あひる [Kindle]

著者 :
  • 書肆侃侃房
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レビュー : 28
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (144ページ)

感想・レビュー・書評

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  • 日常の景色を使って何かもっと奥深いことを伝えようとしているところに、ちょっと怖ささえ感じた。その伝えようとしていることは何なのかまでは、読み取れなかった。

  • デビュー作の「こちらあみ子」は、あみ子の強烈なキャラクターに目を奪われました。
    あみ子が作品をぐいぐいと引っ張っていった印象があります。
    ただ、今村夏子は人物造形だけじゃない、構成力も抜群です。
    本作「あひる」を読んで、そう感じました。
    60枚くらいの短編ですが、物語の運び方が本当にうまい。
    この枚数で、こういう話を書くなら、この書き方しかないだろうと。
    逆に、こういう話を書くなら、この書き方で、この枚数しかないだろうと。
    完成度の非常に高い短編です。
    ある家族が知人から頼まれてアヒルを飼うことになる話。
    家族は、医療系の資格を取るために勉強に励んでいる主人公の「わたし」とその両親の3人です。
    「わたし」には、離れて暮らす弟がおり、その弟は結婚していますが子どもがいません。
    それが「わたし」の両親にとって悩みの種でもあり、子宝を授かるよう毎日欠かさず神様に手を合わせます(両親はどうやら新興宗教の信者のようです)。
    さて、この家族の家でアヒルを飼ったことで、近所の小学生たちが家にやって来るようになり、ずいぶんとにぎやかになります。
    ところが、アヒルは病気にかかって病院に入院してしまいます。
    2週間後に帰ってきたアヒルは、しかし、どうやら前のアヒルとは違うようです。
    気づいているのは「わたし」だけ。
    何だか胸がざわざわします。
    そして、この名状しがたい「ざわざわ感」が、今村夏子の魅力のひとつでもあるんです。
    「わたし」の母が、子どもたちのために誕生日会を企画し、料理をたくさん作ったのに誰一人来なかったというのも考えてみれば不思議。
    でも、なぜ誰も来なかったのかは明かされません。
    それどころか、母も「わたし」も、誰も来なかった原因について積極的に考えようともしません。
    これは何かのメタファーなのか?
    夜中に「わたし」の家を訪ねてきた男の子も不思議。
    誕生日会のために母が拵えたカレーやらケーキやらをたらふく食べて、突然消えるように帰って行きます。
    これもやっぱり何かのメタファー?
    読み手は宙づりになったまま作品世界にどんどん引き込まれていきます。
    ここからはネタバレなので、読みたくない人は読まないでくださいね。
    いいですか。
    いきますよ。
    この後、飼っていたアヒルが死にます。
    そして、家族とは離れて暮らす弟夫婦に、待望の赤ちゃんができます。
    半年後には弟夫婦が赤ちゃんを連れてこの家に引っ越してくるため、増築工事を始めました。
    アヒルのいた小屋は壊され、「庭にブランコを置くのだそうだ。」というさりげない一文で作品は結ばれます。
    赤ちゃんは、アヒルの生まれ変わりでしょう。
    生まれ変わりではなくても、アヒルが赤ちゃんに取って代わられるのは事実。
    こうなってくると、やっぱり先ほどの誕生日会や男の子は何かを暗示しているのだと考えざるを得ません。
    ですから、本作は他の作品にはない大変に複雑な余韻を残して終わります。
    そして気づくのです。
    今村夏子という作家は、唯一無二の作家だと。
    併録されている「おばあちゃんの家」「森の兄妹」も、静かな作品ながら、やはり胸をざわつかせる佳品。
    次は、昨年出版された最新作の「星の子」を読みます。

  • 「あひる」今村夏子
    読後全然スッキリしないでモヤモヤするのが癖になる感じw
    日常何処にでも誰にでもあるちょっとした狂気と理想と現実の歪みが上手に書いてあります。
    他の短編2つも似た感じの陰々滅々とした世界観。
    sunny松本大洋と似てるかも。

    偶然あひるを飼う事になった家族の所へ少しずつ近所の子供達が集まるようになる。
    寂しかった父や母はそれが嬉しくて子供達を家に上げ、お菓子や漫画を振る舞い、やがて家は子供達の溜まり場に。
    しかし、あひるが病気になると子供達は寄り付かなくなった。
    父はあひるを病院に連れて行くと言って出て行き戻ってくると明らかに以前とは違うあひるになっていた。
    それを父や母に聞いても返事は無く、また子供達が家に集まるようになると父や母の振る舞いはエスカレートして行く…。

  • 短編が三編収録されている。
    150ページ弱の薄い本だから一時間くらいで読むことができるはず。ぼくらが育った昭和という時代の田舎の生活を彷彿させるような、小学生が書いた作文の延長線上にあるような短編。
    なにがいいのか、うまく伝えるのは難しいですが、三つの短編のなかに流れる得体の知れない「優しさ」みたいなものが、ぼくはそれなりに好きですね。

  • kindle ultimateにて
    なんだろう
    ゾワゾワする
    怖い

    その先の物語が、答えが欲しい
    ホッとしたい

  • 今村夏子の小説が好きです。
    『星の子』『こちらあみ子』『父と私の桜尾通り商店街』と読みまして、雑誌掲載の短編等を追っています。

    同書は、
    まず掲題作「あひる」がありまして。おー、またやっているなあという感じでした。あひるとはのぅ。
    次の「おばあちゃんの家」は、ちくちく来るねえ…という感じでした。
    「森の兄弟」は、あーこれこれ、これだよなあ。
    読み終わって、あーーーって声が出ました。笑って、また叫んで、また笑いました。どうしろっていうんだよなぁ。

  • 「あひる」(今村 夏子)を読んだ。
    「あひる」「おばあちゃんの家」「森の兄妹」の三篇。
    沁みる。
    今村夏子という名前、しっかり覚えておかなくちゃ。

  • 2018年5月12日紹介されました!

  • なかなかピントが合わない望遠鏡を覗いているような気分になった。

    http://matsuri7.blog123.fc2.com/blog-entry-208.html

  • PrimeReadingにて。
    こちらあみ子の今村夏子。
    アレはアレでなかなかの作品であると思ったが、コレはコレでなかなかである。
    なんだコレは。
    なんだこの気持ち悪さは。
    話は全然わからないんだけど、とにかく気持ち悪い。
    何というか空気がもう気持ち悪い。
    読んでる間中、気持ち悪い空気の中にいるような感じがしてなんというかもう。
    しかも怖いとか非日常とかホラーとかイヤミスとかそういう感じではなく普通に気持ち悪い。
    とにかく普通。
    普通の生活の中にある気持ち悪さ。
    いやあもうなんともスゴいわ。

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著者プロフィール

今村夏子(いまむら なつこ)
1980年広島県生まれ。2010年「あたらしい娘」で第26回太宰治賞を受賞。「こちらあみ子」と改題、同作と新作中短編「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』で2011年に第24回三島由紀夫賞受賞。2016年、文芸誌『たべるのがおそい』で2年ぶりの作品「あひる」を発表、同作が第155回芥川龍之介賞候補にノミネート。同作を収録した短篇集『あひる』で、第5回河合隼雄物語賞受賞。2017年、「星の子」で第157回芥川龍之介賞候補ノミネート、第39回野間文芸新人賞受賞。 2019年、「むらさきのスカートの女」が第161回芥川龍之介賞を受賞した。

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