- Amazon.co.jp ・電子書籍 (388ページ)
感想・レビュー・書評
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超予測者というのは眉唾と思っていたが、本当にいるのだと驚いた。しかしながら、その実態は、常に予測の正確さを追求して、改善しようとする、真摯なプロセスの結果だった。永遠のベータという言葉が、印象に残った。
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超予測者が何をやっているのか?についてまとめた本。数学的な内容というよりも、マインドセットやGRITや認知バイアスについての考え方の記載が多かった。
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次の一文は本書の第一章より。正に至言と言えよう。
かなりの一貫性を持って卓越した判断を導き出せるのは意志の強い者だけであり、われわれの分析でも優れた実績を出す人の予測因子として最も有効なのは「自らを向上させようとする強い意志」であることが繰り返し示されている。
本書では「情報の収集」「質問の分解」「フェルミ予測」「数値による確率の表現」
「新たな情報による予測の更新」が重要視されている。
現実世界は非常に複雑で、真実は簡単には知りえない。
だからこそ「知的謙虚さ」を持ち、知ろうとし続けなければならないのだ。
「超予測者」の傾向
〇考え方の傾向
慎重、謙虚、非決定論的
〇思考スタイル
積極的柔軟性、知的で博識、認知欲求が高い、思慮深い、数字に強い
〇予測の方法
現実的、分析的、トンボの目、確率論的、慎重な更新、心理バイアスの直感的理解 -
超予想力 を読んで
第一章
トーマス・フリードマンが知性派の有名人
楽観的懐疑論者
懐疑論者
→この世は一人のチュニジア人の行動が、アラブ諸国の独裁者の失墜に繋がるような世の中であり、世の中の普遍的法則の存在を疑うべき。(ローレンツの立場)遠い先の未来を見通せる人がいると思うことが間違っている。
ビルゲイツ→向上には測定が大事
楽観的
→予測についてわからないことが多いからこそ、発見のチャンスがある。
超予想力には、柔軟で、慎重で、好奇心に富み、そして何より自己批判的な思考が欠かせない
今後はコンピュータによる予測と主観的判断を組み合わせていく必要がある。
第二章
人間は結論に飛びつきがち
第三章
予測をする際の文言は曖昧さが少なくなるように。時間軸もはっきりさせる。でなければ評価の仕様がない。
そして、私たちが求める予測は、正確さと明瞭さにより評価すべき。
予測は具体的数値で確率を示すこととし、サンプルを使って集め、数式を使ってスコアを算定する。(ブライアー・スコア)この際、ベンチマークなどを設けて比較
信条を持っているものよりも、柔軟に考えたキツネ(固執よりも折衷的)の方が正確さと明確さの両面で優れた予測を立てた。
また論理だけに固執するというのもよろしくない
第四章
うまく行っている人もたまたまかもよ。
平均への回帰(今回はたまたま偏りのある偏差に属した人でも、次には平均値に近づくということ)(例えば、成績と運に相関関係があった場合は平均への回帰は起こるが、ない場合は起こらない)
予想力が高い人の70%は翌年も予測力が高い人に選ばれていたわけで、これはコインを当てる人の例から考えたらはるかに可能性が高い。よって、超予想力を持つ人はいると言える
第五章 「超頭がいい」のか
(例があり分かりやすい)
知能と知識はプラスだが、それだけで能力が決まるわけではない。
意思決定に関して否定的に見る観点は重要かもね。
先を読む上でフェルミ推定は大きな強みとなる。「この問いの答えがイエスであるのに必要な条件は何か」「答えがノーであるのに必要な条件は何か」など問題を分解していけるから。
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そして、答えに近い外側の視点で基準を考え、内側の視点に移り、情報により確率を上下させる。
(外側の視点→ある事象が母集団の中でどれだけ一般的かを示す基準率。内側の視点→特定の事象の詳細な情報)
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自らの判断に距離を置いて再検討。他の人に頼んでも可。(群衆の知、内なる英知)
多面的に考えよう
第六章 「超数字に強い」のか
確率論では、80%の確率というと確実に起こると読み替えてしまう人が多い。
ここで、数字に強い人は確率論的にモノを考える思考がある。
認識論的不確定性→時計型、今はわからないが理論的には知り得る。
偶然的不確定性→雲型、今後も知り得ない事
確率を1%単位まで細かく考える超予測力者
第七章 「超ニュースオタク」なのか
超予測者の手順再び
質問を分解することで、知り得る情報と知り得ない情報に選別し、すべての仮説を吟味する
