異邦人 (新潮文庫)

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  • 高校生以来の再読。久しぶりに読んでみたらムルソーと同い年になってしまったことに気づいて愕然とする。

    さて、改めて出会い直したムルソーは、かつて読んだ時に感じたほど謎めいた人物ではなかった。彼は何に対してもわかりやすく感情を動かされることがない。母の死、殺人と、いわゆる「普通」の人間であれば大きく動揺し感情を揺さぶられるような現象に対しても、ほぼ揺さぶられることがない。彼がどうしてそのような一種の不感症に陥ったのか、それも説明されることはない。だけど彼は全くの無慈悲な人間というわけでもない。
    たとえば、彼は嘘をつかないようにしている。どれほど自分に不利であろうと、嘘をつかず、空っぽの感情しか持たない自分を隠さない。その意味で、ある種の誠実ささえある。要するにムルソーという人間は、過渡期の人間像という感があるのである。人間的であることと非人間的であることの狭間にいる。いわゆる人間らしい誠実さと人間的な内面性の欠如とを併せ持っているのがムルソーである。ムルソーは、もはや人間的ではあれない人間が、それでも人間らしくあろうともがく姿のひとつの形象のように思える。

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