最後の医者は桜を見上げて君を想う (TO文庫) [Kindle]

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  • TOブックス (2016年11月1日発売)
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みんなの感想まとめ

医療の現場での死と生の選択をテーマにした作品は、登場する三人の医師の異なる信念を通じて、患者とその家族が直面する苦悩や希望を描き出しています。死を受け入れ、残りの日々を大切にする桐子、奇跡を信じて生き...

感想・レビュー・書評

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  • 武蔵野七十字病院で対立する二人の若き医者。福原は副院長かつ天才外科医で信念は絶対に諦めないこと。一方、桐子は治る見込みのない患者に死を選択肢として説くことで有名な「死神」と呼ばれている。2人の医師を通して、難病にかかった3人の患者を通して、死生観が問われる医療ドラマ。

    初著者作品。
    ブクログ文庫ランキングで本作を知り、表題名とあらすじを拝見、興味がピークに達したため手に取った。
    (文庫だったが電子書籍しか選択できず…)

    私は医療系作品が滅法弱い。この弱いは苦手ではなく脆いのだ。人間にとって不可避でライフエンディングとなる死。今までも南杏子、中山裕次郎作品で『生きることと死ぬこと』を様々なケースで目の当たりにしてきた。その度に私は自身の死生観と向き合い、生きる意味を、生かされている意味を、理想の命の終い方・終え方を幾度とイメージしてきた。


    死を間近にして気付くこと。

    ある者は死んだように生きてきた最期に自分らしさを貫き、ある者は医師になる志を絶ち延命措置を拒み死を受け入れ、ある者は医師から患者へ立場が代わり患者にとって理想の医療を見い出し、やがてそれぞれ命を終い遂げていく。

    勿論、その過程は壮絶だ。生きたいと願うからこその未練がましさがあり、容赦なく襲い掛かる病魔の症状が克明に綴られている。読者が最も目を背けてはいけないパートである。

    一方で、対立する医師の福原と桐子、その2人の仲裁に翻弄する音山といった元医学部同級生3人の関係とキャラクターがもう一つの見どころである。

    患者を治すために諦めることなくあらゆる手法を尽くそうとする福原。

    迫りくる死を見据えて最期の時間を自分らしく生きられるよう患者へ緩和ケアという名の尊厳死を勧める桐子。

    患者に寄り添い共に迷い理想の医療を模索する音山。

    そして暗に読者へ問うてくる。
    「あなたが死目前の患者だったとして、どの医師に命を託したいですか」と。


    【最後の医者は桜を見上げて君を想う】

    ライトな表題名だが内容はヘビーな作品であった。


    命ある限りチャレンジしていたい。
    大切な人たちにとって有益に命を終いたい。

    ここ数年来の私の死生観という名の願望。

    作中に登場する患者たちの心中など、同じ境遇下に無い私には到底計り知れないのだが、共感できるところが多々あった。

    いずれ私にも訪れるその時の直前にでも、回想する猶予が与えられるならば答え合わせをしたいと思う。

    • akodamさん
      どんちゃん
      私の母は今から25年前に食道癌を罹患。
      ステージ4リンパ節転移で余命宣告を受け最期は緩和ケアに切り替え、大好きなお酒と煙草を呑ん...
      どんちゃん
      私の母は今から25年前に食道癌を罹患。
      ステージ4リンパ節転移で余命宣告を受け最期は緩和ケアに切り替え、大好きなお酒と煙草を呑んで笑って自分らしく終い遂げました。家族会議の末、本人には癌と告げませんでした。最期はモルヒネの作用で私を息子と認知できなくなりましたが、私は息を引き取る寸でまでそばに居れたので良かったです。

      どんちゃんはどんちゃんらしい親孝行、果たされたのではないでしょうか。聞かせてくれてありがとう。ありがとう!

      hiromida2さん
      「ライオンのおやつ」のレビュー、先ほど拝読しました。(私が資格試験受験中に綴られておられたので今頃になってしまいましたが…)

