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- / ISBN・EAN: 4562474183338
感想・レビュー・書評
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映画『ロブスター』のヨルゴス・ランティモス監督作品
世の中の汚らわしきものの影響から守るため、子供たちを外界から完全に隔離して育てていた父親
ところが、とある女性の出現によって、一家は少しずつ崩壊への道をたどっていく
という内容なのだけど、『ロブスター』と同じくシュールで想像の斜め上すぎるw
全くもって意味がわからないw
気味が悪すぎるし、ラストもそれで終わるんかーーい!!と思わずツッコミたくなるほどの意味不明っぷり だがそれがこの監督の魅力なのかもしれない
長女のダンスシーンは面白すぎて笑ってしまったw新しいお笑い芸人と言われてもおかしくないwこれ、真面目に作ってるのかギャグなのか、それも気味が悪くて悪趣味
好きか嫌いかで言うと嫌いの部類だけど、変な映画を観られて貴重な体験だった
変な映画好きの方はぜひw詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
DOGTOOTH
2009年 ギリシャ 96分
監督:ヨルゴス・ランティモス
出演:アンゲリキ・パプーリァ/マリー・ツォニ/クリストス・パサリス/クリストス・ステルギオグル/ミシェル・ヴァレイ/アナ・カレジドゥ
http://kago-otome.ayapro.ne.jp/
ギリシャ郊外。広大な庭とプールのある邸宅。しかしその外側は高い塀に囲まれている。暮らしているのは父(クリストス・ステルギオグル)母(ミシェル・ヴァレイ)長女(アンゲリキ・パプーリァ)次女(マリー・ツォニ)長男(クリストス・パサリス)の5人家族。しかし何かがおかしい。
子供たちはおそらく10代後半~20歳くらいだと思われるが、名前さえ付けられておらず、言動は幼児っぽい。両親は外の世界を思わせる言葉を奇妙に置き換えて教えている。海=革張りのソファー、高速道路=強い風、遠足=硬い建築資材、など。父親は会社の社長のようだが、会社では子供はいないことにしているようだ。妻は車椅子で内向的なので家に誰も呼べないと。妻は寝室に隠した電話で、こっそり夫に連絡を入れている。娘たちは母親が時折寝室に閉じこもって独り言を言っていると思っている。
しかし年頃になった長男の性欲を解消させるため、父親が自分の会社のセキュリティの女性クリスティナ(アナ・カレジドゥ)を家に入れたことで、長女が外の世界へ興味を示すようになり…。
『ロブスター』『聖なる鹿殺し』『女王陛下のお気に入り』どれもぶっとんでたヨルゴス・ランティモス監督の初期の作品。これもまた設定がぶっとんでいる。まあ過激めの『ヴァージン・スーサイズ』と言えなくもないけれど。この両親にどういう事情があるのか知らないが、とにかく彼らは子供たちを外の世界に触れさせず、純粋培養(?)で育てることに決めたようだ。父親が作った家族のルール(設定)は、
○敷地(塀)の外には恐ろしい獣がいて、人間は食い殺される。車でしか外に出ることはできない。外に出ても車から降りるのは危険。
○子供たちは、犬歯のどちらか片方が抜け落ちたときが大人になったしるし。犬歯が抜ければ外に出ても良い。
これが基本。これを幼いころから刷り込まれているがゆえに、門が開いても子供たちはけしてそこから出ようとしない。さらに、恐ろしい獣のひとつにたいへん凶悪で子供を食い殺す「猫」がいるので、家族は猫と戦うために四つん這いになって犬の吠え声の訓練をする。(※長男が迷い込んだ野良猫と勇敢に戦うシーンがあるので猫好きは要注意)
そして犬歯。邦題は「籠の中の乙女」だけど(だから私はてっきり監禁されてるのは姉妹だけだと思っていたら長男もいたので驚いた)原題は「DOGTOOTH」つまり「犬歯」。犬歯が抜けたら外に出ても良いルールになっているが、人間の犬歯が自然に抜けるわけがないので、そんな日は永遠に来ないと父親は思っている。
全体に、犬を思わせるモチーフが散りばめられている。父親は飼い犬を調教施設に預けており、そこの調教師は「犬は粘土のようなもの」躾次第で好きな形に捏ね上げられるという。つまり父親は犬をしつけるように子供たちを自分好みに調教(洗脳)しようとしているわけですね。冷静に考えたら自分のほうが先に死ぬのに永遠にそんなことができるわけないのだけど、それはさておき。
子供たちはテレビも本もない家の中で、独自の不健康な遊びを編み出すしかなく(熱湯に指を浸して誰が一番我慢できるか、麻酔を嗅いで先に目を覚ました方が勝ち、等)さらに時折家の上空を通過する飛行機について子供たちを騙すために、両親は玩具の飛行機を庭に投げ入れる。子供たちはそれを落ちてきた飛行機だと信じ、奪い合い、その飛行機欲しさに包丁できょうだいに切りつけたりするほど必死になる。
父親は、頑張った子供には「賞品」と称してご褒美に「シール」を与え、そこそこ見た目は大人の子供たちはまるで幼児のようにその枚数を競い合う。嘘をついたら母親が良いというまでリステリン(らしきもの)を口に含んでいなくれはならない。しかしそのリステリンらしきものも、ペットボトルの水も、父親が家に持ち帰る前にすべてラベルは予め剥がして捨ててしまっている。
