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- / ISBN・EAN: 4988013163898
感想・レビュー・書評
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アンチ・「アンチ・エイジング」映画。いつまでも健康で若々しくあれ、という最近の強迫的な風潮に一石を投じる。
(この一大キャンペーンの裏には当然だが、国を煩わすな、というメッセージがある)
個人的には、地位と名誉は得てもなるべく早く捨ててしまうがよい、という教訓を得た。
さて、ベン・スティラーが中年のドキュメンタリー映画作家ジョシュを、ナオミ・ワッツがその妻コーネリアを演じている。2人のあいだには子どもがない。
かたや同年代の友人たちは子育てに余念がなく、奴隷のように赤ん坊に振り回されている。それに対する羨ましさもあり、夫婦は友人たちをよく思っていない。
そんなタイミングで夫婦は若くて野心的な、ドキュメンタリー映画作家志望の男ジェイミー(アダム・ドライバー)と、アイスクリームを作っているその妻ダービー(アマンダ・サイフリッド)と知り合いになる。
中年夫婦はその自由な空気に、徐々に魅了されていく。利用されているとも知らずに。
ベン・スティラーとナオミ・ワッツの、若者ぶる夫婦の演技がとにかく笑える。例えばコーネリアが激しいヒップホップを始めちゃったりして。苦々しく、痛々しくもあり、噴き出しつつも、どこか心のなかで笑いきれない。
またこの、親子ほどには年が離れていないという年齢設定が絶妙。お互いにまだギラギラとした野心があり、ライバル関係でもある。
(30以上年上の友人がいるが、そこまで年の差が開くと、また関係が違ってくる気がする)
それから、妻のコーネリアとダービーの立ち位置もこの映画に深みをもたらす。世代は異なれど、ちっぽけな野心でしのぎを削っている男たちを批評的に見る目が本作の視野を広げているように思う。
もうひとつ、本作は「真実」の定義、そしてポスト・トゥルースの時代をめぐる映画でもある。
しかし、本作が進むにつれてジョシュとジェイミーの対立から何かが止揚されてくるのがと思いきや、
老いと時間は非対称なものであるという認識をえたジョシュは、先へと執拗に踏み込んでいかない。
誰か神的な存在がジャッジしてくれない以上は、若い世代がそれを真実だといえばそれと諦めるしかないのだという気づきを、ジョシュがゆっくりと針を飲み込むようにして認めるような結末には、いろいろと思考を促す含蓄があった。
かなり上質なコメディだと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
楽しい\(^-^)/
最初ッから最後までにやにやしっぱなし。
この監督、好みかもしれない。
中年の若者に対する嫉妬と憧れ、そしてジェネレーションギャップが可笑しい。中年過ぎても大人になりきれない夫婦の青春物語でもある。アダム・ドライヴァーがかっこ良くお思えた。長い手足に人を小バカにしたような態度が似合う。
音楽も好き。 -
最近観た中ではかなり面白かった映画。と思ったら、またブクログでの評価が低い…(もう慣れっこ)。調べたら長谷川町蔵さんの年間ベスト1がこの映画だったので嬉しくなった。長谷川さんは著書でも語ってるそうなので、こちらも読んでみたい。
ノアバームバックは前作の3本を観ていて、これは劇場で観るか迷ったけど結局行かなかった。今までの作風だとこんなに笑える感じではなかったし、今回はわりとわかりやすい話だったので意外だった。
この監督がホンモノなのかワックなのか未だによくわからんが、NY派の現在進行形なのは確か。よくウディアレンに例えられてるみたいだけど、ウディアレンもつまらん時はつまらんし、ロバートアルトマンも同様。
わかりやすくコメディになってるのはやはりベンスティラーを入れたから……と言いたいところだけど、腹筋がよじれるぐらい笑ったのはナオミワッツの方。ベンとの掛け合いでアドリブもけっこうあるのかも。
他の方のレビューで「ジェネレーションギャップがテーマ」って書いてる人や、外部サイトでは「ジェネレーションギャップがテーマではない」って書いてる人もいるけど、僕は後者の方で、大きな要素のひとつではあるけどそれがテーマではない、と思う。というのは、最終的にベンスティラー演じる主人公個人の話に収束していくから。
主人公はドキュメンタリー映画監督。最近、ドキュメンタリー映画をよく観てたのでここがすごく面白かった。
若い夫婦と知り合うことで創作の刺激を受ける(若さを吸収していく)が…って話。アダムドライバーとアマンダサイフリッド演ずるこの若夫婦は、かつてのヒッピーのよう。(主人公夫婦はジェネレーションXで、彼らの親がヒッピー世代なので、つまり一周回って交互になってる感じ。)
同時に彼らはデジタルネイティブ世代でもあるので、時代に関係なく面白いものをチョイスする。日本だとニコ動以降の世代と考えるとわかりやすくて、個人的な話を出すと僕とよくツルんでる後輩の年齢差が8歳なので、主人公の気持ちがめちゃくちゃよくわかってしまう。「元ネタとか当時のことを知らないくせに!」自分の大事な思い出がリミックスされて笑いのネタにされたりとかね。
という点でシンクロしつつ話を戻すと、「世代の違う若者から創作の刺激をもらう」とか、「後輩の方が上手いことやっちゃう」みたいなところまで自分と全く同じで身に覚えがある。ベンスティラーを他人とは思えない。
ノアバームバックの音楽の趣味は以前からすごく好き。ポールマッカートニーとデヴィッドボウイで今回もすごく良かったけど、ここらへんはたぶん、坂本慎太郎と共通してると思う。坂本慎太郎は所謂パンクがあんまり好きじゃなくて、それ以前の音楽、つまり70年代前半ぐらいまでのものが元ネタになっているので。
最近、後輩と「映画を音楽に例えたら?」って話をしてたのだけど、ノアバームバックは坂本慎太郎、リーサルウェポンやダイハードはB'zって結論が出て爆笑した。 -
なんだか胸くその悪い作品だったが、作品自体は刺激を与えてくれる部分もあって無駄ではなかった。
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何を伝えたかったのかが分からないし、最後のどんでん返しみたいな伏線必要なかったような。
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コメディとしてそれなりに面白く、自分はこの映画におけるヤングとアダルトの中間ぐらいの年齢なのだけどアダルトの滑稽さの方に共感できて少し悲しくも苦笑い。ただヤングの方が特殊なパーソナリティ過ぎて主題であるはずのジェネレーションギャップに普遍性が乏しかったです。「若者」に振り回されてるというよりジェイミーに振り回されているだけですし、彼の方も作為的にそうしているだけなので、そこは物語として浅かった印象です。
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字幕: 石田泰子
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若者にしてやられた中年夫婦。若いって怖いもの知らず。結局、やられっぱなしというのが納得いかない。
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主人公のひとり相撲で終わった映画。ふーんな感じ。