PK ピーケイ [DVD]

監督 : ラージクマール・ヒラニ 
出演 : アーミル・カーン  アヌシュカ・シャルマ  スシャント・シン・ラージプート  サンジャイ・ダット 
  • Happinet
4.04
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4907953069930

感想・レビュー・書評

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  • 地球に降り立った宇宙人の目を通して「宗教問題」を考えるという、一見荒唐無稽な設定なのだけど、笑いながらも深ーく考えさせられて、最後にはホロリとさせられた、「社会派」と「ラブ」が混じり合った、不思議だけど、とてもステキなコメディ作品。

    地球に降り立った名前を持たない宇宙人。彼は辺りをさまよっている時に、宇宙船を呼ぶリモコンを、泥棒に奪われてしまう。あれがないと星に帰れない!と、彼はリモコンを求めて、大都会デリーを探しまわるけどなかなか見つからない。
    道行く人々に訊ねると、「神様にお願いしろ」と言わる。
    彼の星には、宗教というものはない。
    わけがわからないまま、それでも藁にもすがる思いで、見様見真似で、まずは近くにあったヒンドゥー寺院の神に、それでも叶わないと、キリストの神に、イスラムの神に、仏教の神に、シク教の神に、ジャイナ教の神に…ありとあらゆる神様にお願いするのだけど…。

    同じ頃のベルギー。インドから留学中の女学生のジャグー。彼女はふとしたことから、パキスタン人でイスラム教徒のサルファラーズと運命的な恋に落ちる。けれど、当然、インドの家族、特に、ヒンドゥーの皮を被った新興宗教に盲目的に傾倒している父は大反対。彼女は、意地になって彼と結婚しようとするけど、結婚式に彼は現れなくて…。

    失恋の痛みを抱えたまま、インドのデリーに戻ったジャグーは、テレビ局で働いていた。ある日彼女は、「神様探しています」というヘンテコなチラシを巻く、黄色いヘルメットを被った男と遭遇する。テレビのネタになるかと、男に興味を持つ彼女。
    彼は自分のことを宇宙人で、リモコンを取り戻すために神様を探していると言い出して…。

    宇宙人の神様探し(リモコン探し)、という、なんとも奇抜な設定なのに、そんなの気にならなくなるぐらい、個々人の心の拠り所という良い面だけではなく、人の不安や恐怖心に漬け込んでお金を巻き上げたり、違う宗教で憎み合い・傷つけあう、というような、負の面が確かにある、宗教の持つ危うさや曖昧さを鋭く突いていて、色々と考えさせられたり、はっとさせられたりします。

    それなのに、決して暗い気持ちにならないのは、いかにもインド映画らしい、明るい音楽や踊り、そして、「地球知らず」のぶっ飛んでいるけど純粋な宇宙人を巧みに演じた、アーミル・カーンのコミカルな演技と、相手役のジャグーを演じたアヌーシュカ・シャルマのキュートな魅力のおかげでしょうか。

    ラストはインド映画らしく、出来すぎているくらいの大団円なのだけど、宇宙人くんにはちょっとかわいそうで、でも、その優しい気持ちが胸に染みて、しんみり…。

    考えさせられると同時に、なんだかすごく元気になれる映画なので、おススメ。


    「神様は色々ある。それぞれに規則が違う。別々の会社を営んでいて、それを『宗教』と呼ぶ。会社には代理人がいる。地球人は皆どこかの宗教に属している。その宗教の神様だけを信じてるんだ。
    僕はどの宗教の所属なんだろう。まず僕の神様を知らないと。
    …自分の宗教がわからない。
    残る方法は一つだけ。すべての神様に祈ろう。
    …どれがいいのか悪いのか全然わからない。」

  • アーミル・カーン主演
    地球人みたいな宇宙人がやってきて、UFO呼ぶリモコン盗まれて、帰れない。神様にお願いすればいいのかと頑張るが、そこはインド。イスラム教、ヒンデゥー教、キリスト教、シク教、どの神様なのかわからない。という変な設定。地球人からpk(酔っ払い)と呼ばれる。中盤まで、ドタバタ喜劇で進み、最初のジャグーとサルファラーズ(「きっとまた会える」のアニ役の、スシャント・シン・ラージプートカッコいい!)の宗教違いのヒンディーとパキスタン悲恋は、一体何だったのか?とぼんやり思って観ていると、列車が大爆発!導師討論!えっ悲恋じゃなかったの?終盤見事にハマって、泣かされた!毎日、ジャグーから大使館に連絡がないか、問い合わせていたなんて!あーすっかり騙された。そして、導師を批判するジャグーを恥だという父親は、かつて、ジャグーを幼い頃誇りに思い、指笛をいつまでも鳴らしていた。pkは、それも掛け違いだという。ちゃんとラストに、誇りに思って指笛を吹くお父さん。
    黄色いヘルメット被るPKは、完全コント。
    テープに好きになっちゃったジャグーの声ばっかり入れてたなんてね。

