ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。 [Kindle]

著者 :
  • ダイヤモンド社
4.07
  • (6)
  • (3)
  • (5)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 43
感想 : 6
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (330ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • NHKのEテレの「人間ってナンだ?超AI入門」を見ていた時に、司会とレポーターをしている原田まりるに興味を持った。AIに関して、質問が鋭いので、おや。こんな女性がいるのだと思って、本を書いているかもしれないとアマゾンで調べたら、この本に出会った。早速読んで見た。
    ふーむ。哲学に関して、結構読み込んでいると思った。これまで、哲学を簡単化するには、相当の力量があると思った。ノルウェーの高校の哲学教師ヨースタイン・ゴルデルがかいた「ソフィーの世界」を思い出した。その時は、14歳のソフィーが哲学に触れていく話だった。
    この本は、17歳の高校生児嶋アリサが、失恋したことで、自分がどうしたらいいのか悩んだ時に、ニーチェの言葉「祝福できないならば呪うことを学べ」という言葉に出会った。
    京都の祇園近くにある安井金比羅宮の通称、縁切り神社に、「今までの自分を捨てて、新しい自分と出会う」と失恋の痛手から立ち直ろうとした。
    それから、児嶋アリサは、バイトの帰りに、どういうわけかニーチェに出会ってしまう。そして、ニーチェが児嶋アリサを超人にするというのだ。アリサは、ニーチェに引き込まれて、哲学について教えてもらうようになる。この児嶋という名前にニーチェは慌てふためくのだ。ニーチェの惚れていた女性の名前は、「コージマ」だった。それも、ワグナーの妻だったのだ。
    さてニーチェは、人間とは利己的で、自己中の生き物だ。自己中はよくないと考えているが、世の中の道徳に縛られすぎている、道徳奴隷になってはいけない。自己中でいいのだとアリサにいう。
    アリサは、自分中心で考えればいいと言われて、やっと失恋の痛手から抜け出るのである。
    そして、ニーチェが次々に哲学者を紹介してくれるのである。黒づくめの服をまとったカリスマ読書モデルのキルケゴール、恋敵であるワグナー、クラシック喫茶を営む頑固オヤジのショーペンハウアー、京都大学の名物教授のハイデガー、ニーチェの友人の精神分析医のヤスパース、ガールズバーの経営を手がける中年実業家サルトルと言うように絢爛たる哲学者にあっていく中で、児嶋アリサは大きく成長していく。
    ピュアーで強気で、神を破壊したニーチェは、ココアと抹茶が好きだった。「永劫回帰」を受け入れることをありさに教える。憂愁を愛するロマンチスト、キルケゴール。「主体的真理と客観的真理」。厳しくストイックな悲観主義者キルケゴール。「富は海水に似ている。飲めば飲むほど喉が渇く」サルトルは、さりげなく児嶋アリサに誘いながら、「実存は本質に先立つ」と言う。ハイデガーは、「ダーザインは死へ向かう存在」「ダスマン化する。代替可能な人間になる」と教えながら、先駆的決意、死を先駆けて見据える覚悟、今を生きることを教える。
    児嶋アリサは、偉大な哲学者に教えられて、家族と疎遠となっていてが、家族との結びつきを強めるのだった。わかりやすく説明しようとしているが、言葉がまだ消化仕切れていない感があるが、哲学入門書としては、優れていると思う。

  • 大学時代、心理学を専攻していたため、所属は文学部哲学科。なのに、哲学のことは何も知らないため、こういう子供むけの哲学書はなるべく読むようにしている。この本もその義務感から手に取ったのだが、なかなか良かった。出だしはイマドキの文体や描写に抵抗感があったが、読み進めるにつれて内容の濃さに引き込まれ、ついには完読(こういう本は義務感で読んでいるからか、いつもはなかなか完読できない)「運命がトランプのカードをシャッフルし、われわれが勝負する」byショーペンハウアー 年をとるとこういう言葉が身に染みる。

  • クセが強い。
    切り口としては良いのだが、好き嫌いが分かれる作品。
    わたしは読むのが辛くなってきたので3分の1でやめた。

  • ・哲学に触れたことがない私でもすらすら読めた。
    哲学は堅苦しいイメージがあったが、そこには日常に疑問を持つ、世間で一般的に浸透しているものが正解では無いということを学べた。考える力を養える?学問。

    ・様々な角度から生と向き合うことを学べた。
    存在する意義について正解がないこと。生きていることに悲観するのも一つ、前向きに生きることも一つ、すべてを受け入れるのも一つ。

    すぐに超人になれはしないが人に極端に左右されない、自分自身の生き様を見出したいと思う。

  • 【やさしい哲学への誘い】
    ニーチェをはじめ、キルケゴール、サルトル、ショーペンハウアー、ハイデガー、ヤスパースに教えを頂ける、お得感のある本。
    とても読みやすく、哲学が好きになれます♪
    アリサのように、もっと哲学しようとも思えました。

    片づけカウンセラーだからこそなのですが、読後1番印象に残った箇所は、サルトルの"対象化"。

    "私たちが、他人にまなざしを向けたとき、自分の世界に他人が存在するものの、そいつが心の中で考えている事までは見ることが見ることが出来ない。"

    "モノとしてとらえる事は出来るが、他人と同じようにはものごとを見る事は出来ないし…"

    本では、モノといっても駒のように考えている意味ではない、と説明してくださっていますが、ここで出てくる「モノ」がどうしても片づけとつながるように思えてならない。

    片づけでモノの扱いを覚えると、すべてがうまく回りだすのは"対象化"と絡んでいるのじゃなかろうか…という考えがグルグルと。さりげなく研究してみます。

  • もしドラと嫌われる勇気を足して2で割ったような構成。
    哲学という、とっつきにくいジャンルをわかりやすく解説。
    間口を広げてる感がスゴイ。
    これをキッカケに哲学が身近になる。
    かく語りき、できちゃうかも。

全6件中 1 - 6件を表示

著者プロフィール

原田まりる1985年京都府京都市出身。哲学の道のそばで育ち、高校生時哲学書に出会い感銘をうける。京都女子大学在学時よりおこなってきた芸能活動を経て、現在は作家・哲学ナビゲーターとして活動。オンラインサロン「この哲学がスゴい!?ケンカしない哲学交流ラウンジ?」(DMMLounge)主宰。2017年4月にゲーム・漫画原作制作会社「noexit(ノイグジット)」を設立。著書に哲学者の教えと経験談を交え綴った『私の体を鞭打つ言葉』(サンマーク出版)、京都を舞台にした哲学のエンタメ小説『ニーチェが京都にやってきて、17歳の私に哲学のこと教えてくれた。』(ダイヤモンド社)、10月よりコミック化が決定。11月に新著『まいにち哲学』(ポプラ社)をリリース予定。●公式サイト https://haradamariru.amebaownd.com●twitter @HaraDA_MariRU

「2017年 『日々の悩みが消える哲学手帳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

原田まりるの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×