王様のためのホログラム (早川書房) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • トム・ハンクスで映画化されているので、もっとエンタメかと思っていたんだけど、いやいや、驚くほど、哲学的というか内省的というか地味というか不思議な味わいの小説で、小説としてわたしは嫌いじゃないけど、これで映画っておもしろくなった?大丈夫だった?、とすごく映画のことが心配になった。。。

    サウジアラビアの国王に、ホログラム、IT技術を売り込みにプレゼンするために行ったはいいけど、来る、来る、と言われながらいっこうに国王がやってこない。あとがきにもあったけど、わたしも、まさかこれは「ゴトー待ち」の話なの?と思った。(わたしは「ゴトー待ち」話や芝居がすごく苦手ー。。。)
    で、主人公の回想や、本筋とは関係ない、国王待ちの時間に起きるできごとがあれこれあって、ラストもなんだか尻つぼみというか、なんとなく終わった感じで。ほんのかすかに希望も見えたような気もするけれども、いや、どうなんだろう。。。

    主人公の50代男性は、なんだかすごく日本のサラリーマンみたい。会社組織のなかで「ものづくり」やら「営業」やらで貢献し、国の経済を支えてきたというような自負もあり、でも50代になってそろそろ時代遅れぎみ、会社でも居場所がなくなりつつあるし、妻とは離婚、まだ大学生の子どもにはお金がかかりそう、とかいった状況で。
    そしていわゆる「中年の危機」まっさい中。自殺した近所の人のことをずっと考えたり、首のできものが悪性腫瘍なんじゃないかと思ったり、自分はこの世に残せるようなことをなにもしなかったと悩んだり、とにかく憂鬱なことしか考えていないところが、同年代で同じ気分のわたしにはとても共感できたんだけど。

    以前は輝かしいばかりの経済成長があったけど、今や中国にすべてもっていかれて、みたいな、経済状況も描かれていて、なるほどなあと思ったり。

    とにかく、これで映画大丈夫だった?っていうのが気がかりなので、映画も見てみたい。。。

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著者プロフィール

作家、編集者。両親を早くになくしたがために幼い弟をひとりで育てることになったいきさつを書いた青春小説のような回想録『驚くべき天才の胸もはりさけんばかりの奮闘記』(文藝春秋)でデビュー。文芸雑誌の編集や社会活動に積極的にかかわりながら小説も手がける。『王様のためにホログラム』『ザ・サークル』(以上、早川書房)は映画化もされた。

「2019年 『あしたは きっと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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