      以前からhiromida2さんが深刻な病と共存されておられることは察していました。いつもレビューで発する明るい文章の向こう側で、お辛いことが多々あろうことも。

      私はどちらかといえば今は健常の側にいますが、やがてその時を迎えることは皆平等です。また、死生観の持ち方はひとそれぞれですし、ある方にとっては「向き合わない」と言う選択肢も有りだと思います。中には昨日の痛ましい事件のように、覚悟さえ決められずその日を迎えられる方も居られるのですから。

      少なくともhiromida2さんは今、ご自身の生き様を貫いていらっしゃる。しんどくとも辛くとも命と向き合っていらっしゃる。もしそうでなければ、タマキのように他人に明るく振る舞いエールをおくられたり、死生観を問う作品を読まれたり、コメントを綴られたり出来ないと思うのです。

      私はhiromida2さんとこれからもずっと何ら変わらずこの場を通じて繋がっていくと勝手に思っていますし、時に命についてまた語らうこともあると思っています。普通で居られる関係をこれからもずっと。


      暑い日は首を冷やす。
      今日通販で買ったネッククーラーが効果的面^ ^
      あずきバー一箱食べて昼寝して1日が終わってしまった…まぁたまには良いでしょう!

      皆さんもご自愛くださいね♪
      2022/07/09
    • hiromida2さん
      ありがとうございます♪
      そして…ホントakodamさんの本棚レビュー
      のコメント欄荒らしσ^_^;ごめんなさい。
      「どこか違うところでやって...
      ありがとうございます♪
      そして…ホントakodamさんの本棚レビュー
      のコメント欄荒らしσ^_^;ごめんなさい。
      「どこか違うところでやってよ〜」と
      思われてるかもしれない
      優しいakodamさんはそんな事言わないだろうから
      大いにコメント欄お借りしちゃいました
      m(._.)m

      追伸。
      どんちゃん、さん付けしてたのは
      あまりに馴れ馴れしいかなと思って…
      テヘッ(≧∀≦) お言葉に甘えて(๑˃̵ᴗ˂̵)
      2022/07/09
    • hiromida2さん
      akodamさん、再び…ヾ(´▽`*)ゝ
      本当によく分かってらっしゃる(⌒-⌒; )
      akodamさんもどんちゃんもお母さまと
      壮絶な闘いが...
      akodamさん、再び…ヾ(´▽`*)ゝ
      本当によく分かってらっしゃる(⌒-⌒; )
      akodamさんもどんちゃんもお母さまと
      壮絶な闘いがあったんですね。
      だから余計察して下さるんですね(。・ω・。)
      皆、それぞれに親孝行果たしてるじゃないですか(*´꒳`*)
      変な言い方になるかもしれないけど…
      自分以外の人や特に家族の身に何かあると、そちらの方が心配で辛くなります。
      私は病弱だった母に(意外と強かったけど)抗がん剤治療に通ってる自分の病気のことは言えませんでした。
      母が生きてた頃に一度だけ
      「もうね、今は歯茎が痛くて、毎朝痛みで
       目が覚めるのよ…治療も出来ないし
       ずっとこんなの続くなら死にたいわ!」
      ポロッと漏らしたことがあります…。
      「私より若いアンタが…死にたいなんて!
       なんてこと言うのよ‼︎」
      「痛みに歳は関係ないのよ!」「 …。」
      「代わってあげたいわ…ほんまに。」
      「ごめん。」それ以来、母が亡くなるまで
      私は母に病気の愚痴は言わないことにした。

      死生観は本当に人それぞれだと思います。

      そう、昨日の痛ましい事件のように死生観
      さえ突然奪われるように不幸に見舞われる。
      だから今を大切に生きる
      これからも何ら変わることなく
      この場を通じて繋がっていけたら嬉しい♪
      My pleasureです(^O^☆♪

      それにしても、あずきバー美味しいですよね
      (一箱は一気に食べないなぁ(´⊙ω⊙`)

      今後とも、よろしくです♪
      ありがとうございます(*≧∀≦*)
      2022/07/09
  • 二宮敦人さん
    『最後の医者は桜を見上げて君を想う』

    去年12月に父が他界し、それから医療系のお話はなんとなく読めなかったのですが、先日hiromida2さんのレビューを読んだ事がきっかけで、手に取りました。

    hiromida2さんのレビューに
    『健康なうちに叶えられる可能なあらゆる夢を願いに変えないで出来る限り実現してほしいと思う。病気になったから…そんな事言ったりするんだ!って…思うだろう。そう!その通りなんだ!悔いて振り返るのは病気になってからでも遅くはない。』とあった。

