VS.こち亀 こちら葛飾区亀有公園前派出所ノベライズアンソロジー (ジャンプジェイブックスDIGITAL) [Kindle]

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  • 両さんvs.あんこうチーム、夢の対戦

    2016年、連載最終回を迎えた『こちら葛飾区亀有公園前派出所』。その主役である両津巡査とその仲間たちが、他のアニメや小説のキャラクターと共演するというノベライズ作品集。
     コラボするのは『おそ松さん』『魔術師オーフェン』『チア男子!!』『ガールズ&パンツァー』『ハルチカ』『謎解きはディナーのあとで』の6作品。
     このうち『魔術師オーフェン』は原作者の秋田禎信氏が、『チア男子!!』は浅井リョウ氏が、『ハルチカ』は初野晴氏が、『謎解きはディナーのあとで』は東川篤哉氏が、それぞれ執筆しています。集英社作品だけじゃなく、出版社の壁を超えてるのがすごいです。同人誌の二次創作とかじゃなく、公式でやっちゃうんですから。
     でも……。

    「世界観、合うの、これ?」

     このラインナップを見たら、誰でもそれが心配になりますよね。『おそ松さん』は現代日本を舞台にしたギャグアニメだから、『こち亀』とコラボしてもさほど不自然じゃないんですが、『ガルパン』は現実の日本とは歴史の異なるパラレルワールドだし、『ハルチカ』と『ディナーのあとで』はコミカルではあるけどギャグじゃないし……両さんと違和感なく共演できるんでしょうか? 『オーフェン』にいたっては、魔法が存在する異世界ですからね。日本ですらない。共通点、何ひとつなさそうなんですが。(『チア男子!!』だけは読んだことがないのでよく分かりません。すみません)
     誰ですか、このコラボ考えたの。

     ところが、実際に読んでみると、これがなかなか合ってるんですよ。
     秋田禎信「魔術師オーフェン・迷宮編 いったいどうしてこうなった」は、異世界に飛ばされた両さんが、なぜかオーフェンと入れ替わってしまう話。「まあ魔法は何度か使ったか」と、あっさりこの世界に順応してしまう両さん。そう言えば天国に行ったこととかもあったから、今さら異世界転生ぐらいじゃ驚きませんわな。
     個人的には、むしろオーフェンやボルカンにまた会えたのが懐かしかったですね。もう20年ぐらい前?

     けっこういいなと思ったのが、東川篤哉「謎解きは葛飾区亀有公園の前で」。亀有公園で起きた発砲事件を、たまたまリムジンで通りかかった宝生麗子と執事の影山が、両さんたちと合同捜査するという話。秋本・カトリーヌ・麗子と宝生麗子の、麗子お嬢様同士の対立とか、両さんたちが珍しく真剣に捜査しているのを見て大原部長が感動のあまり泣き出してしまうとか、上手く『こち亀』の設定を取り入れて、無理のないコラボを成立させてます。
     ただ、推理パートになると、どうしても影山の独壇場になってしまうのは残念。まあ、両さんが推理力で影山に勝っちゃまずいですからね。それでも両さんにいっぱい喋らせて、花を持たせてますけど。

     6編の中でいちばん気に入ったのが、岡田邦彦「両津&パンツァー」。大洗に行った両さんが、あんこうチームと戦車道でバトルするという話。前述の、パラレルワールドだから本当は出会えないはず……という点にさえ目をつぶれば、これが抜群に面白い。
    『こち亀』本編の中で何度も語られた両さんの戦車プラモ趣味を最大限に生かし、さらに中川財閥の財力で作り上げた改造タイガー戦車。いかにも両さんらしく、ルールも常識も軽くぶっちぎった性能を有するうえ、両さんが怪力で砲弾を装填するので、すごい勢いで連射が可能。あんこうチームのⅣ号戦車を苦しめるものの、みほは冷静な分析で相手の弱点を見抜き……と、『こち亀』『ガルパン』双方のキャラクターを生かしきった熱い戦車バトルが展開するんです。これはどっちの作品のファンでも楽しめるはず。
     個人的に気に入ったのが、優花里の「でも、おじさんはなぜティーガーⅠのことを『タイガー戦車』って言うんですか?」という、世代間ギャップを表現した台詞。
     そう、僕らが子供の頃、あれは「タイガー」だったんですよ!

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著者プロフィール

秋本 治 (あきもと・はじめ)
1943年 宮崎県西臼杵郡五ヶ瀬町生まれ
1958年 五ヶ瀬町立鞍岡中学校卒業
1964年 やまめの人工孵化に成功
1992年 九州ぶな文化圏構想策定
1995年 エコ・ツーリズム「霧立越えトレッキング」開発。霧立越の歴史と自然を考える会設立
1999年 霧立山地固有種「キリタチヤマザクラ」発見
2001年 木浦山中に幻の滝発見
2004年 カゴが岩屋と化石の森発見

・現在の役職委員等
株式会社やまめの里代表取締役/霧立越の歴史と自然を考える会会長/九州森林管理局森林保全巡視員

著書:「地域の光の創造と発信」鉱脈社/「霧立越を語る」鉱脈社

現住所 宮崎県西臼杵郡五ヶ瀬町
連絡先 電話 0982-83-2326
URL http://www.yamame.co.jp
e-mail akimoto@yamame.co.jp

「2007年 『西郷さんも歩いた霧立越花の旅』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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