あひる [Kindle]

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  • 書肆侃侃房 (2016年12月14日発売)
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みんなの感想まとめ

日常の中に潜む不思議な感情を描いた三つの短編が収められています。やさしい表現で綴られた物語は、あっという間に読み進められる一方で、心の奥にざわざわとした感覚を残します。昭和の田舎の生活を思い起こさせる...

感想・レビュー・書評

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  • デビュー作の「こちらあみ子」は、あみ子の強烈なキャラクターに目を奪われました。
    あみ子が作品をぐいぐいと引っ張っていった印象があります。
    ただ、今村夏子は人物造形だけじゃない、構成力も抜群です。
    本作「あひる」を読んで、そう感じました。
    60枚くらいの短編ですが、物語の運び方が本当にうまい。
    この枚数で、こういう話を書くなら、この書き方しかないだろうと。
    逆に、こういう話を書くなら、この書き方で、この枚数しかないだろうと。
    完成度の非常に高い短編です。
    ある家族が知人から頼まれてアヒルを飼うことになる話。
    家族は、医療系の資格を取るために勉強に励んでいる主人公の「わたし」とその両親の3人です。
    「わたし」には、離れて暮らす弟がおり、その弟は結婚していますが子どもがいません。
    それが「わたし」の両親にとって悩みの種でもあり、子宝を授かるよう毎日欠かさず神様に手を合わせます(両親はどうやら新興宗教の信者のようです)。
    さて、この家族の家でアヒルを飼ったことで、近所の小学生たちが家にやって来るようになり、ずいぶんとにぎやかになります。
    ところが、アヒルは病気にかかって病院に入院してしまいます。
    2週間後に帰ってきたアヒルは、しかし、どうやら前のアヒルとは違うようです。
    気づいているのは「わたし」だけ。
    何だか胸がざわざわします。
    そして、この名状しがたい「ざわざわ感」が、今村夏子の魅力のひとつでもあるんです。
    「わたし」の母が、子どもたちのために誕生日会を企画し、料理をたくさん作ったのに誰一人来なかったというのも考えてみれば不思議。
    でも、なぜ誰も来なかったのかは明かされません。
    それどころか、母も「わたし」も、誰も来なかった原因について積極的に考えようともしません。
    これは何かのメタファーなのか?
    夜中に「わたし」の家を訪ねてきた男の子も不思議。
    誕生日会のために母が拵えたカレーやらケーキやらをたらふく食べて、突然消えるように帰って行きます。
    これもやっぱり何かのメタファー?
    読み手は宙づりになったまま作品世界にどんどん引き込まれていきます。
    ここからはネタバレなので、読みたくない人は読まないでくださいね。
    いいですか。
    いきますよ。
    この後、飼っていたアヒルが死にます。
    そして、家族とは離れて暮らす弟夫婦に、待望の赤ちゃんができます。
    半年後には弟夫婦が赤ちゃんを連れてこの家に引っ越してくるため、増築工事を始めました。
    アヒルのいた小屋は壊され、「庭にブランコを置くのだそうだ。」というさりげない一文で作品は結ばれます。
    赤ちゃんは、アヒルの生まれ変わりでしょう。
    生まれ変わりではなくても、アヒルが赤ちゃんに取って代わられるのは事実。
    こうなってくると、やっぱり先ほどの誕生日会や男の子は何かを暗示しているのだと考えざるを得ません。
    ですから、本作は他の作品にはない大変に複雑な余韻を残して終わります。
    そして気づくのです。
    今村夏子という作家は、唯一無二の作家だと。
    併録されている「おばあちゃんの家」「森の兄妹」も、静かな作品ながら、やはり胸をざわつかせる佳品。
    次は、昨年出版された最新作の「星の子」を読みます。

  • あっという間に読めてしまう3つの短編。
    やさしく簡単な表現で書かれているので読みやすいが、
    なぜか引っかかりを感じる、
    ちょっと胸がざわざわする、不思議なお話だった。

