P+D BOOKS 五番町夕霧楼 [Kindle]

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  • 小学館
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感想・レビュー・書評

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  • p.2024/1/18

  • 水上勉が三島由紀夫『金閣寺』へのアンサーとして書いたフィクション。憐れにもはかなく散った若い娼妓の運命にからむ、吃音症のある修行僧。哀しい女の境遇は、ただ彼女の身も心も蝕むことしかできませんでした。

  • 金閣放火事件に想を得た物語。
    三島由紀夫の金閣寺しか読んだことがなかったので、このアプローチには感じいった。
    日本海側の寒村の、母が病を得た家の娘と、寺の吃音の息子。遊郭を切り盛りする女将、同僚、下卑た旦那。
    女将かつ枝のほかは、主役の2人も含め、内面が語られることはなく、重層的な貧しさに埋もれた状況の中に配置された人々の群像のインスタレーションのような、静かな印象。
    この、大事なことは何一つ話してもらえないまま、置いていかれてしまった感じが、金閣放火事件の感じだったのだろうか。
    水上のもうひとつの金閣、『金閣炎上』はこれから読む。

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著者プロフィール

少年時代に禅寺の侍者を体験する。立命館大学文学部中退。戦後、宇野浩二に師事する。1959(昭和34)年『霧と影』を発表し本格的な作家活動に入る。1960年『海の牙』で探偵作家クラブ賞、1961年『雁の寺』で直木賞、1971年『宇野浩二伝』で菊池寛賞、1975年『一休』で谷崎賞、1977年『寺泊』で川端賞、1983年『良寛』で毎日芸術賞を受賞する。『金閣炎上』『ブンナよ、木からおりてこい』『土を喰う日々』など著書多数。2004(平成16)年9月永眠。

「2022年 『精進百撰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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