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外側の視点に立ち、物事を固有のものではなく、一般現象の一つの事例として相対的にみる。それから、内側の視点に転じ、問題固有の情報に焦点を合わせる。
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自分と他人の見解を比較し、類似点と相違点を検討する。
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多様な見解を鋭い一つの視点に統合する。予測はできるだけ緻密に表現する。
↓
最新の情報を取り入れて予測を更新。
(ただし、過剰にも過少にも重み付けをしない様に気をつける)
新たな情報を考慮した後の確率を考える時に使わなくても大丈夫だが、知ってる人が多いもの→ベイズ定理
第8章 永遠のベータ
一度何かの結果を知ってしまうと、結果を知る前に自分がどう思っていたかについての認識が歪む→「後知恵バイアス」
失敗した時にはしっかり反省するのが大事
やり抜く力も大事、批判的姿勢や人の心理を鋭く見抜く能力
「典型的な超予測者像」
モノの考え方の傾向
→慎重、謙虚、非決定論的
能力や思考スタイル
→積極的柔軟性、知的で博識、思慮深い、数字に強い
予測の方法
→現実的、分析的、トンボの目、確率論的、慎重な更新、心理バイアスの直感的理解
努力について
→しなやかマインドセット、やり抜く力
超予測者の仲間入りに最も有効性の高い成分→「永遠のベータ」であるか?モノの考え方を見直し、自ら改善しようという意識の強さ
第9章 スーパーチーム
超予測者がチームを組んだらどうなるか?
→建設的批判を積極的に。多様性×能力でいいチームに。
集団とは、賢明にも愚かにも、その両方になれるものであるが、
第10章 リーダーのジレンマ
リーダーに必要なモノ
→自信、決断力、ビジョン
委託型指揮
リーダーの自信と超予測者の謙虚さは相反するものではない。謙虚さとは知的謙虚さであり、現実はどこまでも複雑で、物事をはっきりと理解することが仮にできたとしても、それには不断の努力が必要だということ。
第12章 進むべき道
予測の目標が正確さではない事もある。
数字で測れるものが全て重要なのか?
優れた予測には、優れた質問が重要 -
とにかくものすごく長い印象。風呂で一部読んでたのだが、読んでも読んでも終らない。
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米国の公的予算を用いた「予測力研究」に基づいた解説。言われてみれば当然のことばかりだが、読む価値あり。
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どうしたら未来を正確に予測できるかという本。とはいっても予知能力とかその手のオカルト系の話ではない。あくまでも今手に入る情報から、将来の政治などを予測するという話である。
世間一般の予測で問題なのは、その予測が定量的でないことと、検証がされないことの2点につきる。例えば「この作品は人気出る」と言った場合、人気が出たとは何をもって言えるのか、それはいつまでに起きる話なのか、どれくらいの確率なのか。こういった情報がまず無い。だから予測が検証されることもなく、毎回どの程度の確率かも分からない予測が垂れ流されるのである。
俺としては、どうしたら予測の精度を高められるかというよりも、この検証できない問題の方が興味深かった。予測に限らず、世の中には言うだけ言って検証されないものが多い。例えば政策とか。何かの精度・効果を高めたければ、検証し、フィードバックすることが重要である。これができている分野は信頼できるが、できてない分野は信頼できないと言っていいだろう。 -
①サブ問題に分解する
②外側と内側の視点を持つ
③反証して、不確実性を細かく予測する -
社会・政治・経済を対象とした「予測」を科学的に検証し、正確さを高める研究プロジェクト。その中で発見された、好成績を収め続ける「超予測者」たち。彼らと他の参加者の違いを探ることで、一般の人の予測能力をも高める心得を見出す。
具体的には、問題を分解する、知り得ることと知り得ないことを選別する、確率論的思考をする、「外の視点」を基準にする、異なる視点の見解を統合する、新しい情報によって予測を更新する、認知欲求が高い、積極的柔軟性がある、向上心が高くやり抜こうとする。
こういった考察を通し、著者は社会の人々も予測の精度に関心を持ち、自らも予測能力を高めていってほしいと訴える。
ともすれば意見の応酬で終わる人類を次の段階にアップデートさせるアイデアが詰まった本だと思う。 -
未来予測や、不確定なテーマに関する意思決定に興味があって読んだ。
「予測」と「個人的な感想」の違いを明確にすることの重要性、予測を定量的に扱うことの重要性(そうでないとその後どのくらい当たっていたか定量的に評価することができない)、言葉や数値を正確に(日常的に標準的だとみなされているようなやり方に比べかなり厳密に)使うことの重要性などが指摘されている。