  • 昨年10月公開で心底観たかったが機を逃してしまい5月のレンタルまで首を長くする運びとなった。
    その反面、宗教をテーマとして扱っていると聞いてからどんな出来になっているのか内心ヒヤヒヤしていた。(予告編を観ていても主人公のAamir Khanが国教のヒンドゥー教やモスク礼拝に参加している映像が目立ち、ひょっとしたら一歩も二歩も踏み込んでいるのではと考えてしまう)

    ご安心を。
    冒頭で「この映画はいかなる宗教も否定しません」と言ったアナウンスを流しているし、鑑賞前に感じたあの不安も跡形もなく消え去っていた。
    印度映画だけど『きっと、うまくいく』(2009年)と少し似た系統で主演も同じAamir Khanだ。このAamir Khanがなかなかのカメレオン俳優で『きっと…』の理系男子とは真逆の変人として今回スクリーンで暴れている。

    飛び出しそうなくらい目を最大限に見開き、地球人を突っつき掻き回すさまは地球人の生態に驚き、もっと良く見ようと観察しているかのようだ。
    マスコミで取り上げられ、最終的に英雄みたくなったが都合の良すぎる超能力を持ったところが少し面白くなかったかな。
    ラストの真実が暴かれる場面は確かに感動したがあんな風に暴かれるとPKみたいな生命体が居れば地球上の問題なんてあっという間に解決するだろう。

    劇中の楽曲も全部好きになった。"Love is a Waste of Time"の可愛らしいダンスも好きだが本作唯一の、「印度らしい」ミュージカルシーンの"Tharki Chokro"は再生リストに組み込んでしまうほどヘビロテソングになった笑

    テロの場面は要らないという意見もあったがあれは話の空気を変える意味においても必要だったと思う。
    あまりにも突然で劇中時間もそんなに取っていなかったが観客の心には深く食い込む。「兄貴」も劇中では宗教に関与していない役だっただけにリアリティがあった。
    その出来事がラストの大逆転に繋がったことを思うとやりきれなかったが同時にここまで観客を揺さぶった本作の完成度に感心せざるを得なかった。

  • みんな裸で暮らし、互いの心を読めて嘘のない星から地球の調査を目的としてやってきた人間そっくりの宇宙人PKが、
    女性テレビジャーナリストに出会い、地球における宗教の信条や迷信に関して疑問を投げかけるファンタジー・コメディ。

    インドが宗教にどれだけ寛容なのか知らないが、宗教批判に取られ兼ねない内容に、凄いことするなと思った。
    ただその内容が、言われてみればその通りだなという「王様は裸じゃないか」的な主張が痛快でこの作品の肝になっている。

    宇宙船のリモコンを盗まれて途方に暮れるPKは、街の人々から口々に「神様にお願いするしかないな」と言われたので、
    「お金を払ってお祈りすれば願いを叶えてくれる。地球にはそんな便利なシステムがあるのか」と感心し、
    神様がリモコンを見付けてくれるまで、あらゆる宗教の全ての決まり事に従った。
    けれど床に頭をこすり付けたり、水を浴びたり、床をゴロゴロさせられたりしても一向にリモコンは戻って来ない。
    ある神は牛を崇めよというが別の神は殺して捧げよという。寺院では裸足になるのに、教会では靴を履く。
    神様の代理人によって言うことが異なり混乱するPKは、ある考えに至る。
    「神様の代理人は、きっと神様に話を聞く電話番号を掛け間違っているんだ。
    僕らは神様の子なんでしょ?なら転がって祈れば願いが叶うとか親が言う?聖石に牛乳をかけて祈れなんて言う?
    正しい神様なら、きっと餓えている子供達に牛乳をやれって言うよ、私は牛乳なんていらないと言うよ。」
    PKのユニークな考えに目を付けたテレビジャーナリストはある宗教の導師との討論会に引っ張り出すことを思いつく。

