殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件―(新潮文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 新潮ノンフィクション賞受賞作品です。

    前作の桶川ストーカー殺人事件もすごかったですが、地道な取材を続けて、最終的に冤罪であったことを証明する様はまさに圧巻です。

    犯人をあと一歩のところまで追い詰めたところで東日本大震災により犯人の行方が再びわからなくなってしまいますが、読む価値のある本だと思います。

    オススメ!

  • いったい私たちは何と酷い国に住んでいるのでしょう。保身とメンツのために証拠を捏造し、無実の一般人に罪を被せ死刑で殺してしまう日本の検察と警察。連続幼女殺人の犯人を知りながら、ミスの隠蔽のために捜査もせず野放しにしている日本の警察と検察。安倍晋三以降の検察と警察は当時よりも悪の組織化が進んでいると思います。正義も真実もないこんな腐った国は、一旦主権を返上し、国連統治国にでもなって再出発した方がマシなのではないか?その場合はもちろん今の政界、財界、マスゴミの人間は下っ端まで一人残らず永久に公職追放、公民権停止にする必要がある。

  • 文庫Xです!読んでほしいです!最近、日本の司法(だけではないけど)に疑問を持ち始めましたが、著書は警察、検察のとんでも行動に警鐘を鳴らしています。自分たちの非は認めず、免罪を生み、真犯人と思われる人物は自分たちの非を認めることになるから放置。これ、本当だったらこの事件だけじゃないですよね。他にも成果のために妄想を現実に変えて冤罪を生み出しているのではととても恐ろしくなりました。ノンフィクションとは思えない、ドラマだったらブーイングものの穴だらけの脚本が真実かもしれないなんて。タイトルまんま、本当怖いです。

    --
    警察署内では未だに冤罪はなかったことになっていることに驚きました(冤罪が確定したのに)。とある警察関係者がそのことをブログで発信して、炎上したそうで、何を言っているんだと。有罪の決め手となったDNA型鑑定も当時使用したキットに問題があったと後から発覚したり、家族のDNA型を誤って犯人のDNA型として提出していたりで、無茶苦茶。
    著書に、一度冤罪とされた容疑者が釈放され、似たような事件を起こした事例もあげられているので、有罪無罪の判断は難しいのでしょうけど、足利事件に関してはその後のDNA型等の言い訳から警察に後ろ暗いことがあるのではと思います。
    責任をとりたくないから風化を待って逃げ続けるのが司法のあるべき姿なんでしょうか。身内に優しく、弱き者には厳しく。何も信じられません。

  • 盛岡の書店で文字だらけのカバーに隠された500ページ程の文庫本が平積みされ話題になった。
    「申し訳ありません。僕はこの本をどう勧めたらいいか分かりませんでした。どうやったら『面白い』『魅力的だ』と思ってもらえるのか、思いつきませんでした。だからこうして、タイトルを隠して売ることに決めました」

    そして、12月21日付の日経朝刊広告で文庫Xは「殺人犯はここにいる」ということを知った(本当は、それ以前に告知があったのかもしれないが、個人的に知ったのは、この広告で)。Kindleでも売られているので早速購入。一気読みしてしまった。

    著者の清水潔さんは日本テレビ記者で元focusのカメラマン。群馬県と栃木県県境で起きた連続幼女誘拐殺人事件を取材するうちに、すでに無期懲役が確定している「足利事件」に疑問を抱き始める。その疑惑をだんだんと濃くしてゆく取材過程は非常にスリリング。 ノンフィクション故のリアリティがあり、ミステリー小説より断然面白い。

    しかし、本書で戦慄を覚えたのは冤罪の怖さだ。
    「足利事件」はDNA型再検査が初めて行われた事件。再検査の結果、管家さんは釈放される。そして、清水さんは自ら特定した真犯人と思しき人物にインタビューを行い、その結果、確信を強くしている。なぜ、警察は真犯人を追わないのか?本書は、真犯人を捕まえると警察のとんでもない不祥事が明らかになる可能性を指摘する。そして、DNA型鑑定が有力な1証拠となりすでに死刑が執行されてしまった「飯塚事件」の足利事件との関係を読んでいたら、背筋が寒くなった。

