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Amazon.co.jp ・雑誌 / ISBN・EAN: 4910049010471
感想・レビュー・書評
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これぞ純文学といった感じの小説でした。
言うまでもなく、「火花」で華々しくデビューを飾り、芥川賞まで獲った又吉直樹の受賞後第1作。
今回は恋愛小説です。
これが読みたくて、「新潮」4月号を買いました。
我ながらミーハーですね。
さて、本作です。
主人公で劇作家の永田は、東京の街中で沙希と出会い、やがて一緒に暮らし始めます。
恋愛とは言い条、そこは又吉のことですから、すんなりとはいきません。
第一、出会い方からして異様です。
かつて「幽霊」と呼ばれたこともある永田は、街中で画廊を覗き込む沙希を見つけ、「この人なら自分を理解してくれるのではないか」と思います。
そして、沙希の隣に立ち、こう声を掛けます。
「靴、同じやな」
沙希は「違いますよ」と答えます。
永田は重ねて言います。
「同じやで」
完全に危ない人です。
ただ、沙希は天性とも言える優しさで、ナイーブで不器用な永田を愛そうとします。
それに十分に応えられない永田。
純文学における恋愛小説の定型的な説話構造を踏まえながら、又吉の筆は繊細に、時に軽妙な筆致で二人の関係をすくい取っていきます。
先日放送されたNHKスペシャル「又吉直樹 第二作への苦闘」でも紹介されていましたが、中盤で永田が沙希と手を繋ごうとする場面が印象に残りました。
手をつなぎたいという一言すら、すんなりとは言えない永田に、沙希はこう言います。
「本当によく生きて来れたよね」
ジンと来ました。
永田は劇作家としてなかなか日の目を見ません。
お金もなく、実質的に沙希のヒモとして鬱屈した日々を送ります。
そこへ才能に恵まれた小峰という劇作家が現れます。
永田は小峰に嫉妬します。
その嫉妬を巡る永田の考察がまた興味深い。
長いですが、引用します。
「自分の持っていないものを欲しがったり、自分よりも能力の高い人間を妬む精神の対処に追われて、似たような境遇の者で集まり、嫉妬する対象をこき下ろし世間の評価がまるでそうであるように錯覚させようと試みたり、自分に嘘をついて感覚を麻痺させたところで、本人の成長というものは期待できない。他人の失敗や不幸を願う、その癖、そいつが本当に駄目になりそうだったら同類として迎え入れる。その時は自分が優しい人間なんだと信じこもうとしたりする。この汚い感情はなんのためにあるのだ」
読み手である自分にまで鋭い刃を突き付けられているようで、胸が苦しくなりました。
うん、いい小説です。
というか、かなりいい小説だと思います。
大変な重圧がかかる中で、よくこんな作品を書き上げたものだと感服するほかありません。
やっぱり又吉はいいなぁ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
巻頭を飾る又吉直樹の『劇場』。それに惹かれて手に取る。芥川賞受賞後のこの新作も、やはりやさしさと厭世観に満ちている。登場人物達の軽妙な会話は漫才のように面白くネタを書いていた彼ならではの得意技ともいえる。主人公のダメンズぶりは太宰の「人間失格」の葉蔵を想起させる。が、
破滅に向かって進むわけではない。結末がいい。
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又吉直樹さんの「劇場」。
「火花」を読まずに「劇場」を読む。
ところどころにハッとするような表現があったりもするが、
こじらせた男が理想とする女性像を描いた妄想小説?
「火花」は読んでいないが、Netflix のドラマは見た。
あれにも天使のような女性が登場するが、又吉さんの好み?
