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感想・レビュー・書評
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2017年に書かれた2020年についての本。明治維新が第一、敗戦が第二で、第三のガラガラポンが2020年周辺にやってくる、という主張が根底にある。キーワードは東京オリンピック、安倍政権の終焉、東京人口の減少。
2021年にいろいろ知ってから読むと味わい深い。コロナを予見するのも土台無理な話なので仕方が無い。
グローバル/ナショナル/ローカル、カントリー/ステート/ネーションという区分けの話は面白かった。ザ・ビジネス書という感じの内容が久々で面白く感じる部分もあった。意識高い系ぽいと言えばそんな感じもする。
・日本3.0の始まり
・日本3.0と国家
・日本3.0と経済
・日本3.0と仕事
・日本3.0と教育
・日本3.0とリーダー詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
主に30代に向けて書かれたと思われるが、本書の内容は、実際年齢関係なく普遍なことと思う。
これからの時代50代だろうと60代だろうと、常に未来を見据える思考が必要だからだ。
「自分は残り10年」などと勝手に言う人もいるが、もはやこの思考ではこれからの世界を生き抜くことは出来ないと思う。
寿命が延び、人生は想像以上に長くなった。
「生き抜くことができない」のに「寿命は長くなった」のである。
つまり相当に意識して思考方法を変えていかないと、死んだような状態で長生きすることになるということ。
そして日本に限らず、世界全体の様々なことが大きな転換期である。
この十数年でとんでもない社会変化が起こるのは確実なのだ。
技術の進化で今までの仕組み自体が変化せざるを得ない。
当然に人間の価値観も大きな変化が必要となる。
本書が発売された2017年くらいからその片鱗は見えていた訳であるが、さらに2020年に予想もしていなかったコロナウイルス猛威が発生した。
書かれた「未来への提言」が今では通用しないかと言えばそんなことはない。
むしろコロナ以前と以後を比較しても、社会の課題は大きく変化していないということなのだ。
・国内でなく世界を見ろ
・次世代の経営リーダーをきちんと育てろ
・世界標準の一般教養は最低でも獲得せよ
当たり前の課題と言えば当たり前なのだが、だからこそ普遍な課題なのではないか。
これらが今でも解決されていないのは紛れもない事実。
50代の私が何が出来るかと言えば、今からでも一般教養の学習は出来そうだ。
手近なところからでも始めてみることが大切なのだと感じる。
今年はもっと読書量を増やしていきたいと思っている。
(2022/1/6) -
日本とアメリカのグローバルエリートの違いは教育。とかに幅広い範囲の教養が差をつけるとのこと。ビジネス書も大事ですが、日本人とて世界で戦える教養が必要だと感じました。
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ユーザベース佐々木さんの著作。2020年を境に日本は変革期に入る、今こそ30代のおれらが頑張る時ぜよ!という内容。もう少し言うと、ありとあらゆる制度・ルールが戦前に作られたものでここまで前進してきた日本は今や停滞の踊り場におり、団塊の世代が引退していく潮目が来るのが丁度東京オリンピックの2020年頃だと主張されている。
佐々木さんの未来予測は幅広い教養・情報に日常から多量に触れているだけあって、視点が豊富で説得力があって面白い。
あとは幾つかの章に分かれて以下のような主張が続く
■国家
・グローバルかローカルかナショナルか、都市化も進むが、平和のために国民国家は必要。幾つかに分類をしながらも存続する
・アラブの春のように破壊して終わりではいけない、対内外問わず、団結のために国民国家を活用する
■経済
・日本は2030年までにインドでGDPで抜かれるが、人口総量の観点から已む無し、むしろ質で勝負
・日本は東海岸と西海岸を統合させながらロボットやIoTの分野で戦うべし
・スタートアップは岐路に、経営者の世代交代
・病気の最新データを大量に取り、長寿研究に活かしてヘルスケア×AIの領域でも攻めるべし
■仕事
・GNLそれぞれでのリーダーという生き方
・大企業での出世コースは海外、MA、新規事業
・スタートアップで働くなら創業者の能力、ビジョン、欲望を見よ
■教育
・高校までの教育は日本は世界トップレベルだが大学がクソ
・教養がたりなさすぎ、知の千本ノックが不可欠
・リベラルアーツ(文法学、修辞学、論理学、算術、幾何学、天文学、音楽)
■リーダー
・疑う力、クリティカルシンキングこそがイノベーションの源泉
・リーダーを育てるにはリーダーが必要 -
明治維新から先の大戦での敗戦までが1.0、戦後から2020年前後までが2.0、その後に来るのが日本3.0。その日本3.0で活躍できる人材になるために必要なことが本書には書かれている。特に日本の大学教育における問題点についてアメリカのトップ大学との比較で詳しく書かれていた。本書は主に30歳代の読者のために書かれているが、20歳から40歳くらいまでがコアな想定読者だろう。今後のあらわれてくる断絶の時代、そして乱気流の時代に自分の人生を切り開いていく気概のある人にとって本書はよき友となるだろう。
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ここまで「引用は抜群に面白くて、自説はビミョー」な本は久々。特に「東京の西海岸・東海岸」「日本製エリートの年齢と知力の推移」という自作のテーブル・グラフは、思わず「なんでわざわざこんなもん放り込んできたんや」と唸るぐらいの偏見の結晶。嬉しくなります。結局、漱石の「私の個人主義」と冨山和彦と半藤一利と山本七平は避けて通れない、更には、名編集者は名作家ではない、ということを再認識させてくれた労作。
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現時点での日本の経済社会の総括としてまとめた最良の本のように思う。この手の本でよく見られる、空転する机上論のようなものがなく、しっかりとした実在感に溢れている。著者は経済メディアに携わる編集者であり、そこでの数多の取材経験、人との出会いから培われたものだろう。
一度現状を振り返り、この先をどう捉えるか。今を区切り、仕切り直す。そんな視点を持てる共感と発見の多い本だった。 -
熱くなった。がんばろう