龍臥亭事件(上) 御手洗潔シリーズ (光文社文庫) [Kindle]

  • 光文社 (1999年10月20日発売)
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みんなの感想まとめ

スリラーとミステリーが巧妙に融合した物語が展開され、主人公の石岡君が相棒として活躍します。物語は火事から始まり、緊迫感あふれる展開が続く中、読者は歴史的事件「津山三十人殺し」に触れることになります。史...

感想・レビュー・書評

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  • 御手洗潔シリーズの一冊。
    とは言え主人公は相棒の石岡君。
    現地に着いて早々に火事に遭うとかなかなかワイルド。

  • 【audible】※これは実際の文章の評価ではないことを留意したい。特にナレーターは男性の演技が浮ついていて上手くなかった。その点も感想に影響している。聴くことと目で文章を追うことは全く違う体験だと思っている。

    本作から初めて触れたのでよくは知らない。一言で表すならホラー要素あり猟奇度高めの和風ゴシックミステリーといった内容。主人公のポジションはワトソンらしい。どちらかと言えばポワロのヘイスティングスの方が近い。そのため凡庸なキャラに設定されている。しかし中庸というわけではなく十分ストレンジだと思う。
    作者についても知識がなく、確か森博嗣『全てがFになる』の解説だったかで挙げられていたので、受け売りの新本格ミステリの重鎮みたいな漠然とだが好印象な作家として記憶していた。
    文体はややクラシックで文章力は流石だ。しかしこの非の打ちどころのない高い文章力と登場人物の(特に主人公‐石岡の)セリフや行動に釣り合いが取れないと感じた。
    序盤から一例を挙げるなら、無計画に訪れた村で夜が更けて行動不能になり、廃業した唯一の旅館に来て「この辺に他に旅館はあるか」などと間の抜けたことを尋ねている。「泊めてくれ」とは一言も言わない。しかし最初の事件が起きたことにより、まさしくドサクサ紛れで怪奇殺人事件のシーンに参加することになる。この第一の事件が無ければその後どうしたのか?を考えるとモヤモヤする。

    必然的に宿泊することになったと一方的に結論を出しているが、目撃者/第一発見者というだけでは留まる理由も全くないし、適当なタイミングで離脱できるだろう。厳密に考えると不自然な導入だ。
    密室かどうかについても窓の外に足場があるのかないのかも分からないし、何の情報もないのにやたら固執していて、これはなんなのだろうと感じた。
    こんなのを気にする方がおかしいのかもしれない。
    それにしても当事者たちはなぜこの恐怖の館から逃げ出さないのだろうか。おぞましい事件が起こり続ける場所に居座り続け、勝手にクローズドサークルを形成している様は、まるで終末的な環境に新世界の出現を期待するJGバラード作品の登場人物のようだ。

    女子高生に欲情しているという苦情がけっこうあるが、サトミがいないと、地味で色気がなく全体的に暗すぎるのでこれはアリだと思う。狂った領域で唯一狂ってない聖域的な無垢な存在に惹かれる、そんな話も発表当時あたり流行っていたような……
    しかしたしかに主人公の言動はどこかズレていて、それでいて常識然と振舞うから気持ち悪い。悪い人ではないがデリカシーに欠け、大事なことは黙っているようなリアルならあまり関わりたくない人物だ。この男のどこに気に入る要素があるのかとは思う。まあ察することはできるけどあまり役に立ってないし、イカダを発見した時も、そんなこと気にしてる場合ではないのに、濡れるからと自分は川に入らずサトミにやらせたりして太腿を見て興奮している。いや興奮していればいいのになんかやってやった感を出している。何なんだ。

    極めつけは手首を見付けた時、お寺で供養して貰おうなどと言い出し、本当に寺に持って行った場面で、思わず「えっ!?」となった。そもそもこれは自分で埋めたからか、誰かに指示されたとしか思えないし、胡散臭い霊感の先生とやらの関与も疑わせる。特に主人公がこういったことをほぼ気にせず進むので不自然だ。
    怪しすぎる同伴者の正体についてはさすがにその後問い詰めるのだが、決定的な質問を繰り出せず有耶無耶にされ流れてしまう。
    たしかに警察に即刻通報するのは常識的で面白くない。ならばパニックだった、面倒臭かったみたいな理由でもあれば納得できるのだが、他にも亡霊の存在をそのまま信じて放置していたり――(これは推理小説の根幹を揺るがしかねない危険な設定だ)――不自然な行動が規定のように展開するので解せない。