芳川泰久さんの「やよいの空に」。
構造のおもしろい読ませる作品。うまい。
大城立裕さんの「B組会始末」。
大城さんの沖縄ものだが、手練れな作品。
いしいしんじさんが『騎士団長殺し』の書評を寄せている。
びっくりした。何をおっしゃっているのかよくわからなかったが。
角田光代さんの 深い森 伴久美子『狂うひと』私的感想文。
また『狂うひと』が。 -
又吉の「劇場」掲載。
小劇団の脚本演出担当の永田と女優志望の沙希の出会いから別れまで。又吉を彷彿させる抑揚のない雰囲気の永田。元劇団員の青山とのメールでみせる激情が最大の盛り上がり。支える沙希の明るさに潜む危うさが示唆する結末へと向かうが、評論家への返事、才能ある演出家への嫉妬等々、又吉が直面してきたであろうと思わせる出来ごとがちりばめられ、そう思わせる技巧も駆使した力作と感じられた。 -
又吉先生の「劇場」のみ読む。今回もまたなんとも言えない人間が出てくるぞよ。悲しいくらいなんとか、って話だなぁ。その「なんとか」をみなそれぞれ、読者が見つけるのでしょう。
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旅先の夜、宿にて「劇場」と格闘。血ミドロである。
回復ののち、単行本で再戦予定。 -
火花が面白かったから今回も期待して読んでいたのだが期待を上回ることはなかった。主人公がクズ。彼女はいたいけな感じなのが好き。
又吉の文章は好きなので、新作が出たら読むんだろうな。又吉最高<3 -
又吉 直樹さんの劇場@新潮 2017年 04月号 を読みました。著者の第2作目の小説ですね。
大変面白く読みました。皆さんにおすすめしたい作品です。
作者の処女作『火花』は、大変注目された作品なので、2作目の世間からの期待は大きかったと思います。
前作『火花』は、後半で非常に変化を伴う作品でとてもユニークに感じたのですが、今回の作品は
正統派の青春恋愛小説で、意外と思うのと同時に楽しく読みました。
今回の作品の主人公は、売れていない劇作家です。彼は、自分の意識の高さを誇示するために前衛的な作品ばかりを書く人間ですが、大成していません。また、金銭的にも自立しておらず、いわゆるヒモです。周囲から守られていることを自覚しながら相手を攻撃し、それでいて愛されたいと熱望している弱い人間ですが、私はこういった人間を愛おしく感じます。又吉さんもまた、人の弱さを肯定的にみられる目線を持った作家であると感じました。
> 田所の空返事は、もしかしたら自分の予期していないことが進行していて、その一端を自分が担ったのかもしれないという曖昧でいながら正確な感覚からのもので田所はそれには気づかないふりをして、あくまで自分はプレイヤーに徹することを気づかないふりをして、あくまでも自分はプレイヤーに徹することに決めたようだ。役者っぽいなと思った。
又吉さんは人の内面の精神性を深く言語化できる力量を感じます。言葉を重ねること、文章の骨太さを得たように見えます。
>青山が手際よく、その場にいる人たちを褒め、相手の自尊心を満たしながらうまく立ち回っているのを見ていると、自分ではない誰かの意思で洋服も思想も変えられてしまう着せ替え人形のように見えて恥ずかしくなった。
彼は、一通りの社会性を身に着けることが芸術家としての自分のアイデンティティに関わる問題と考えているようである。しかし、小峰という自分よりも高い才能をもった人間がいることを認め、自分の限界を知ったように見えます。主人公が現実と自分の差を実感した瞬間であろうと思います。
>問題があるとすれば、東京で暮らす男女というテーマが、同時代の別の作家によって、ある種の滑稽な悲劇として、あるいは神話のようなものの一部として、作品化されてしまったことだろう。この主題を僕は僕なりの温度で雑音を混ぜて取り返さなければならない。
最後に、彼は小峰の作品を受け入れ。自分の作品(人生)と向き合うことを受け入れたように感じます。また、一方で彼女との関係性をできることならば維持したいとう浅はかさも感じるやり取りをです。著者は彼のメンタリティの弱さを愛しているのでしょう。 -
もちろん「劇場」狙いで購入・読了。
あれだけのプレッシャーの元、書き上げた一篇。「東京百景」の頃からの匂いもして、「火花」より、私はこっちが好きだった。 -
又吉さんの「劇場」を読んだ。序盤が全然面白くなくて、学生時代のくだりは説明くさいし、いちいちめんどくさい突っかかりがあって、これ最後まで読み切れるかな…と思ったけど、最終的に面白かったので不思議。「火花」とは違う視点の話なんだけど同じ空気感。作者の持ち味なんだと思った。
儲からないアマチュア劇団を主宰している主人公と、優しさの塊みたいな彼女の話。ストーリーに新鮮さというか意外性はなくて、ラストもそうするしかないだろうなという展開だった(別れて彼女が地元に帰る)けど、これこそ作中で触れられていた「のんきな奴等がふざけ合いながら何気ない日常を過ごし、でもその心には深刻な苦悩を抱え、それが表出されるのは必ず決まったように後半で、最後は無理やり泣かそうとするようなもの」だった。作中ではこれを、頭ひとつ抜きん出た別の劇団がやって主人公は嫉妬しながらもうっかり感動してしまうんだけど、この小説はそれをやろうとしているのかなと、そういうことを考えた。
作中で何度も出て来る演劇論は、作者の持っている芸術論なんだろう。創作とは何かと繰り返し問うている姿勢が作品の中にあった。面白かったと思う。 -
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又吉直樹の「劇場」を読む。 ちょうど、ララランドを観ていたので世界観が全く真逆だなと感じた。
