本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・電子書籍 (223ページ)
感想・レビュー・書評
-
男性に比べて見えづらいだけで、むしろ困難な状況にあるという女性の貧困にスポットを当てる。16歳から47歳まで47人のシングル女性へのインタビューは、2012年から2015年までのあいだに断続的に行われたものである。
女性の貧困に直接影響を与える大きな原因として、家庭と雇用の二つが挙げられる。インタビューのトピックとしてもこの二点についてがもっとも多く、前面に出てくる。そのような問題を背景として貧困にあえぐ事情によって結婚でも不利になり、女性のなかでの分断・格差が拡がる現状も伝える。そして多くの問題において日本の「男性稼ぎ主モデル」と関連していることを示唆する。なお、女性たちへの聞き取りから貧困の実態を派手に暴きたてるといったタイプのルポではないことも、あらかじめ伝えておきたい本書の特徴のひとつだ。
家庭については、強力で最後の"セーフティネット"と見られがちだが、暴力に晒されたり牢獄となってしまう危険もはらむ"諸刃の剣"であることが浮き彫りになる。実際に家庭内の暴力や性的虐待などを原因に早くに家を出たことで貧困に陥る若い女性たちも多く登場する。また、もとから貧しい家庭環境を引き継ぐかたちで負の連鎖に陥るケースが相当数を占め、貧困女性を生み出す大きな要因になっていることがわかる。
雇用については、近年問題視されるようになった非正規雇用による不安定で低い収入しか得られない働き方について、もともと女性が携わることの多かった職業ほど非正規化されやすい事情が女性の雇用環境にマイナスに働いている面が強調される。ただし正社員になったとしてもブラック企業まがいの雇用契約で追いつめらてしまうことが多く、インタビューを受けた女性のなかで正社員経験のある14人のうち11人が結局職を辞している。具体的にはほとんどのケースでいじめやパワハラによって心を病み、やむを得ず離脱してしまう例が数多く見られる。
政治の問題としては、小泉政権時代からの非正規化や近年の少子化対策と女性活躍推進といった政策が若年女性たちを追い込んでいることを指摘する。そのうえで終盤には本書は本来、"貧困女子"だけでなく周縁にいる生きづらさ、働きづらさを抱える女性たちをも対象としていることを明らかにする。終章の「一体、今の社会は、誰にとって生きやすい社会なのだろうか?」「(今の社会は)どんなに優秀な人間でも、容易に脱落する可能性がある社会だ」「"空気のように漂う生きづらさ"と自己責任のループに絡め取られてはならない」といった著者の言葉には女性の貧困に限らない現代の社会にたいする憤りがにじむ。
本書で取り上げられる問題のなかでは、雇用をとりまく状況についてとくに関心をもった。非正規であれば不安定・定収入になりやすい現実と、かといって正社員になっても過重な労働や人間関係のストレスにさらされるという逃げ場のない状態は、男女を問わず現代のかなり多くの層が実感するところではないだろうか。著者が提案する通り、「正規雇用を目指すのではなく、非正規雇用を自立して生きるに足る働き方にしていく」ことが容易な社会が望ましいと思えた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ニートや引きこもりに男性が多いのは、女性は家事手伝いで体裁が取れてしまうためだという。
著者プロフィール
飯島裕子の作品
本棚登録 :
感想 :