    なんて強くて真剣で優しいメッセージなんだろう。

    こんなに強くて優しさに溢れるメッセージを皆に向けて送れるひろみの事を知りたいという思いと、
    今さらだけど、父の闘病生活での思いが少しでも本書を通して知る事が出来たらと思い読み始めた。

    3人の考え方が違う医師が登場する。
    死を受け入れ、残りの日々を大切に生きようと伝え患者の心に寄りそったり、時には激しく拒絶されたりする、桐子先生。

    奇跡を信じ最後まで生を諦めず患者の中から生きようとする力を引き出そうとする、副院長であり天才外科医の福原先生。

    患者と一緒に迷い悩み答えをすぐに出せなくてもその苦しみを分かち合いながら患者と共に進む、音山先生。

    3人の患者の死と、3人の医師の信念を通して、患者の心の迷いと決意、闘病生活の様子、その家族の思いが心にどんどん伝わってくる。

    夫や子供が病気になったら、
    自分が病気になったら、
    ある日突然、死と向き合うことになったら…
    死に対して自分はどんな価値観を持って、
    どう向き合っていくのかを真剣に考えさせられる。

    ぐるぐる考えて考えて、答えはすぐには出ないけれど、まずはこんな小説を読んだよって
    家族と話してみようと思った。
    そしてhiromida2さんのメッセージを
    大切に受け止めて、自分がやらなければいけない事、ずっとやりたかった事を手帳に書き出そうと思う。

    なんだか決意文みたいで、ぜんぜん本の感想になってないのだけど…、ひろみ、大切な事をいっぱい考える機会をありがとうね!

    • hibuさん
      松子さんこんにちは。

      私も読みました。私も医療に携わる人間として(リハビリテーション専門職です)様々な方と関わります。

      どれが正解とかで...
      松子さんこんにちは。

      私も読みました。私も医療に携わる人間として(リハビリテーション専門職です)様々な方と関わります。

      どれが正解とかではなく、いかに納得解を導けるかが大事ですよね。現実社会では。

      私も今、神経難病を患っている父の在宅介護の準備を進めています。

      出来るだけ元気なうちに両親が一緒に暮らせる時間を作り出して、支えたいと思っています^_^
      2022/08/02
    • 松子さん
      hibuさん、こんばんは(^^)
      おぉ、以前hibuさんが仕事柄、人のお話を聞く事が多いとおっしゃっていた謎がとけました。

      リハビリのお仕...
      hibuさん、こんばんは(^^)
      おぉ、以前hibuさんが仕事柄、人のお話を聞く事が多いとおっしゃっていた謎がとけました。

      リハビリのお仕事されているんですねっ
      素晴らしい尊いお仕事ですね
      義母が生前リハビリ担当の方に一年ほど本当にお世話になった事を思い出します。

      そうなんですよね!本書はどれが正解が無いんですよね!
      読後、家族で、こんな時はあんな時はって、色々な事を想定して話しました。
      大切な事を考える時間だったなぁと

      hibuさん、お父様の介護が始まるんですね。
      環境が変わるお父様もhibuさんもご家族も
      はじめはお互いのペースが出来るまで大変かと思いますが、どうぞ頑張り過ぎないで…
      体に気をつけてくださいね…ってhibuさんはプロだから余計なおせっかいでした!(>_<)

      心から応援しています。
      読書がhibuさんの心の癒しになりますようにっ
      2022/08/02
    • hibuさん
      松子さん

      ありがとうございます!
      おかげで頑張れます^_^

      面会ができるなら病院でも良いのですが、コロナの影響で両親が一緒に過ごすことが...
      松子さん

      ありがとうございます!
      おかげで頑張れます^_^

      面会ができるなら病院でも良いのですが、コロナの影響で両親が一緒に過ごすことができませんから、決断しました。

      しっかりサポートしたいと思います♪
      2022/08/02
  • 説明
    内容紹介
    続々重版、25万部突破!本読み書店員が選ぶ「感動小説」第1位!
    自分の余命を知った時、あなたならどうしますか?
    死を肯定する医者×生に賭ける医者
    対立する二人の医者と患者の最後の日々――
    衝撃と感動の医療ドラマ!

