仕事なんか生きがいにするな 生きる意味を再び考える (幻冬舎新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  •  「仕事」という人生の一部の話だと思って読んでみたが、人生丸ごと包み込む、もっと言えば近代以降の故人を含めた大多数の人生を飲み込むレベルの大きな話だった。「有意義」なことや「価値」を最良のものとし、それを生み出す「労働」が「善」だとする現代の価値観に、疑問を呈している本。
     筆者は繰り返し「心=身体」という表現を使用し、この「心=身体」が様々なことを「味わ」った時、人間は人生に「意味」を感じると述べている。頭で「価値がある」「有意義」と判断したものではなく、「心」の赴くまま気の向くままやってみることが大切である、と。確かにそうだよな~と思う。私も筆者の言うところの「有意義病」にかかっている人間の一人で、なんとなく息苦しさを感じながら生きている。仕事を生きがいにするなんて、人生で一度も思ったこともない私だが、仕事を含めた所謂「有意義なこと」を優先順位の上位に持っていきがちである。「充実しているはずなのになんで息苦しく感じているんだろう」と思っていたが、この本を読んで合点がいった。
     現代社会の常識となっている価値観に反発していくことは難しいが、もっと「心」の向くまま行動する機会を増やしていこうとは思う。私の人生観に比較的大きなインパクトを与えてくれた本だった。

  • もう一度吟味し直したい。

  • 「仕事なんか生きがいにするな」は釣りタイトルで、中身は「生きる意味を再び考える」なので注意(笑
    ユングの「人間の精神的危機が訪れやすい三つの時期」の一つである「中年期の危機」なんて、まさに「今の俺か!」みたいな(レベルは低いけど
    > ある程度社会的存在としての役割を果たし、人生の後半に移りゆく地点で湧き上がってくる静かで深い問い、すなわち、「私は果たして私らしく生きてきただろうか?」「これまでの延長線上でこれからの人生を進んでいくのは何か違うのではないか?」「私が生きることのミッション(天命)は何なのか?」といった、社会的存在を超えた一個の人間存在としての「実存的な問い」に向き合う苦悩のことです。
    人間らしく生きていくためにどう考え・行動するのがいいか、自分の生き方を見つめ直すきっかけを与えてくれる本だと感じた。

  • アマゾンの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」のところに表示され、タイトルに惹かれて読んでみました。

    この本は「これからの時代を生きる道標になりえるのではないか。」という結論に至りました。

    本書は
    第1章 生きる意味を見失った現代人
    第2章 現代の「高等遊民」は何と闘っているのか
    第3章 「本当の自分」を求めること
    第4章 私たちはどこにむかえばよいのか
    第5章 生きることを味わうために
    以上、5章立てとなっている。

    第1章、第2章で生きる意味を見失った現代人は、なぜ見失ってしまうのかを多角的に解説しています。なかでも著者の鋭い洞察が光っているところに、

    「つまらない素人」とは、未知の優れた価値に目を開こうとしない閉じた精神の持ち主か、マスメディアに容易に煽られてしまうような人のことですが、これはムラ社会に典型的な人間像です。彼らは、自分の慣れ親しんだ範疇を超えたものに対しては、その偏狭な価値観で「下らない!」と即断し、未知のものや歯が立たないものに自身が脅かされないように、それらの価値の切り下げを行う困った頑固さと、既存の権威や情報操作にあっけなく盲従してしまうという困った柔軟性を併せ持っています。

    という部分が挙げられます。これを読み私は、ライブドアによる近鉄バッファローズの買収騒動を思い出しました。ライブドアという未知のものに対して、古参球団のオーナーの反応などはこれに当たるのでしょう。この洞察は、とても日本人らしい日本人のことを言っていると思いました。

    その後、第2章で「働くこと」についての考察が始まります。端的に言えば、私たち現代人はいつの間にか人間らしい作品や製品を残すような「仕事」を失って、<労働する動物>になり下がり、歯車のような「労働」によって次々に消費財を生み出しては、取り憑かれたようにこれを消費するという、人間らしからぬ状態に陥ってしまっているという内容です。これは確かに言えていると思います。使い捨て文化などは、まさしくこれを象徴しているのだろうと思います。

