アンガーマネジメント入門 (朝日文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • ストレス社会を生きる上で嫌な出来事と怒りは切っても切り離せません。しかし、怒りに任せてやり返してしまえば、社会的に一発でアウトということもあります。

    心理学の世界では、自分自身を客観視することをメタ認知と言い、怒りの感情を自制することを本書のタイトルにあるようにアンガーマネジメントと言います。

    人は自分で自分を不快にすると本書では述べられています。
    嫌な人、嫌な出来事、嫌な記憶に反発する選択をしようとするから、その行動を取るためのエネルギーとして、怒りの感情が喚起されます。
    しかし、事実を不都合なものと認識している自己を自覚して、反発することをやめる選択をすれば、事実を受容するまでは行かずとも、怒りに振り乱されることはなくなり、ネガティブな感情を断つことは出来るというのです。

    ひとつ僕の身近な例を反省として紹介します。
    元友人はキレると僕に「友達なくすぞ」という物言いを繰り返しぶつけてきました。当時僕が良い人間関係にあまり恵まれていなかったことを知っていた彼は、その言葉遣いをすれば、僕の心をえぐってやれるだろうと自覚した上で、その行動を取る選択をし、スマホ画面に入力し送信しました。
    彼が取った行動の淵源には、僕に対して反発する自意識と、自制しないという意思決定と、傷つけてやれという傲岸さとのエゴから重なった選択の連続があったのです。
    結局、彼の振る舞いは、周囲の報復感情を喚起させ、彼から住む家も家族の絆も資産も趣味もすべて奪い去る惨禍を招来させました。なぜなら、周囲の人々も感情の自制をするしないの選択をしているからです。

    人生は選択の連続で、人を喜ばす選択肢と人を傷つける選択肢の二択を迫られることがあります(本書に従えば、怒りに囚われやすい人は、自分自身を傷つける選択をする傾向が強いのです)。
    選択に直面して、よい結果に結びつけるかどうかは、すべて自分次第。

    これは大げさな話でもないのですが、スマホワンタップ、マウスワンクリックで遠く離れた人の運命を動かしてしまうことすらありえるのが現代のネット社会です。まるで、核ボタンのスイッチを押すか否かの選択を迫られているような恐ろしい話でもあります。

    したがって、理性によって自分自身と対決することが現実をよりよく生きるためのキーポイントとなっているのですね。本書はそのための技法を平明な記述で紹介しています。

    「実にこの世においては、およそ怨みに報いるに怨みを以てせば、ついに怨みの息むことがない。堪え忍ぶことによって、怨みは息む。これは永遠の真理である。怨みは怨みによっては決して静まらないであろう。怨みの状態は、怨みの無いことによって静まるであろう。」中村元『ブッダの真理のことば・感興のことば』 (岩波文庫)

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      夜型さん
      無力な自分自身に、、、今に始まったコトではありませんが。
      夜型さん
      無力な自分自身に、、、今に始まったコトではありませんが。
      2021/05/08
    • 夜型さん
      猫丸さん

      …………???
      猫丸さん

      …………???
      2021/05/08
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      夜型さん
      「国民投票法改正案」、、、
      夜型さん
      「国民投票法改正案」、、、
      2021/05/08
  • アドラー心理学関連の本を読んだ後だったので、もう少し哲学的な内容かなと思っていたのですが、アンガーマネジメントは、怒るということの原因をしっかり分析した上で、それぞれにきちんとアプローチをしていく、という手法でした。この手法を知っているだけでも、怒る、ということを冷静に捉えられるようになると思いますし、実践していけば、確かに効果がありそうでした。

  • アンガーログなどの手法などの数多くの対策法を開設。
    すぐ取り入れやすいのはアンガーログで作ってみたところ。
    本日早速使用。
    一定期間置いて見直すということで、自身ののかコアビリーフを変えていけるか