    あなたの余命は半年です――ある病院で、医者・桐子は患者にそう告げた。死神と呼ばれる彼は、「死」を受け入れ、残りの日々を大切に生きる道もあると説く。だが、副院長・福原は奇跡を信じ最後まで「生」を諦めない。対立する二人が限られた時間の中で挑む戦いの結末とは? 究極の選択を前に、患者たちは何を決断できるのか? それぞれの生き様を通して描かれる、眩いほどの人生の光。息を呑む衝撃と感動の医療ドラマ誕生!




    『第二章とある大学生の死』は涙が流れました。
    若い人の死は特に残酷に感じます。なぜ自分が...という思いをどうしても感じてしまうだろうなぁ。
    こういう本を読むと 生きていることを感謝しなければ...と思うけど ついつい不満や愚痴が出てしまう。
    それも人間なのだからだろうけど...

    『第一章とある会社員の死』はもう闘病なんてしたくない!と思ってしまいます。
    ほんの少しの可能性にかけるための代償が大き過ぎて 数年寿命を伸ばすためにそこまでしたいとは思えませんでした。
    こう感じるのは私自身の歳も関係してるのかもしれませんが...もし、もっと若ければ 死にたくない!少しの望みにでも賭けてみたいと思うのかもしれません。

    やはり今の自分には長生きしたくないという思いが強いのは変わらないです。

  • 末期患者に希望を抱かせ過酷な延命治療を施すことを否定する(積極的に死を受け入れさせ穏やかな最後を迎えさせる方針の)桐子医師と、奇跡を信じて最後まで延命治療に邁進する凄腕外科医、福原医師の確執を描いた医療小説。

    「自ら死を受け入れることができた時、人は死に勝利したと言えませんか」、「「死に振り回されると、往々にして生き方を失います。生き方を失った生は、死に等しいのではないでしょうか。逆に、生き方を維持して死ぬことは、生に等しいとは言えないでしょうか」(桐子)

    この両極端な二人と、中庸を行く音山医師の三人は大学の同期で、今は同じ病院の勤務(ただし、福原は院長の息子で副院長・外科部長の権力者)。

    第一章は、急性骨性白血病患者の死。密かに面談した桐子医師の勧めで延命治療を拒否し、退院した患者(退院後直後に死亡)。徹底した治療を選択したが、骨髄移植が叶わず、臍帯血移植後にGVHDを発症し多臓器不全で亡くなった患者。桐子と福原は、患者の治療方針を巡り悉く対立する。

    第二章は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)に罹った医学部一年生の患者の早すぎる死。患者を最後まで看とった音山医師は、「桐山でも福原でもなく、音山という医者にだけできること」に気づかされる。曰く、「二人は強過ぎる。人としてその身に備えた何かが強過ぎて、弱い、苦しんでいる誰かの心に噛み合わない」、「患者と一緒に迷い、悩む。答えが出せないとしても、その苦しさを分かち合う。それでよかったのだ」。

    第三章は、悪性腫瘍、下咽頭癌に罹った音山医師の死。遠隔転移していて手術できない状況に。余命僅かな祖母に声を聞かせ続けるため、根本治療を拒否し、喉の腫瘍の切除を希望する音山。治療方針を巡り対立する桐子と福原と、二人を和解させたい音山、三人の葛藤を描く。

    全体的に、漫画チックな設定に強い違和感を感じた。倉庫部屋に押しやられながらも、主治医に内緒で患者とゲリラ面談し、治療方針に影響を与えてしまう医師(しかも、医学部卒業後6年の若手皮膚科医が様々な難病の治療方針に口を出せる実力を備えてた医師)なんて、存在し得るのだろうか??