  • 日常の景色を使って何かもっと奥深いことを伝えようとしているところに、ちょっと怖ささえ感じた。その伝えようとしていることは何なのかまでは、読み取れなかった。

  • 短編が三編収録されている。
    150ページ弱の薄い本だから一時間くらいで読むことができるはず。ぼくらが育った昭和という時代の田舎の生活を彷彿させるような、小学生が書いた作文の延長線上にあるような短編。
    なにがいいのか、うまく伝えるのは難しいですが、三つの短編のなかに流れる得体の知れない「優しさ」みたいなものが、ぼくはそれなりに好きですね。

  • 初めて読む作家さんでした。
    経験したことはないはずなのに、読んでいるとなぜか、懐かしいような、自分も同じ経験をしたかのような不思議な気持ちになりました。

  • 相変わらず不穏な人や人間関係を描いている。相変わらずモヤモヤ感はあるが、同著者の他の本よりその要素が少なく、ちょっとわかりずらいかも。

  • 「あひる」よりも「おばあちゃんの家」「森野兄妹」がゾッとして良い。文体は柔らかいのにいつも世界観が怖い。得体のしれない作家さん。

  • kindle ultimateにて
    なんだろう
    ゾワゾワする
    怖い

    その先の物語が、答えが欲しい
    ホッとしたい

  • 「あひる」(今村 夏子)を読んだ。
    「あひる」「おばあちゃんの家」「森の兄妹」の三篇。
    沁みる。
    今村夏子という名前、しっかり覚えておかなくちゃ。

  • なかなかピントが合わない望遠鏡を覗いているような気分になった。

    http://matsuri7.blog123.fc2.com/blog-entry-208.html

  • PrimeReadingにて。
    こちらあみ子の今村夏子。
    アレはアレでなかなかの作品であると思ったが、コレはコレでなかなかである。
    なんだコレは。
    なんだこの気持ち悪さは。
    話は全然わからないんだけど、とにかく気持ち悪い。
    何というか空気がもう気持ち悪い。
    読んでる間中、気持ち悪い空気の中にいるような感じがしてなんというかもう。
    しかも怖いとか非日常とかホラーとかイヤミスとかそういう感じではなく普通に気持ち悪い。
    とにかく普通。
    普通の生活の中にある気持ち悪さ。
    いやあもうなんともスゴいわ。

  • 文書がきれい

  • 2018.2.24
    3編の短編集。どれも最後がよく分からない。。。
    あひるが1番良かったかな。

    2023.9.27
    長年の月日を経て再読。
    前回は全く何を言いたいのだか分からなかったが、著者の他の作品を読み、違和感に秘密が隠されていること、そしてその秘密は本の中では明かされず読者に解読を任されていることを感じ取ったため、再読して始めてこの本の面白さが分かりました。親切な(?)作者の本しかあまり読んでいなかったので、自分で読み解く系の本の読み方を知らなかった1回目は何ともつまらないと思っていました。再読してもっと著者の本が読みたくなりました。

    本書は3つの短編。

    ▪️あひる
    田舎に住む現在3人家族が知人から譲り受けたあひるを飼い始めたところ近所の子供たちが家に集まりだした。あひるが病気になってしまった。あひる不在で、家がまた静かになることを恐れ別のあひるを同じ名前で飼ったが誰も別のあひるとは気が付かないという話。

