロドロ系統は大好物な筈の僕が、
    物語に入り込めないほど真っ暗なのだから、ある意味で
    は大したモノなのかもしれない。でも、没頭出来ない原
    因はそれだけではなく、冗長な場面描写ややたら難しい
    言い回し、使わなくてもいい漢字の多用や功を奏さない
    詩の引用など、正直ゲンナリ。

    ハッキリ言うと読むのがやたら苦痛。実は読書開始から
    数ページで一度断念し、その後なんとか再開したものの、
    読了まで4日を要する、という小難しさ。そもそも文体が
    僕に向いていない、ということなんだろうなぁ、きっと。

    この感覚、以前にもあった、と思い返してみたら、苦手
    の芥川賞受賞作読書時に何度か経験した感覚。もしや、
    と思い調べてみたら、この人やっぱり芥川賞を獲ってま
    した(^^;)。

    苦手なんだよなぁ、やっぱり(^^;)。
    残念ながらこの作家の作品、もう読むことは無いと思い
    ます(^^;)。好みの問題だとは思うけど。

  • H30.02.10 読了。

    『アメトーーク』の『読書芸人』の回で紹介されていて気になったので読んだ。

    ただただ、直緒美が可哀想な話。
    そしてその夫である主人公のクズさが半端ない。

    こんな変わった「愛」の描き方があるのか、ってくらい、「愛」は感じた。
    が、歪んでいる、歪んでいるよ、これは。
    巨大化に気付いた時点で病院に連れていくべきだったんだよ。本当に。

    最後の展開は衝撃!という程のことではないが、もっと報われる話でも良かったんじゃないのかな。
    悲しさが残った。

  • ハードカバーで読了済みなのだけど、文庫版にしかない小池真理子さんによる解説が読みたい。

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著者プロフィール

1961年愛媛県生まれ、大阪府育ち。1997年、「国営巨大浴場の午後」で京都大学新聞社新人文学賞受賞。2001年、『クチュクチュバーン』で文學界新人賞受賞。2003年、『ハリガネムシ』で芥川賞受賞。2016年、『臣女』で島清恋愛文学賞受賞。 最新作に『出来事』(鳥影社)。

「2020年 『ひび割れた日常』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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