    第一章と第三章は、この設定が前面に出ていて、現実離れしたチープなストーリーという印象だった。一方、第二章は良かった。死を受け入れた患者、川澄まりえの凛とした美しさ、まりえを支える両親や音山の心情に感動を覚えた。

    やはり病院ものは、医師免許を持つ作家の作品でないと深みが出ないんだなあ、と思いつつ、続編も読んでみようかな。

  • どんな手を尽くしても患者を助ける医師福原…
    重い副作用に苦しむくらいなら,自ら死を選ぶ選択肢もあることを提示する医師桐子…
    誠実に患者と向き合い,悩みながら患者に寄り添う医師音山…
    そんな3人の医師が織りなす物語。
     
    誰が正しいわけでもない。
    3人とも,患者のことを第一に思い行動する。 
     
    この本の魅力は,なんといっても患者の描写力。
    死は絶対。
    死はいつの間にか訪れる。
    受け入れようが,抗おうが,否応なく。
    昨日まで何でもなかった人生が,突然狂う。
    その時,患者は何を思い,医師は何を思うのか。
    その表現がとてもうまい。
     
    急性白血病,ALS…
    難病についての理解も深まります。
     
    自分は今健康体だが,病魔はいつ訪れるかわからない。
    明日は我が身。
    そんな気持ちで読むと,涙が止まらない。
    元気な時に程,読んでおきたい一冊。
    病魔に襲われたときに,読み返したい一冊。
    文句なしの星5です。

  • 同じ医大の同期の三人の医者。学生時代は一緒にやんちゃな時間を過ごし、福原のお父さんが経営する病院で一緒に働くことになる。医者として死と闘う姿勢は、三人三様になる。どんな厳しい状況とも常に闘うという選択肢だけの福原、患者の選択肢を真摯に提供する桐子、患者と共に悩む事を大切にする音山。福原と桐子はその正反対の姿勢から犬猿の仲になるが、音山の末期癌を通じて、自分の信念とは正反対の考え方の相手の思いを、信念を曲げないままに、少しだけ理解したのかな。テーマは死を目の前にした患者の尊厳であるような体でありながら、必ず訪れる終わりの時をいろんな形で受容している温かい作品で、とてもよかった。

  • 自分の余命を知った時、あなたならどうしますか?
    重版を重ね、25万部を突破した医療系小説ベストセラー。

    医者の倫理観や患者のありのままの内心について描かれた本で、「死」というものがとてもリアルに感じました。

    一人は死を肯定する医者である桐子、かたや、絶対諦めず生に賭ける医者福原。
    どちらが患者にとって幸せなのか、、、いや、一概にどちらが正しいとは言えない。福原は、患者がどれだけ地獄の苦しみを味わう事があろうと、生きてさえいれば希望は必ずあり、糸口は見つかるかもしれないと本気で思っており、延命をすすめる。桐子は苦しみ生きる希望を失った方の治療を止め、短い余命をどう生きるかについて向き合う時間をつくってあげようとします。

    どちらも己の正義を全うしているようでそうではないことに気付く。
    気付いたのは一つの出来事がきっかけだった。

    何故君が...

  • 妻が半年弱、入院してたことあります。
    後から本人から聞いた話ですが、毎日の見舞いの後、私が帰るときに病室の扉が閉まった後はいつも泣いていたとか。そんな素振りを全く見せなかった妻。気づいていない俺。
    分かってる「つもり」でしかない無力さ。

    今はとても元気ですが、妻の全ては分かっていない、見えていない…ただ慮る気持ちだけは大切にしています。

    何点か考えさせられた部分。以下に原文。

    「態度をお望みなわけではないでしょう。あなたが望んでいるのは、病気の完治だけだ。しかしそれは叶わないから、そうして難癖をつけているのではありませんか」

    「どこまで差し出せるかとは、どこまで命に価値を見出せるかと同義の質問でもあります。あなたにとって命とは、どんなものですか。きちんと考えたこと、ありますか」

    「何だか乱暴な話だ。凍結保存した精子を、子宮に突っ込むなんて。生命の神秘とは程遠い、工事現場のように粗っぽい空気を、吸った気がした。」

    「大切な人が病気で家にいない心細さ。大切な人を失うかもしれない恐怖。見舞いに行けば、笑顔でいなければならない。一番弱みを見せたい相手に、見せられない、この行き場のなさ。」