    これを読んで、この親は個としてあひるや近所の子供たちを見ておらず、何かの存在としか見ていないのだと思った。2階に住んでいる長女がいるが一度も名前が出て来ず、弟が20代で結婚しそれから10年以上経っているという記述から30代以上だと思うが、一度も職につかず、資格のための勉強を始めたのもつい最近。引きこもりの長女を叱るわけでもいじめるわけでもなくただ昔からいる存在としかみておらず名前も呼ばない。
    あひるがきたとものりたまという名前すら覚えていなかった親だが、この長女はあひるの名前を立てかけたことから個として自分も含めて見てほしかったのかもしれない。
    2代目ののりたまが来た時も長女ともう1人の子供しか2代目と気が付かず、もともと飼っていた知人すら気が付かなかった。親にとっては静かな家を賑やかにしてくれる存在であればあひるは誰でもよく、あひるでなくてもよい代替がきくものであり、近所の子供にとっては可愛いと思えるものであれば何だってよくその興味も日々変わるので、居心地が良い場所であれば何でもよいので、のりたまそのものを個としてみているわけではない。
    夜中に鍵を無くしたといって家にどかどか入ってきた男の子はのりたまの生まれ変わりだったのかもしれないが、両親を笑顔にしてくれたことにありがとうという長女は自分が両親が求めることに応えられるないことを知っているのだろう。
    あひるはいなくなったがなぜか不良の溜まり場になっても家に活気があれば何でもよいのか何も言わないこの家族が不気味だった。
    そして最後は念願叶い弟に子供ができ孫が生まれるが、あひるの代替ではなくちゃんと名前を呼び、個としてみてあげれるのか不安でした。。。もしかしたら弟が小さいときは家の中で太陽のような存在だったとあったので、孫が昔の弟の代替になる、と書いているのかも。
    その存在であれば誰でもどこでもよくて実はよく見ていないものっていっぱいありそうだなぁと、ハッとしました。

    ▪️おばあちゃんの家、森の兄妹
    2作関連している作品。
    隠居にいるおばあちゃんがどんどん元気になっていく話と貧しい兄妹が隠居のおばあちゃんと知り合いになるという話。
    子供を産めずつまはじきにされていた祖母が隠居に追いやられトイレも皆と同じものは使えずの生活だったが、実は家族が不在の時は本拠にも出入りしており足腰も弱く見せていた。ぼけてきて変に元気になったかという訳の分からない話かと思ったが、貧しい兄妹と出会い、話し相手や投資する?先ができたから本性が出てきたという話だったのかも。
    キジを孔雀と信じる描写含めて、うーん、いまだに何を書いているのか分からないー。

  • なんだろう、何かがありそうで、でもはっきりとそれを言ってくれない。

  • 今村夏子さんの作品はいつもラストがなんとも切ない。
    悲しいわけでも、バットエンドな訳でもない。
    ただただ日常的な流れる切なさ。

    空気感、ひらがなの使い回し方、ぜんぶ好き。

  • 3話短編
    こっくりとした日々の出来事と隣家の芝生描写が絶妙

  • 色白の小さな少年が落とした鍵とは?それぞれの人物の心の中にある闇を切り開くための何かなのか。
    家族は幸せを掴んだけれど、肝心の物語の語り手の少女は、何も変わらない。終始、淡々とストーリーを語るだけ。もしかして、少女は存在せず、少女=あひるなのかも。しかし、少年は4匹目のあひるだから、少女=あひる=少年?難解すぎる…。

  • 読書芸人で気になっていたのでやっと読んだ。
    この他の物語は読む気にならず、「あひる」のみです。

    読書芸人では結構評価が高かったので期待して読んだのがいけなかったのか、なんだかさっぱり薄味で、
    期待値と差があったのでこの評です。

  • 「あひる」★★★★
    「おばあちゃんの家」★★★★
    「森の兄弟」★★★

  • アメトーーークの読書芸人で紹介されていた『あひる』
    一見幸せそうに見えるが、すごく怖い話だった。
    残りの2作も、心がゾワゾワする不思議で怖い話だった。
    決してホラーとかではないけれど。
    人間のエゴとか残酷さとか哀しさをこんなふうに表現するなんてすごい作家さんだな。
    他の作品も読んでみたい。

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著者プロフィール

1980年広島県生まれ。2010年「あたらしい娘」で第26回太宰治賞を受賞。「こちらあみ子」と改題、同作と新作中短編「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』で2011年に第24回三島由紀夫賞受賞。

「2016年 『あひる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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