採用学(新潮選書) [Kindle]

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  • 経営学者が、採用活動のwhyと、採用活動の過去と現在を、エビデンスベースで整理した書籍。

    人事部門以外にいる人で、採用活動に関与している。巻き込まれている。とにかく人手不足でwantedlyに出すエモい求人記事を書かされている。採用に関するブログ記事やspeakerdeckをたまに見て、なんとなくわかったつもりになっている。そうした人こそ、この本に目を通してほしい。

    人事部門にいる人は、この本に書かれている程度のことは押さえているはずだと信じてる。私は人事部門にいたことがないので、どういう勉強してるのか知らん。

    1章。そもそも採用ってなんだよという章。

    企業はなぜ人材を採用するのか。2つ理由。

    理由1。企業の目標と経営戦略実現のため、不足する/不足が予測される人材を獲得する。まあこれはそうだ。普通。

    理由2。組織活性化のため。組織に同じメンバーが長期に所属すると「慣れ」や「同質化への圧力」によって均質化し、そのメンバーに居心地は良いが、活発な意見交換や緊張感を奪っていくという。

    理由2は盲点だった。MVVに賛同する人を採るみたいな考えに、漠とした違和感がありつつそんなもんかと思っていたので、目の鱗が取れた思い。

    「居心地が良い」でいうと責任(低)x心理的安全性(高)で「コンフォートゾーン」のことだ。新参メンバーを投入することで打破するというのは面白い。

    最近、このような記事も出回って、私は納得感あった。 https://note.mu/papanda0806 セカンドで合う人のファーストの思考で、適度にかき回すとな。

    理由1,2から、良い採用の基準も解説されてる。よく使われてる選抜ツールなどなど。

    2章。日本の採用活動の歴史と、現状の課題を整理。。明治から振り返ってる。そこから平成でエントリーシートが登場して云々で現代まで。からの「大規模候補者群仮説」「曖昧な評価基準」など課題を解説。最後にこれら課題が課題を生み出している構造を図解して〆。

    3 & 4章。採用と育成は両輪だぜという話。優秀な人材を確保するという目的のため、外部から採用することと、内部で育成することを、使い分け、組み合わせる。その観点から、採用時に何を見る必要があるか、後から育成すればいいか、というのを切り分ける必要がありますよ、という。

    そのうえで、どのような選抜試験で、どのような資質を見極められるか、などを解説している。

    5章。2015〜2016年での、採用活動の現状整理。テンプレな採用活動から抜けてみようといういくつかの試みとその意図を紹介している。2019年の今これを眺めると、労働市場において企業側が買手として強かったのかな、という感じがして趣深い。

    6章。採用の体制組みなど。人事部門の一人相撲じゃ無理っすわ、的な。

  • 応募者が多数だと、優秀な人材も多く含まれるという幻想

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著者プロフィール

神戸大学教授

「2023年 『組織行動論の考え方・使い方〔第2版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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