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- Amazon.co.jp ・電子書籍 (194ページ)
感想・レビュー・書評
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p.2024/1/18
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水上勉が三島由紀夫『金閣寺』へのアンサーとして書いたフィクション。憐れにもはかなく散った若い娼妓の運命にからむ、吃音症のある修行僧。哀しい女の境遇は、ただ彼女の身も心も蝕むことしかできませんでした。
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金閣放火事件に想を得た物語。
三島由紀夫の金閣寺しか読んだことがなかったので、このアプローチには感じいった。
日本海側の寒村の、母が病を得た家の娘と、寺の吃音の息子。遊郭を切り盛りする女将、同僚、下卑た旦那。
女将かつ枝のほかは、主役の2人も含め、内面が語られることはなく、重層的な貧しさに埋もれた状況の中に配置された人々の群像のインスタレーションのような、静かな印象。
この、大事なことは何一つ話してもらえないまま、置いていかれてしまった感じが、金閣放火事件の感じだったのだろうか。
水上のもうひとつの金閣、『金閣炎上』はこれから読む。
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