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感想・レビュー・書評
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文系がざっくり感想。
コンピュータはゼロとイチの二進法でいろいろな情報を場合わけし演算する。
量子コンピュータはゼロとイチが重なり合った状態から、データの傾向?でふるいにかける。ゼロイチを全部について計算するより断然速い。よくわからない。
ゼロとイチが重なる、とは何か。
ここで量子力学の不確定性原理が出てくる。曰く、観察されるまで存在がそこにあるとはきまらない、みたいなこと。ゼロであって1でもある、観察するまでは。ということである。よくわからない。
ふむ。
さて、とくに読んでもわからなかったのは、(まあ全部なのだが)結局量子コンピュータで何かを計算するには「傾向」についての情報を与えてあげないといけないのか、ということ。
これだと仮説は結局人間が与えているわけで、ある意味勝手に計算機が仮説構築する(と言っていいのかわからないが)例えば深層学習なんかよりも機能としては限定的な気がするのだが。
もちろんだから不要なんてわけはなく、例えば経路の最適化問題なんかは圧巻のスピードで解を導いてしまうらしい。しかも圧倒的に少ない電力で。
ともあれ、量子力学といえば必ず出てくる例え話の「シュレージンガーの猫」、アキレスと亀みたいな一種の詭弁話かと思いきや、もはや実務で試用される領域ということらしい。
著者が書くとおり、量子力学という言葉には文系を惹きつける「魔力」があるが、それはこの辺の哲学フレイバーのなせる技なのかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
量子コンピュータの一つの仕組みであるアニーリング方式を考案した西森氏が著者である。単に量子コンピュータというと、現在のところ実現性で勝るアニーリング方式がD-Waveなどにより開発され実際に使われている。一方で量子ゲート方式は現在のノイマン型コンピュータと同じ仕組みであり汎用性が高いが実現性については今一つらしい。
そこで、量子アニーリング方式の量子コンピュータを人工知能に応用できないかというのがこの著作の論点である。実際に量子コンピュータと人工知能の組み合わせは新たなブレークスルーになると思う。
量子コンピュータとは何か?を知るための良書といえる。 -
量子アニーリングの考案者で現役の理論物理学研究者による、量子コンピュータとその応用に関する解説書。
量子コンピュータは、ハードウェアとして「量子ゲート方式」と「量子アニーリング方式」が研究されている。
前者はいわば現在のコンピュータの上位互換ともいえる汎用性を備えているが、ハードウェアの制約により実用にはほど遠い。
そこで着目されているのが、後者の方式だ。
「量子アニーリング方式」は、組み合わせ最適化問題とよばれる種類の問題にしか使えないが、通常のコンピュータの一億倍高速であることが D-WAVE社の実機でも示された。
更に、この組み合わせ最適化問題は、送電効率化、タンパク質の構造推定などの数々の個別問題や、さらに機械学習で扱う諸問題も内包しているため、実社会にも多大な恩恵をもたらすことが期待されている。
本書は、特に量子コンピュータを使って組み合わせ最適化問題を解く原理を具体的に図解することで初学者にも感覚が伝わるように解説されている。
さらに、機械学習の例として、例えばある記事が「政治」「経済」などどのカテゴリに属するか、といったクラスタリング問題を取り上げて、組み合わせ最適化問題にマップできることを述べている。
量子力学は、いくら勉強しても心から理解することは決してできないが、分からないなりにどんどん技術は進歩し、量子コンピュータの実用化にまでただりついた。そして、様々な学術、ビジネス分野からのフィードバックを受けながら加速している。
著者の言葉を借りれば、研究者たちの「緻密さだけではなく大胆さ」が、量子コンピュータという奇妙で未開拓の分野を成長させているといえる。
量子コンピュータは、量子ビットの物理構成の制約(キメラグラフ)、解の精度問題、運用コストなど、実用化にはまだまだ乗り越えなければいけない課題が多いが、精力的な研究者たちによってブレイクスルーがもたらされるのを期待したい。 -
量子コンピュータが実用化されて既に発売されているという話を聞き、興味があって購入。
実用化されているのはあくまでも量子アニーリングという組み合わせ最適化計算に特化した方式の量子コンピュータではあるが、それでも通常の量子ゲート方式では困難な数の量子ビットが実現し、かつ使用している企業もいることに驚いた。
量子の概念自体がわかりにくいので、量子アニーリングとそれにより最適化計算を解く方法はイメージでしか理解できなかったが(問題を量子ビットで表現し、磁場で擾乱を掛けながら、実現した量子ビットの状態が高確率で問題の解を表現している)、元となるシミュレーティッドアニーリング法自体はまあわかっているので、なんとなく両者の対応関係を頭に浮かべながら理解した。
量子コンピュータの話が主なので、人工知能への応用の具体的な部分は分からなかった。
まあディープラーニングにおいて、組み合わせ最適化計算を用いて解かないといけない問題があるのだろう。