おそらく、家の外を他人が通った際に両親がついた嘘と思われるが、塀の外に出て家に戻れなくなった「兄弟」がいるという設定もあり、その設定が面倒くさくなってきた父親は、自ら服をびりびりにして血糊をつけ「兄弟は獣に殺された」という演出をしたりもする。見てもいいビデオは家族の思い出だけ、音楽は、英語の曲(シナトラの歌う「Fly me to the moon」)で、父親はそれを「祖父の歌」と呼び、その歌詞を嘘の翻訳(家族愛の)にすりかえて子供たちに教える。
ここまで設定している父親が、息子の性欲解消のために外の人間クリスティナを連れ込んだのは迂闊としか言いようがない。クリスティナはどうやら性欲旺盛なのかレズビアンの気があるのか、内気な長男との性行為がイマイチだったので、長女にちょっかいを掛けはじめる。友達のいない姉妹は「消しゴムつきの鉛筆」と「靴下」を取り換えるなど小学生のような物々交換をしていたが、これに目をつけたクリスティナは、性行為について全く知識のない長女に、自分の持ち物と交換に「あること」を要求し…。
息子の性欲はなんとかせねばと思ってクリスティナを当てがった父親は、娘たちにも性的好奇心があることは考えてもみなかったようだ。クリスティナの教えたことを長女は当然妹にも実践させようとする。やがて長女は駆け引きを覚え、クリスティナから映画のビデオをせしめる。こっそりそれを見た長女はセリフを暗誦し、狂気のようにそれを繰り返し再現するのたけれど、どうやら彼女が見たのは「ロッキー」と「ジョーズ」のようだ。そして彼女は、人間には固有の「名前」があることに気づき、自分を「ブルース」と呼ぶように妹に言う。
当然、彼女の異変に気付いた父親はクリスティナを問い詰め、彼女のことも、長女のことも、独特のやり方で罰する。そして息子のためとはいえ外部の人間を家に入れる危険性に今更気づき、しかし息子の性欲は発散させてやらねばならないので、相談した両親が出した結論はもうお察し。
しかし子供たちは正しい性教育を受けておらず、「もうすぐお母さんが双子と犬を産みます」など、適当なことを言われて育っているので、罪悪感も何もない。「今度は双子にしましょう」などと相談してる両親を見るにつけ、あの子供たちももしかして実子ではないのではないかと疑ってしまう。
しかし知識はなくともストレスは溜まるわけで、ついに長女がある行動を起こし…。ラストははっきりした結果を描かないまま終わってしまうので想像するしかないけれど、まあどう解決するかよりも設定の異常さを楽しむ(?)べき作品でしょう。とにかく不穏でぞわぞわする。ヨルゴス・ランティモスの原点。 -
この人たちはいったい何をしているのだろう、この人たちはそもそも家族と言えるのだろうか、という、
前半一時間ほどのサスペンス感が半端ではない。
よその家庭は多かれ少なかれ狂気じみて見えるものだけれども、本作はそれを過剰にデフォルメしたもの。
しかし残念ながら、本作は家族という閉鎖性の本質をみごとについているのかもしれない。
(ギリシャ語の原タイトルはなんというのだろう。この日本語訳タイトルでは、本作の核心を表現しているどころか、ある種の誤解を招きかねない) -
なんとも言えない不気味な狂気。
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このファンシーな背景と対象的に強張ってる姉妹のジャケットのシーンが、このあとあんなシュールなダンスはじまるよ~のシーンだったとは。。
姉が切実さを感じさせる程壊れてたのも、犬歯折ってこの家を出て行く、という決意を心に秘めてたからかなぁ。
似た世界観の、小川洋子「琥珀のまたたき」はここまでグロテスクじゃなかったのは、やっぱり監禁されてる子どもたちの年齢がこの作品より低かったからかも。でも小川ワールドも静かに狂気的ではありました。
たぶん成人してるだろう兄妹だけど、飛行機取り合ったりして精神年齢かなり低そう。
兄の性欲を解消するために外部の女を充てがったけど、余計なこと姉の方に教えたので殴って呪って。。
その後は姉妹のどちらかを兄に選ばせて充てがう…って正気じゃない。
この家族、両親が病んでるから子どもたちにしわ寄せが、と思うと可哀想でならないです。
姉も無事外の世界に出られたのかな?それともトランクの中で…と思うけど、出られたとしてまともに生きていけるのかなこの子たち。兄と妹も。。
猫も!可哀想!モザイクかかっててもダメだった。
他のところもモザイクアリアリだけれど。
脱いだ下着は枕に置かないで。。
取り返しのつかない虐待を延々と見せられた時間でした。父親の職場の人もまさか彼の家庭がこんな事になってるとは思ってないだろな。 -
ロブスターの監督やったんやな。
どおりで…(笑)
マジカルガールといい、ヘンテコな映画を続けて観てしまったな(笑)
ぶっ飛び感は、こちらの方が上か⁈ -
塀に囲まれた家の中で、外部から隔離された生活を送るいかれた家族の映画。バイオレンス、性描写が多い。BGMもなくちょっと見続けるのしんどい。