    「後で死ぬ人は、みんなの死を見届けるのが仕事。先に死ぬ人は、みんなに死を見せつけるのが仕事。そう、最近は思うようになりました。 みんなに見て欲しいんです。最後まで医者になりたいと願い続け、叶わずに死を選ぶ私の姿を。悔しくて、情けない、私の最期を。」

    「それを見て……嫌な言い方ですけど……みんなに辛い思い、して欲しいんです。この世にはやり切れないことがあって、逃れられない苦しみがあるんだと知って欲しい。」

  • 死に対する価値観が異なる3人の同期の医者の話
    深くて苦しくてでもあったかくて泣いた

  • 死ぬ間際になって後悔しないように今を全力で生きようと思った。
    立場によって価値観は違うものであるから、それを尊重し合って生きていかなきゃいけない。でも、それが難しいんだよなぁ。
    自分は、柔軟な考えを持った人間になりたい。そう思いました。

  • 医療現場における意思決定では近年患者側の判断が重視されているようだが、この本ではその意思決定の難しさを感じた。

    医療では1人の人生を決定付ける判断が求められる。また、そこで下すべき判断は当人の価値観によって異なる。したがって他者にその判断の責任を負わせることは難しく、また、残酷でもある。そのため、患者に客観的な情報を与えた上で患者自身に判断を下してもらうやり方は一見合理的に見える。

    しかし、一方で患者に正しい判断を下す能力がどれほどあるだろうか、という疑問もある。医師から患者に伝えられる情報には限りがある。また文中にもあるように、淡々と情報のみが伝えられて確率統計の問題のように、無機質に自分の命が取り扱われることに嫌悪感を感じる人もいるだろう。さらに患者は既に病気や怪我によって大きなストレスを感じている人間である。いかに本人が下した判断であろうとも、それが最も本人にとって良い判断である可能性は決して高くないだろう。

    そして何より決断を求めることは、本人にさらに大きなストレスを与えることになる。当然、自分の人生であるから、本人が現実に向き合って決断を下す方が望ましいが、それを強制することは誰にもできない。

    日常生活とは切り離されてしまい、遭遇する機会が減ってしまっている、命や死といった問題について考えさせられる良いきっかけをもらった。良かった。

  • Kindle Unlimitedで『感動小説』の売り出しが気になって読んでみました。うーん、何となく漂うキャラ小説感とご都合主義的キャラの配置がなんとも……。音山先生、絶対このためにいたじゃん的な……。「もし自分が遺された家族だったら、もしくは患者本人だったらどうするか」みたいな部分で考えさせられる物語ではあったし、まりえの両親の「生きていてくれるだけでいいのに」にはちょっとうるっときたので星は3にしておきます。でも再読&続編はいいかなって感じ。

  • 3人の医者、違う考え方を持っているけど本質は同じ。
    亡くなる側の気持ちと周りの気持ち。

  • ブクログ高評価作品ということで手に取る。
    死に至る病気を抱える患者に対して、2人の医師の対比。何としても治療をして病気に打ち勝つ医療をしたいと思う医師と、現代医学の限界を知り自分らしく死を選ぶことも選択肢に入れて患者の意思を尊重する医療を行う医師。
    私の心が弱っている時期だが、もっと大変な人は沢山いるよな、私はまだまだ頑張れるよなと思う。私が重い病気になったときにも再度読もうとも思う。
    3人の患者の病気を通し、患者も医師も成長する。医療・死とは、自分と向き合うこと。

  • 同じ病院働く3人の医者。同じ大学卒業の3人だが。
    余命宣告された患者への対応が異なり、
    白血病、ALS、末期がんの患者を通して死とはどういうことなのかを
    考えさせられ。抗がん剤治療や、どんどん弱くなる自分が生々しく
    描かれていた。

    【医者】
     福原:最後まで「生」を諦めない。
     桐原:「死」を受け入れて、どう生きるかを考える
     音山:2人に対して、患者に寄り添えてないと悩んでいる。

    私は、どれくらい生きるかも大切だが、死ぬ時は死と向き合いたいと思った。

  • 大事な人だからこそ、真剣にその死に向き合うべきだと思う。。
    桐子の言葉に賛同したい部分と抗いたいオレがいた。。
    マウスピースを噛ませて鼻孔にいれる医療は本当にあるのか??専門家に聞きたい。。