    魂の救済と称して寺院建立の献金集めをする大会で、導師は病気の妻に悩む信者に2,000km離れた山奥で祈れと言う。
    PKは異論を唱える。
    「あなたの電話番号は間違いだよ!困ってる子供が来たらすぐ助けるよね?2,000km離れた処で祈れなんて言う?
    本物の神様なら奥さんの世話をしろ、奥さんに付いててあげなさい、っていうよ。あなたの電話番号は間違ってるよ!」
    PKに脅威を感じた導師は対策を講じ始める・・・。

    ついにPKと導師と公開討論番組が始まる。
    導師は言う。
    「お前に希望を失った人々の苦しみが判るのか?神の前で祈りを捧げ額に印をつけて貰えば人々は生きる希望が湧くのだ。」
    PKが応える。
    「確かにあなたは正しい。僕も食べる物がなく孤独だった。唯一希望になった光が神様だった。
     でもひとつ判らない。どっちの神様を信じればいい?神様はひとりだってあなたは言うけど、二人だ。
     人を創った創造主と、あなたが作った神様だ、創造主のことはよく知らないが、あなたの神様はあなたそっくりだ。
     心が狭く賄賂を受け取り嘘の約束をする。金持ちは優先して貧乏人は待ちぼうけだ。おだてが大好きで、皆を脅して操る。
     正しい神様は単純だよ。創造主の神様は信じているだけでいい。ただあなたが作った偽の神様は壊すべきだ。」
    「我が神を冒涜されて我々が黙っていると思うのか?神は我々が守ってみせる。覚えておけ。」
    「神様を守る?こんな小さな星の小さな街に居てよくそんなことを言えるね。この宇宙を創った神様を守るだなんて。
     人間に守られなくったって、神様は自分で自分を守れる。神様を守るって宣言した人間のせいで友達は死んだ。」
    「友達を殺したのは別の宗教だろ?」
    「誰がどの宗教なのか印でもあるのか?違いを作ったのは人間だ。宗教の違いで人を殺し、人を引き裂く。
    それこそが何よりも危険で最悪な掛け間違いだよ。」

    彼が学んだのは「嘘」、教えてくれたのは「愛」。
    赤ん坊が生まれるように彼は裸でやってきた。そして無邪気な子供のように私たちを質問攻めにした。
    そしてある日去っていった。遥か彼方の故郷の星に。

  • これぞマサラムービーだ!
    コミカルに進んでいくんだけど、PKの純粋さに入り込んじゃってもうボロッボロ泣いたよ・・・
    「きっと、うまくいく」と同じ監督ですが、明るさを保ったまま重いテーマ(インドの根幹に関わるような)を扱うのって並大抵の力量じゃないよなあ。

  • コメディーだけど、最後感動しました。
    泣いた…

  • 最高!面白かった。
    インド好きなら序盤から笑いが止まらないこと請け合い。

  • 「きつと、うまくいく」の監督と主演が再びタッグを組んで生まれたインドミュージカル映画。
    今回はインド×SF×ミュージカル×ラブコメディ×宗教問題と盛りだくさんの2時間半。途中長いけど面白くて最後は伏線も回収してくれる。

  • すごくシンプルに世界問題の根源の核心をついているきがする

  • 知らなかったが、監督は、「Munna Bhai M.B.B.S.」、「いいぞそのままムンナー兄貴」 「3 idiots(邦題:きっと、いいことがある)」の監督だそうだ。

    最初の「Munna Bhai M.B.B.S.」は、これをリメイクしたゴリマーことチランジーヴィ主演のテルグ語映画Shankar Dada MBBSを見たことがある。

    これまで4作品しか撮っていないということなので、これで全作品を網羅することになる。偶然とはいえ、いやびっくり。

    映画のほうは、なにもいうことはない。
    アーミル・カーン主演のインド映画らしく、社会派的な要素を絡ませながら、てんこ盛りの2時間半(もうちょっと長くてもいいくらいだ)。

    アヌーシュカ・シャルマーは口の大きい愛嬌のある美人。
    相変わらず可愛い。

    サンジャイ・ダットが渋い役で出ていますねえ。
    この監督の定番の俳優。

    最後の場面で、なんとあのRockstar が全裸で登場!

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