それが従来の方法の「一億倍」で解けるのであれば、確かに人工知能は加速し、今までにない応用分野が生まれてくるのではないかと思う。 -
その仕組みから、よく分からないと言われる量子コンピュータが、どの様に人工知能に活用ができるのか?その交わる部分は、どの様なもので、何が起きるのか? この本を読んで、量子コンピュータと言われるものが、2種類(量子ゲート方式と量子アニーリング方式)存在していたと言う事を知った。本書では、量子アニーリング方式を中心に、その仕組み部分にフォーカスが当たっている。
アニーリングという言葉は、日本語だと焼きなましと言うらしい。これは量子に対して横磁場をかけて少しずつ弱めて行くことで、解を導けることから付けられたそうな。量子アニーリングをベースに作られているDwave社の量子コンピュータは、2000量子ビット程度を使用し、これがキメラグラフと言われるアーキテクチャで接続されて処理をしていて実用化されているという。
量子ビットは一つで同時に0,1のどちらの状態も保持できるらしいのだが、疑問だったのは、横磁場を弱めていく事で、状態が安定して、0か1が確定し、解が導けると言うところ。これは、計算の前に、ビット間の『相互作用』を設定しておく事が肝で、相互作用が分かっている前提の元で、『最適解を高速に導ける事』が、量子コンピュータという事らしい。
現在の人工知能のベースとして注目が集まっている機械学習は、大量のサンプルから、微調整をしながら、相互作用(アルゴリズム)を導きだすという事で、結論としては、機械学習で相互作用を見つけて、その相互作用を量子コンピュータに設定する事が出来るって言ってるような… なんか、ぐるぐるしてしまった。
著者は、共に大学教授の西森氏と大関氏で、物理の先生かつ、『量子アニーリング』の発案者という事で、考え付いた先生達によって書かれている。
なんか、読解力が足りないからか、量子コンピュータと人工知能の交わる部分がイマイチすっと入って来ない… と、悩んでしまったのだが、この領域は、最先端であり、答えはこれから創り出していけば良いんだな!と。
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量子コンピュータについて、イメージとしてわかりやすく説明されている。
全くの素人でもかなりわかりやすいと思う。
本書は、過去から理論的な開発が進んでいた量子ゲート方式ではなく、量子アニーリングによるハードが実際に開発された経緯などについても記載がされている。
日本とアメリカの研究に対する文化の違いや筆者の危機感なども伝ってくるものであった。
量子アニーリングというのが、どのようなものなのかについてもかなりわかりやすく書かれている。
当然、量子コンピュータを使えばどんなことができるのかについての言及もあり、未来の想像が膨らむのも楽しかった。 -
実用化は21世紀後半と思われていた量子コンピュータ。2015年に突如GoogleとNASAそして”D-Wave”社が「最適化問題に関して既存コンピュータの1億倍高速に解いた」と発表した。その実現の基礎になった量子アニーリングと人工知能領域への活用について、理論提唱者である西森氏自身が要説する。量子ゲート方式と比べて理論的裏付けが発展途上だった量子アニーリングが実用化に先んじたことは業界としては驚愕だったであろう。ましてやD-Wave社という無名のベンチャーがそれをやってのけた。2019年にGoogleが量子超越性実証の発表をし、最近では再び量子ゲート方式が注目されている。チューリング型だが2020年スパコン「富岳」の計算能力は2012年「京」の約480倍だ。日進月歩に進化し双方方式が切磋琢磨しながら汎用化までもう目の前と考えるとワクワクする。
本書を読むと量子コンピュータ(特にアニーリング)の多くは日本人研究者の論文が基礎にあり、それを商品化できなかった点に日本人として忸怩たる思いがする。本書には書かれていないが当初D-Wave社はNECに共同開発を申し入れしていた。それをNECは断った経緯がある(当時のD-Waveの評判だと仕方ないが)。2020年に出資を発表したが高値のValuationになってしまったことだろう。今一度、量子コンピュータ領域で日本発が花開いてもらいたいものだ。 -
最近よく聞く量子コンピュータについて知りたかったので。内容は、量子コンピューターとは、からその歴史や原理、あとは今の潮流について。これから量子コンピュータがどう発展し、応用されていくかが楽しみになった。量子コンピュータの導入にはすごくオススメ。
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今流行りの(?)D-Wave量子アニーリングマシンとか、それをどう最適化問題や機械学習に利用するのかなどわかりやすく説明されていた。特に引っかかるところもなくわりとするすると読めた。
D-Waveの技術基盤には日本発の成果も多いので、それと絡めて、基礎研究の重要性をアピールしつつ、基礎研究するだけでなくその応用・ベンチャー志向についても強くアピールされている。
著者の一人がベンチャー企業を立ち上げた、というニュースが流れてきていたタイミングで1年以上前に買ってあったこの本を読んだ。