    本書では紹介はされなかったが、うまく使って怒りをエネルギーに変える手法を探したいところ。

  • オーディブルにて
    自分のコアビリーフをつきとめたい

  • 勉強になりました。要約したメモを取ったので、たまに見てみようと思います。

  • 読みやすかったけど自分の場合、社会的ルールや法令違反に対して強く腹が立つ傾向があるのであまり解決法らしき視座は得られなかったな

  •  仕事でイライラすることがあり、それにずっと引きずられてモヤモヤしていたのでaudibleで聴いてみた。けっこう参考になった。たとえば、
    「怒りは自分で選んでいる」
    「人は自分のコア•ビリーフに従って出来事を意味付けしてしまう」
    など。
     明日から少しずつ実践してみよう。

  • 小手先のテクニックだけではなく、根本を捉えることを大事にしている。

    ・考え方、価値観の違いによって怒る
    ・事象に出くわす→意味付けする→怒る、という流れ。意味づけの仕方によって怒りの発生を回避できる
    ・意味づけのルールを定めているものを「コアビリーフ」と呼ぶ
    ・「何が原因か」よりも「どうなりたいか」を優先する
    ・なりたい自分のプラス面を体感するために「表面的にはとにかく24時間穏やかに振る舞う」
    ・瞬発的な怒りを避けるために、怒りの段階を自分で測る
     →軽いイライラ→激怒→人生最大の怒り
    ・怒りを記録して見える化する
     →日時、出来事、思ったこと、感情、感情の強さ、行動、結果
    ・記録して蓄積することで、「トリガー」と「コアビリーフ」を捉える

  • 怒りをうまく操り、人間関係を円満にする。
    アンガーマネジメントでは、不要なことに怒りを持たないこと、怒ってしまっても怒りに支配されて不適切な行動を行わないことを目指す。
    1. 行動の修正: 怒りのままに不適切な行動をしない
    2. 認識の修正: 物事の捉え方を変え、怒りをもちにくくする

    怒ったときに記録をつけておくことで、どんなときに自分が怒るかに気づける。なぜ怒ったのかを深堀りすると、自分の無意識なコアビリーフによる認識があり、そのコアビリーフを修正する事で出来事の意味付けが変わり、怒らないで済むようになる

  •  米国のトランプ大統領とのやり取りで時の人となった環境活動家グレタ・トゥーンベリ氏も言及したアンガーマネジメント。その技術についての入門本です。

     私は日頃そこまで怒る方ではないとは思いますが、それでもたまに、怒りから判断を誤った・もっとよくできたという事があります。また、普段から日記をつけて自らの怒りに振り返りをしてなぜ怒ったのかを分析しているつもりですが、それでも突発的な怒りをしばしば感じるため、本書を購入して勉強してみました。

     結論としてはなかなか面白かった。
     なるほどと思ったのは、怒りが「動物が行う闘争-逃走反応」の一部(生物学的に正しいのかはわかりませんが)であること、事象の解釈を行う自らの価値観を認識すること、歪んだ価値観のリフレーミング、怒りを引き起こす周囲の原因の整理(重要か否かの軸、変えられるかどうかの軸)等々。

     通読して思いましたが、結局は怒りのコントロールも突き詰めれば自己認識なのかなあということ。自分がどういう人間かということについては皆ぼんやり認識はあると思うのですが、怒りの源泉を探ることで自己の価値観を掘り下げる経験はなかなかできないと思います。怒りの源泉のみならず自分自身がどういう人間かも知ることができると思います。その意味でこの本が指南する自己分析・自己認識は非常に意義深い。

     人間は感情的な動物であるしそれをなくすことも難しいし、なくすのではなく上手にコントロールするという本書の方向には大いに賛成です。怒りっぽい人や怒りで損している人以外にも現代人が読むことで得るものが多いと思います。おすすめです。

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著者プロフィール

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事。日本のアンガーマネジメントの第一人者。アメリカのナショナルアンガーマネジメント協会では最高ランクのトレーニングプロフェッショナルにアジア人で唯一登録されている。著作は中国、台湾、韓国、タイ等でも翻訳され累計50万部を超える。

「2020年 『みんなの怒りスイッチをさがせ!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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