上京して都会で済む男女の話だけど、ありがちなんだけど少し違和感があった。恋愛小説なのに性的な描写が皆無だったこと。著者本人が意図的にそうしたのかわからないけど、想像がすごく広がるというか、主人公と彼女には性的な想像が浮かばなかったけど、彼女とバイト先の店長、という言葉にはすごく何だか、何かあるんじゃないかと想像してしまった。
主人公は本当にクズなんだけど、でも主人公と彼女の痛々しさがリアルに、でもキラキラしてるように見えた。 -
文芸誌を読むのは初めてだが、又吉直樹さんの新作『劇場』を読みたいと思い、購入。『劇場』は、著者の前作である『火花』とは違うテイストで楽しめた作品。恋愛ものがメインであるが、いかにも恋愛感が詰め込まれている作品でなく、恋愛要素が薄かったという印象。純文学の要素の方が強いかなと思う。作中の小説に関して、読者目線での俯瞰的な目で厳しく評価されていて、文章表現に関することで少し驚く所もあったが、ズバッと切り込んでいたのがまた良い味だと感じた。作家は読者からこのような目線で見られているのかなと感じる。
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劇場を読むために買った。ものすごくヒリヒリした。
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又吉さんの「劇場」を読む。火花よりはこちらの「劇場」の方がまた良かったと思う。又吉さんが書いた小説になのだから当たり前なのかもしれないが、基本は火花と同じ文体で書かれている。火花をあまり好きにはなれなかったものとしてはそこが残念。でも、サッカーゲームのメンバーを全て文豪にしたところは面白えと思った。
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又吉さんの「劇場」読了しました。Nスペで、ご本人がおっしゃっていた通り、前作「火花」に比べて読みやすいように思いました。沙希が、愛おしくてなりません。でも、永田の屈折した感情も理解できます。火花を読んでいる時と同じように、どうしても永田と又吉さんが、ダブってしまいます。
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17/3/17
劇場のみ読了 -
又吉2作目。個人的には好きだけど、火花を恋愛小説で焼き直しただけにも感じる。今後を考えると、ここから一皮むけることができるかが勝負になりそうだなぁ。なんというか、文章が若くて男のセンチメンタリズムを恥ずかしげもなく出してる感じ。たぶん、前作もそうだけどかなり本人の経験が色濃く反映されてる気がする。とりあえず疑問だったのは、セックスを描かなかったこと。2人に体の関係があったかどうかは想像するしかないけど、あったと考えるなら、そこは正面から描いて欲しかったなぁ。
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「劇場」又吉直樹
もやもやしてる主人公のことはよくわからないけど、人としてかわいいヒロインのかわいさが存分に出ててすごくいいなと思った。 -
又吉直樹『劇場』目当てで購入。
もともと著者のエッセイがとても好きで文体が好みなので2作目云々のまえに期待値はあがってしまっていたどうしても。それでも普通におもしろく読み切ることができて、なんだかとってもホッとしたんでした。
本編は売れない劇作家の恋愛ものがたり。
恋愛もするけど芸事で飯を食う人間の苦労、それを支えるひとの苦労、それらを取り巻く人間関係のもつれ、たまにみる奇跡、そんな一連のお話すべてが、「つくりもの」感が少ないので読みやすくって入り込めた。
どうしても演劇、小劇場とかを舞台にすると、なんかサブイな、、と感じてしまうことが結構あって、学生時代にすこしかじった程度にはその世界のはしくれを見てきた人間としては、なんかサッブイとおもってしまう小説が結構あって、正直売れない劇作家が主人公の時点でそれをすごく危惧した。
芸人と演劇人はやはり似て非なるところがあるなあとおもったので。でもこのひとのすごいところは、自分の身の丈で、みてかんじたほんとうのことを書く、というところにあるなとおもった。小説に血が通っている。
みにくいメールのやり取りも、どうしようっもない生き様も、なんか、ああ、こういう物の見方、とか。
ところどころに息吹が感じられて、全部が全部経験則でないにしても、感じたことがあったんだろう、という生きている表現をしてくれるので、こちらもわかる!わからないけどこうなんだろうな!と色んな気持ちになる。
ところどころにすごくいい文章があって、また出会ってしまったなあという気持ち。
手放しで最高!ちょうおもしろい!また芥川賞だ!とはおもわなかったけど、ほんとにダメ人間だから主人公とか、やさしすぎる恋人とか、劇団員とか、登場人物たちのことはあんまり好きじゃないんだけど決して嫌いにはなれないなというかんじ。
西田敏行がなにを演じても西田敏行がでちゃう、みたいな感じで(あえてキムタクにはしません)
又吉はなにを書いても又吉が出ていて、それはきっと作家の個性の面ですごく貴重なことなのだろうなあ。
そして今作は攻撃的なきもちがすごく出ていてよかったなあ。火花もそうだけど、穏やかなように見えてすごくすごく頑固だったりこだわりが強かったり曲げないんだろうなっていう面が小説を書くと浮き彫りになるのがたまらんなあとおもうのです。
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