    「ピューリッツァー賞に選ばれてもおかしくはない」というのは褒めすぎと思うが、読み始めるとやめられない本。読んで損はない★★★★。

  • ドラマ「エルピス」の元となった話ということで読んだら、エルピスと同じ位おもしろかった。
    北関東連続幼女誘拐殺人事件の話。冤罪を著者(記者)の手で暴いたのはすごい!警察や裁判で暴かれなかった真実を記者が暴いていくのは現実でなく、本当にドラマのよう。
    真犯人が捕まっていないのは、検察や裁判所側の保身のような感じ。誰のための司法なんだろう?
    今までDNA鑑定というと絶対的な感じを抱いていたが、色々な鑑定があり、欠陥もあることもわかった。

  • 凄い内容。清水氏のことは桶川ストーカー事件の頃から知っていたけれども、凄い取材内容だった。

    一つ、最初に書いておきたい。女性検事と女性技師のこと。なぜ、わざわざ女性とかいたのだろう。男性については性別を言及していない。女性だけ、なぜ書いた?そこがすごく気になった。

    この事件については、連載を読んでいたし知っているつもりだったけれど、一番の疑問は、清水氏が初期から掴んでいたルパンの存在。なぜ警察はスルーしたのだろう。また、ルパンは横山ゆかりちゃんのあと、犯罪を犯していないのだろうか。
    そもそも、別件であげることはできないのだろうか。ロリコンなんて釣り上げるの簡単だと思うのだけれど。

    飯塚事件、私もDNAはともかく真犯人と思っていたから、最後の章は衝撃だった。じゃあ、犯人はどこにいるのか。
    真犯人は、少女2人を惨殺した挙句、彼を身代わりにして殺したわけだ。どういう心境で今、空気を吸っているのだろうか。

    もし東日本大震災がなければ、再捜査は可能だったのだろうか。でも飯塚事件で死刑施行の後では無理なようにも思う。

    死刑制度には賛成だけれども、飯塚事件などがあると揺らぐ。

    マスコミに対する(自己)批判も含めて耳が痛い。

    清水氏が日本テレビに引き抜かれたとき、正直、がっかりした。大手かよ!て落胆した。フォーカスの清水氏が好きだったから。
    でも、日本テレビの財力がないと、この事件の捜査は無理だったと思う。どう着地すればいいかわからないまま走り出した取材陣を支え続けた日本テレビの幹部のみなさんを尊敬する。

    そして何よりも清水氏。ジャーナリストの希望。最後の良心。

    ルパン、天寿を全うする前に、最後に自白しようよ。今、コロナ禍で1人で家に閉じこもっているんでしょう?自分の人生を振り返ってどうよ?最後に「善」をしてみようとは思わないのだろうか。
    この事件を解決し、遺族が少しでも慰められ、横山ゆかりちゃんの遺体が見つかるためには、ルパンの自白しかないと思う。でないとDNA型検査が障害となってしまう…

  • 本書内でも警察捜査の不審について同様として触れられている、同じ著者の『桶川ストーカー殺人事件』の後に読んみました。もちろん冤罪の被告を救い出した功績や、警察と検察への疑義やDNA型鑑定の問題点、「小さな声に寄り添う」という著者のジャーナリストとしての信念の尊さなどをしたためた貴重な著作ではありますが、事件のリアルタイム性もあってか、読み物としては『桶川』との差を感じてしまいました。

  • いくら考えたところで私が知っている方法など一つしかない。ジタバタすることだ。

  • 菅家さん冤罪事件と、横山ゆかりちゃん事件が同一のものだと初めて知りました。桶川ストーカー殺人事件でも腹立ちまくったけど、警察っていったい何?やっぱり自分が一番かわいいんですね。

  • めちゃくちゃ濃かった。
    牙のように研ぎ澄まされたジャーナリストとしの矜持を感じた。
    自分も、自らの仕事に同じような牙を研いでいきたいと思わされた。

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著者プロフィール

昭和23年生。皇學館大学学事顧問、名誉教授。博士(法律学)。
主な著書に、式内社研究会編纂『式内社調査報告』全25巻(共編著、皇学館大学出版部、昭和51~平成2年)、『類聚符宣抄の研究』(国書刊行会、昭和57年)、『新校 本朝月令』神道資料叢刊八(皇學館大學神道研究所、平成14年)。

「2020年 『神武天皇論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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