    一番リアルな人物描写は4歳児で、絶妙な加減でジャスト4歳児だ。だから元々の感覚はおかしく無いものと思われる。セリフや事件にかかわる推論など以外の日常の描写力も申し分なく、著者に高い見識があり、安定した実力を持っていることは間違いない。対して主人公らの調子は外れていてアンバランスだ。
    主人公は露骨に駄目な人間ではないが、セリフには不協和音が混ざっている。不協和音が好きな層もいて、もしかしてそっちの方が多く正解なのかもしれない。
    もしこの絶妙な非実務的モブ型人間性をシリーズに一貫する人物設定のために意図的に描いていたとすればかなりすごい。
    後から見るとこれは結論のために無理矢理シナリオを構成しているからだろうと考えられる。少なくとも本作品に関しては最初に期待していた新本格ミステリ的技巧、論理的整合性を持つ作風ではなかった。

    作品のコンセプトや文章は悪くないのに、語り手である主人公の一人称視点で物語が進むので、自分ならこう考えるなどと引っ掛かることが多く、そこがストレスになってしまった。日本の小説はこうした一人称のモノローグ主体が多いので難しい。
    読み手の想像力(推理力?)を超えてくる展開がなく、何時、件のスーパー探偵が登場してこの状態を打ち壊してくれるのかと期待していたが、全く出てくる気配がない。
    打開策もなく更に警察も無能なので犯人は終始やりたい放題のままで、本当に話を収束させる気はあるのか?という疑惑を抱かせ上巻は終わる。

    色々文句をつけて矛盾しているようだが(主人公は状況描写に関しては高い能力を発揮している)物語の神秘性――日本の田舎の世界の果て感、行き止まり感、空虚さ、その中に鎮座する龍臥亭の異世界感、叙情性と背後に潜む禍々しさ、不気味でどこか疲れて物憂げなトーン――には有無を言わさず作品内へ引きずり込む魅力があり、このシチュエーションの良さがマイナス要素を打ち消しているので評価は高い。結局ミステリー小説とは――説明されない空白の領域への興味――謎の質、その意味通り神秘性こそが全てだ。

  • 途中何度か「な、長い…」となった。
    オーディブルじゃなかったら上巻で挫折してたかもしれない。
    しかし下巻は夢中になって物語に没頭した。
    津山三十人殺しは何かと聞いたことがあるけど、犯人の名前「都井睦雄(といむつお)」までは知らなかったから、てっきり史実とは無関係な、名前等を変えたオマージュだと思ってたのだが、本当にその事件そのものでびっくりした。

  • いいね

  • 事件の異様さ以上に、こんなJKおらんやろ…てゆー違和感がすごい
    あと活躍したのはJKなのになぜ石岡先生が自信を回復してるのかサッパリ分からない

    果たしてこのグロさに合理的な説明は与えられるのか??
    探偵はよ出てきてー!

  • 久しぶりの石岡くん「目眩」以来で吉敷やら13冊も挟んでいました。こんなに女性に突っ込まれるキャラでした?作中で作家として自作品にメタ登場してファンが付いている感じでしょうか?馬車道の事務所を訪れた女性に引かれて岡山へ向かいます。彼の一人称描写は写実的かつ賢さがにじみ出ていて良いです。スリラーテイストで館ものの連続殺人となります。女子高生に対する態度が45歳のおっさんとは思えません、一つ前に読んだ「死仮面(横溝正史)」の金田一35歳より酷い。途中のミチさん視点と刑事の三人称視点が気になります。(1996年)

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著者プロフィール

1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たして以来、『斜め屋敷の犯罪』『異邦の騎士』など50作以上に登場する探偵・御手洗潔シリーズや、『奇想、天を動かす』などの刑事・吉敷竹史シリーズで圧倒的な人気を博す。2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」、台湾にて中国語による「金車・島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を越えた新しい才能の発掘と育成に尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳や紹介にも積極的に取り組んでいる。

「2023年 『ローズマリーのあまき香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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