What Happened (English Edition) [Kindle]
- Simon & Schuster (2017年9月12日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (513ページ)
感想・レビュー・書評
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Hillary Clintonの2016年大統領選の回顧録。ベストセラー。
前代未聞の大統領選を戦った当事者が残す記録として、今後、歴史として振り返る時に貴重な史実になるのだろう。
ロシアの介入、メール問題(FBI長官の介入)、または個人攻撃、Fake Newsと、本来は四年毎に米国内外の課題を総括する大統領選がドタバタ劇で終わってしまった。そして、Hillaryの真の姿が大きく歪曲して伝わっていたことは間違いない。
その意味で、本人が、真の姿を記録に残そうとする意欲が痛いように理解できる。
また、彼女自身も触れているように、これは過去のことを振り返るだけでなく、今後、同じ失敗を繰り返さないために記録として残す必要があるのだろう。(実際にフランス大統領選では、その反省が活かされている)
本著では、米国が取り組むべき課題と方策が改めて記載されているので、歪んだスクリーニングがかからない中で冷静にそれを学ぶこともできる。
印象的なところは、Genderを争点にするか迷った際に(事前の調査でマイナス評価になると分かっていたにもかかわらず)、女性初の大統領ということを意識して戦うことを決意したこと。
これは、今回失敗に終わったとしても、今後の女性社会進出について大きな影響を与える。その点、彼女は裏切らなかったし尊敬の対象になり続けるのだろう。
将来、Hillaryがいなければ女性大統領は誕生しなかった、と語られるのだと思う。
1年半も続く大統領選は、まさに政治を超えた一大イベントなのだが、その内情を知ることだけでも一読の価値がある。
また、今回の選挙については、何故、Hillaryが負けたのか?それを本人の分析に基づく評価を知ることも興味深い。それらは客観的に考えても的を得ていると思う。
自分自身は、やはり選挙に金を幾らでも注ぎ込める現在の選挙制度に最も大きな問題があると思う。
Kochブラザーズのように企業のエゴと昔ながらの保守的な思想(GunやGod)が上手く結びついているところから変えていくべきなのだろう。
トランプが大統領になって、時計を逆回転させた感があるのだが、今後のアメリカを進展させるためには、ここで時代を戻すことで、その問題を敢えて顕在化し、将来の進展のバネにしていく、ということなのかもしれない。
ある意味では、溜まった膿を吐き出さないと前には進めなかった、つまり、Hillaryが大統領になってたならば、膿は奥深くに残り、更に悪化するだけで、社会の軋轢は更に悪化するのかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示