  • 「桜」をテーマにした小説を読みたいと思ったが、桜がほとんど出てこなかった。物語の終わりに、やっと桜が出てきた。生と死をテーマにした小説だった。3人の大学同期の医師。奇跡を最後まで信じる福原。延命治療は無駄だと思っている桐子。患者と一緒に悩もうとする音山。人間は必ず死ぬ。その死と向き合う3人の医師。それぞれは、死と医療に対して、全力をあげて格闘している。
    急性骨髄性白血病にかかった営業マン。妻は子供を身ごもっている。そんな中で、突然襲いかかる病気。医師の説明は、その施術の確率ばかりいう。何%は治り、何パーセントは死ぬ。確率で自分の死を決められたら、たまらないと思う。自分にとっては死と生しかない。嘔吐し、脱毛し、苦しみ、恐怖、絶望というどうにもならない追い詰められた状況。自分で決められなかった自分の生き方。妻に求愛したときに初めて自分で決断した。そして、白血病に対して立ち向かう選択肢に対して、二度目の自分の決断。妻は、なぜそうしたのかがわからなかったが、夫の手紙で初めてその意思を確認する。手紙の内容は優れていた。その手紙に久しぶりに涙が出た。
    筋萎縮性側索硬化症(ALS)にかかった女子医学生。確実に死に至る病。全くもって理不尽な病気が襲いかかる。なんのために、医者になろうとしたのか?両親は優れた医師だった。医師になるというと医師である母親は喜んだ。両親が喜ぶために医師になろうとしたのか?死を目前として、これまで努力したのは、無駄だったのかと悩むまりえ。それにつきそう音山医師。なぜまりえを見守りたいのか?医師として、福原や桐子の強い意思を持っていることとは、自分は何かが足りないことを自覚する。福原は、最後まで医学を目指せといい、桐子は医大をやめて残りすくない時間を自分の好きなことをしろという。音山は、判断できず一緒に悩むことにした。死を受け入れることの重みが、医師として目覚めていく。治療不能の難病に対して、医師はどこまで、何ができるかを問う。
    喉頭癌の発見が遅れ、転移までしていた音山医師。福原は、奇跡を信じて最善を尽くそうとする。桐子は、初めて友人が死ぬということに、死んで欲しくないと思う。音山は両親をなくし、祖母に育てられた。認知症にはいった祖母は、音山が電話すると記憶が戻り元気になる。音山は、声をなくさない治療方法を選択する。
    3つの死を見つめながら、生きるとは何か?医師のできることは何か?を問い続ける。
    桜の花びらが、散るときに、医師は何を思うのだろうか?いい作品だった。あざとさがあるが、それでも、久しぶりに泣いた。鮮やかな桜を見上げて、想う。やっぱり、死にたくはない。ジタバタして、生き抜くしかない。

  • すごかった。人の死をテーマに書いているのに重すぎず、どんどん引き込まれて読んだ。医者でないのに、ここまで臨場感あふれる描写ができるなんてすごい。医者の立場、患者の立場、それぞれ真に迫っている。
    続編も読みたい。

  • 自分が乳ガンになったときのことを思い出した。幸い超早期発見で、抗ガン剤すら使わずにすんだが、検査結果がでるまで死を意識した。この本を読んだことで、改めて自分の死に様について考えさせられた。読んで良かった。

  • 難病で亡くなる若者の最期を描いた3つの短編から成っている。最後まで完治を目指すとか死を受け入れるとか人によって様々なんだけど、自分ならどうするかなあと。それから皆が平均寿命付近まで生きられるわけではないのだなあと再認識して刹那主義が加速してしまったような…

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著者プロフィール

1985年東京都生まれ。作家。『最後の医者は桜を見上げて君を想う』『最後の秘境東京藝大 天才たちのカオスな日常』等、幅広いジャンルでベストセラーを発表。著書に『!』『世にも美しき数学者たちの日常』『紳士と淑女のコロシアム「競技ダンス」へようこそ』『ある殺人鬼の独白』『さよなら、転生物語』『ぼくらは人間修行中 はんぶん人間、はんぶんおさる。』等がある。

「2025年 『感じる人びと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

二宮敦人の作品

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