    そして、こうした状態に陥った私達現代人の「生きることの意味」について第3章から第5章で論理を展開させていきます。最終的な解決策としては
    何でもないように見える「日常」こそが、私たちが「生きる意味」を感じるための重要な鍵を握っているのです。

    「頭」の計画性や合理性を回避するためには、その対極にある「即興」という概念を積極的に用いてみることがとても有効な方法です。

    と著者は提唱しています。要は「即興で遊びにしてしまえ!」といった感じです。この発想は良いと思います。私も例に漏れず、すぐに計画を立ててしまいたがるので、即興でやるというのは勇気が必要ですが、面白い試みであると思います。

    読んだ方ならわかると思いますが、本書で言う「頭で考える」というのは「理性」に、「身体で感じる」というのは「感性」に置き換えられるのではないでしょうか。

    「毎日同じ仕事が続き、人生に嫌気がさしてきた。」と感じている人にとって、一読の価値があると思います。

  • 仕事だからと割り切って、人生の大半を仕事といわれるものに注ぎ込んできた自分からすると、ある意味目から鱗の話。確かに、筆者の言う通り将来に囚われることなく、自由に気の赴くままに生きることは、多くの仕事がAIに奪われる未来においては、現実味を帯び始めている。

  • Kindleの日替わりセールで何気なく購入しましたが、
    今の自分が求めていたものにあまりにもドンピシャリ、
    自分の人生に訪れた幸運な偶然に、
    読書中つねに不思議な気持ちに包まれていました。

    「本当の自分」、「夢」、「希望」などなど
    “自分が求めているもの”は、
    この世界のどこかで私たちに見つけてもらうべく、
    じっと待っているものではなく、
    “自分自身が求めている”
    という動きそのものによって
    はじめて生み出されてくる『動的なもの』である、
    という点が大きな主張だと理解しました。

    「青い鳥を求めて世界を旅したら実はすぐ隣にいた」
    というお話は、言い方を変えますと
    「青い鳥を求めたからすぐ隣にいることがわかった」
    という事なのかもしれません。

    私自身、生き方に悩みまくりのアラフォー男ですが、
    「自身が求めようとする動きによって
     意味が生まれてくる」
    という考え方はとても励みになりました。

    後半は少し難しいですが、2~3度続けて
    読み返せば理解できると思います。

    今の世の中の見方を変えてしまう一冊になりうるので、
    読書前後で自分自身が大きく変化してしまうことに
    覚悟のある方へおススメします。

  • 興味深い議論もなくはなかったが、やはり精神科に行く人への処方箋と一般人に対するそれとでは重ならないと思った。

  • 芸術の大切さは分かったが、この本を読んで何か大きく気付かされたような内容ではなかった。

  • ○引用
    学校レベルでは大いに奨励されそうな行動も、「空虚」からの逃避がその隠された動機なのだとすれば、これもやはり「受動」の一種に過ぎないと言える

    「本当の自分」になる経験が起こると、必ずや一定期間の後に、「自分」への執着が消えるという新たな段階に入っていきます

    「真の自己」を外に求めてしまっていることと、それを「職業」という狭い範疇のものに求めてしまっているところにある

    愛とは、相手が相手らしく幸せになることを喜ぶ気持ちである。欲望とは、相手がこちらの思い通りになることを強要する気持ちである

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プロフィール

精神科医。東北大学医学部卒。東京医科歯科大学医学部附属病院、(財)神経研究所附属晴和病院、新宿サザンスクエアクリニック院長等を経て、1999年に渡仏し、パリ・エコールノルマル音楽院に留学。パリ日本人学校教育相談員もつとめた。現在、精神療法を専門とする泉谷クリニック(東京・広尾)院長。大学や短大、専門学校等での講義も行ってきたほか、現在は一般向けの啓蒙活動として、さまざまなセミナーや講座を開催している。また、作曲家や演出家としての活動も行っている。著書に『「普通がいい」という病』『反教育論』(ともに講談社現代新書)、『「私」を生きるための言葉』(研究社)など。最新刊に『仕事なんか生きがいにするな』(幻冬舎新書)。

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